世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、アメリカ・フロリダ州にある、100%太陽光発電でまかなう町について、ご紹介します。
アメリカに生まれた100%太陽光発電の町
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世界全体で再生可能エネルギーへの注目は高まっていますが、気候変動にともなう災害への対策として、大規模な太陽光発電を導入する町が増えていることをご存じでしょうか。
アメリカのフロリダ州にある「Babcock Ranch」は、「アメリカ初の100%太陽光発電の町」と呼ばれています。東京ドーム1558個分の広大な土地に、メガソーラー(大規模太陽光発電所)を設置し、さらに住宅や商業施設の屋根にもソーラーパネルを導入。そして、870エーカー(約3.5平方km)の発電所内にも、68万枚ものソーラーパネルが設置され、町全体が消費する量を上回る電力を生み出しています。その他にも10台のバッテリーによって、夜間や曇りの日も安定した電力供給を実現。
自分たちの町でエネルギーを作り消費する。バブコック・ランチは、エネルギーの地産地消を実現した理想の町と言えるでしょう。
ハリケーン襲来も耐え抜いた太陽光発電
This 100% solar community endured Hurricane Ian with no loss of power and minimal damage https://t.co/qhALQcGi1d pic.twitter.com/0F7zISrgKf
— CTV News (@CTVNews) October 2, 2022
この再生可能エネルギーの街が注目されたのは、2022年9月に過去最大級のハリケーン「イアン」がフロリダ州に上陸したとこ。多くの地域が破壊され、当時は260万人以上が停電の被害を受けたと報告されています。
しかしバブコック・ランチでは、どの住宅も停電にはなりませんでした。大木が根こそぎ倒され、建物の屋根は剥がされるほどのハリケーンであったにもかかわらず、太陽光発電とバッテリーのおかげで、停電にならずにすんだのです。これが、災害時の非常用電源として、太陽光発電が推奨される理由のひとつでもあります。
日本でも進む太陽光パネルの設置
日本でも、自治体として、太陽光発電を取り入れるケースが増えています。山梨県北杜市は、「太陽光発電施設の聖地」として知られる場所のひとつ。日照時間が日本一長いこの町では、道路の両脇や墓地の周辺、山間部など、あらゆる場所にソーラーパネルが設置されています。
しかし、全国から太陽光事業者が集まり、無秩序と思えるほどに開発が進行するとともに、さまざまな問題が発生しているのです。例えば、ソーラーパネルを大量に設置することによって起こる景観・環境破壊問題や、使えなくなったソーラーパネルの不法投棄、さらに住民に十分な説明がなされないまま設置されるトラブルなど……。つい最近も、太陽光発電の住民説明会で、事業者が住民を恫喝したという内容がニュースになりました。
「バブコック・ランチ」のケースなどを鑑み、災害への対策や環境面を考えると、太陽光発電は推し進めるべき技術のように思えますが、まだまだ課題が山積みであることも事実です。
10代が直接関わる機会はまだそれほど多くないと思いますが、これからの時代にとっては、必要不可欠なもの。だからこそ、メリットとあわせて、デメリットについても知っておくといいでしょう。
Text:Yuki Tsuruta