「気になる10代名鑑」の287人目は、讃良さん(17)。日本文化の魅力を発信する活動に取り組み、マサチューセッツ工科大学(MIT)の学生に向けたイベントを開催した経験も。着物で取材に臨んでくれた讃良さんに、活動するうえで大切にしていることや、最近新たに始めたアイディアのことなど、詳しく伺いました。
讃良を知るための5つの質問
Q1. いま、取り組んでいる活動について教えてください。
「同世代や海外の方に向けて、日本の伝統文化の魅力を伝える活動をしています。
主な活動は、代表をしている『学生団体 日和』という団体でおこなっていました。この団体では特に、これから留学を経験する人や、留学を希望する人をターゲットにしてきていて。なぜなら、留学先で日本文化を説明する機会が多く、渡航前後に日本文化に興味を持つ人がいるから。そこで、わかりやすく日本文化を紹介する記事を発信したり、オンラインイベントなどを行ったりしてきました。私もこれまでに、古事記に関する記事などを書いてきました。
伝統文化と聞くと、なんとなく高尚なものというか、特に若い世代にとっては、どこかとっつきにくいイメージがあると思うんです。でも、気軽に生活に取り入れられるような、身近なものだと思ってもらえるように、発信活動などに取り組んでいます」
#makers_u18
初めまして、7期生としてキャンプに参加することになりました、さらです
日本文化関連のことをやっています右も左も何も分からないし何を呟けばいいかも分からないんですが、どうかよろしくお願いします!
— さら (@sala_eijaku) February 16, 2022
Q2. 活動を始めたきっかけは?
「このままだと、大好きな日本の文化が廃れてしまうという危機感があったからです。もともと母や祖母がお茶やお琴をやっていたり、私の部屋も和室だったりして、小さいころから日本の文化が身近にあって。うまく言語化できないけど、私は日本独特の“無常感”というか、不完全を愛してさびしさを肯定するような精神性や、そこから生まれる文化にすごく惹かれていて。桜が散るときの儚さに美しさを感じるところとか。ちなみに名前の由来も、持統天皇が即位する前の名前にちなんでいるんです。
でもあるとき、参加したお茶会で、海外の方がつらそうに正座をしている姿を見たとき、せっかく日本文化に興味を持ってくれているのに、伝え方は本当にこれでいいのかなって疑問に思ったんです。格式張った伝統を押し付けても楽しんでもらえないし、むしろ廃れてしまうことに繋がりかねないような気がして……。そこから、いまの時代に合わせた新しい日本の文化の発信方法について考えるようになりました」
Q3. どんなことを大切にして活動していますか?
「伝統を模倣して、化石のように固めていくのではなく、いまの需要に合わせる変化も、積極的に取り入れていくように心がけています。伝統と革新の相互プロセスというものも、文化の本質のひとつだと思っているので。
伝統や文化が今日まで私たちに受け継がれているのは、時代の重みを大切にしながらも、その時代に受け入れられるように、形を変えてきたからだと思うんです。松尾芭蕉の『不易流行』という言葉がありますが、まさにそうだと思います」
Q4. 印象的だった出会いや出来事があれば、教えてください。
「高校2年生のとき、マサチューセッツ工科大学で茶道についてのイベントを開催したんです。半年間、両親の仕事の影響でボストンにいたことがあったんですけど、知り合いを通じて、偶然にも日本の文化について、ワークショップをさせてもらうチャンスをいただけて。
そこで、アメリカの大学生が日常的に行える茶道の紹介として、茶道とマインドフルネスをかけあわせた、『ピクニック風茶道(Mindful Moment with Matcha)』というコンテンツをつくりました。当時、アメリカではマインドフルネスというワードがすごくホットだったんです。そういうトレンドを意識して、日本の古き良き文化を体験してもらえるように設計しました」
MITの学生さん向けにオンラインで茶道×マインドフルネスをテーマに講義をしてきました!来月またやります、たのしかった pic.twitter.com/G8rtV4qK0M
— さら (@sala_eijaku) April 23, 2022
Q5. 最近、新しく始めた挑戦はありますか?
「文化交流の一環として、アジアの学生が交流できるようなプログラムを考え始めました。日中韓でのプロジェクトなどは既にありますが、東南アジアやオセアニアを含めたエリアでの学生レベルで交流する組織は、あまり見たことがないと思って。EU内で学生が自由に留学・交流ができる『ERASMUSプロジェクト』のアジア版みたいなものをつくれたら面白いんじゃないかなと思っています。
そのプロジェクトの構想を進めるのと同時に、最近、ダイバーシティについても考えるようになりました。4月から大学に進学するのですが、これまでの活動やダイバーシティについての問いを深めたいなと、いまからワクワクしているところです!」
讃良のプロフィール
年齢:17歳
出身地:東京都新宿区
所属:女子学院高等学校、学生団体「日和」、MAKERS UNIVERSITY U-18
趣味:カラオケ、美術館めぐり
好きな言葉:不易流行
讃良のSNS
MITの学生さん向けにオンラインで茶道×マインドフルネスをテーマに講義をしてきました!来月またやります、たのしかった pic.twitter.com/G8rtV4qK0M
— さら (@sala_eijaku) April 23, 2022
Photo:Eri Miura
Text:Ayuka Moriya