偶然の出会いと言葉を芸術に昇華させるパフォーミングアーティスト【UTA・19歳】

「気になる10代名鑑」の319人目は、UTAさん（19）。大学で出会ったパートナーとクリエイティブユニットを組み、舞台を上演したり、音楽活動をしたりするなど創作活動に取り組んでいます。取材の直後に20歳の誕生日を迎えるというUTAさんに、10代最後の言葉として、活動に込めた思いや今後の目標について聞いてみました。

UTAを知る5つの質問

Q1. いま、いちばん力を入れていることは何ですか？

「いまは大学生で、祈りとケアからインスピレーションを受けた、パフォーミングアーツをつくっています。パフォーミングアーツとは、演劇やダンスなど、個人や集団でする行為そのものをアート作品とする表現活動のひとつ。私は結婚しているのですが、夫と『InorU』というコレクティブユニットを組んで活動しています。

最近だと、大阪の西成区で『儀式』を題材とした作品をつくって上演したり、兵庫県豊岡市の方々と一緒に、志賀直哉の小説をもとにした短編映画の制作をしたりしています」

【🙏🏾】

Amagasaki Art Stroll
Kyoka no ichiba
Performance by Theater Artists

InorU
『You can be forgiven without praying ! 😂』
Written & Directed
by Yumeki Kobayashi (InorU)

🌕 : 2022.03.24(Thu) 13:00-

🕋 : Kyoka no ichiba theater @i_nor_u @kyokanoichiba pic.twitter.com/RY6SZ00g4M

— InorU (@i_nor_u) March 23, 2022

Q2. 活動を始めたきっかけは？

「母がもともと音楽で生計を立てていて。なので、生まれる前から母のライブやツアーに同行してきました。まわりに音楽やアートの仕事をする人がたくさんいたので、音楽や創作活動に興味をもつのはすごく自然なことでした。

転機になったのは、島根県の隠岐諸島で暮らした高校3年間。離島留学をしていて、縁もゆかりもない海士あま町という小さな町で暮らしていました。そこは少子高齢化が進んでいる地域のひとつで、高齢者施設には『楽しく死のう』と書かれたポスターが掲示されていたんです。

死を受け入れながらも、そこで生活している高齢者の方々に、何か楽しんでもらえるものを届けたいと思って、作曲活動を始めました。当時はおじいちゃんやおばあちゃんから絞り出されるわずかな単語を聞き取って、それを曲にして贈っていました」

 

View this post on Instagram

 

A post shared by 𝑼𝑻𝑨 (@utaaaaaaar)

Q3. 活動するうえでどんなことを大切にしていますか？

「自分が生み出した作品は、ただそこだけに存在している、という感覚を大切にしています。たとえ舞台で演じたり、上演したりするような作品だとしても、作り手の意図がなるべく見えないような、観客もそこにたまたま立ち会ったような感覚が味わえるように意識しています。

再生可能で再現可能なものにしてしまうと、自分と相手との空間だけで生み出される個人的なコミュニケーションが、ただの『楽曲』になってしまったり、よくできた曲を踏襲してしまったりする気がして。だから、高校生のときにつくっていた曲も手元にはほとんど残っていないんです。

だけど、記憶には確かに残っていて、中には最期にその曲のことを思い出してくれた方もいたそうなんです。この話を聞いたとき、すごく胸が熱くなりました」

Q4. これまでの活動の中で、印象的だった出会いはありますか？

「夫との出会いです。大学に入学したばかりのときに出会って、そこから1年ほどして入籍しました。現在はユニットを組んで、さまざまなメンバーを巻き込みながら創作活動をしています。ユニット名の『InorU』は、私が創作活動をする際に大切にしている言葉である『祈り』に由来しています。

彼は中学生のときに劇団を旗揚げして、そこからずっと創作活動を続けています。音楽やライブでの見せ方や演出に悩んでいた私に、演劇という新しい選択肢を教えてくれたおかげで、自分の表現活動の幅も広がりました」

 

View this post on Instagram

 

A post shared by InorU (@i_nor_u)

Q5. これからの目標や夢を教えてください。

「直近の目標は、リチャード・バックの『イリュージョン』という小説作品を舞台化すること。あとは、いま住んでいる兵庫県豊岡市にある豊岡劇場で作品を上演することも目標のひとつです。

豊岡劇場は100年の歴史を持つ、兵庫県北部で唯一の映画館なんですが、現在は休館していて。応援サポーターを募集するなど、再始動に向けて奮闘しています。以前、とてもお世話になったミニシアターで、思い入れもある場所。だから、絶対に作品を上演したいんです。

これからも、繋がりがある関西をベースに、地域や地元の人とのコミュニケーションを大切にしながら、そこにしかない、そこだからつくり出せる作品をつくっていきたいと思っています」

UTAのプロフィール

年齢：19歳
出身地：奈良県生駒市
所属：InorU
趣味：映画を観た後、すぐに喫茶店に入って内容を議論すること
大切にしている言葉：空は完璧さ

UTAのSNS

★Twitter

★Instagram

 

View this post on Instagram

 

A post shared by 𝑼𝑻𝑨 (@utaaaaaaar)

 

View this post on Instagram

 

A post shared by InorU (@i_nor_u)

Photo：Eri Miura
Text：Ayuka Moriya