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タイで普及が進む商業用EV。バスやタクシーだけでなく、アイスクリームを運ぶトラックにも【Steenz Breaking News】

タイで普及が進む商業用EV。バスやタクシーだけでなく、アイスクリームを運ぶトラックにも【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、タイで商業車のEV化が加速しているというニュースについてご紹介します。

気候変動対策のカギとなるEV普及。中でも商用車のEV化に注目。

気候変動対策の一環として、世界的に電気自動車(EV)の普及が進んでいますが、タイでは、世界をリードするようなEV普及が進み、トラックやタクシーなどといった商業車でもEV化の動きが見られます。

もともと、商用車のEV化というのは、普及に向けての課題とされながらも、イニシャルコストの高さやランニングコストの面からも、なかなか普及が進みにくいと言われています。しかしタイでは最近、大手企業がアイスクリーム搬送トラックをすべてEVにする計画を発表して注目を集めるなど、取り組みが進んでいるのです。

空港や公共バスでEV導入

交通渋滞が慢性化しており、排気ガス削減の取り組みが課題となっているタイ。CO2排出による地球温暖化の問題だけでなく、大気汚染による健康悪化問題への関心が高いと言われています。こうしたなか、タイ政府は国内の自動車生産に占めるEVの割合を、2030年までに3割にする目標を掲げています。

 

こうした政府のEV振興策を受けて、個人にとどまらず、公共交通機関や商業車のEV化も進んでいます。2018年には、中国の自動車メーカー「BYD」のEVタクシーが空港で導入されたほか、公共バスでもEVの普及が加速。地元メディアによると、陸運局は2022年8月からEVバス153台を導入しており、年末までに1,250台にまで増やす計画を示しています。

アイスクリームの搬送トラックまでも全面EVへ

そんなEV化は、タイ現地の10代の身近なところにも。例えば、英蘭系食品・日用品大手ユニリーバのタイ法人が、アイスクリーム「ウォールズ」ブランドの輸送用トラックを、すべてEV化すると発表しました。今年は2台をEV化し、徐々に台数を増やす計画です。これにより、二酸化炭素の排出量を、化石燃料車の使用時と比較して、76%削減できるそうです。

同社のアイスクリーム事業の担当者は、「トラックに内蔵する電気式冷凍庫でマイナス20度からマイナス22度の温度に保ち、ガソリン車と変わらない品質のアイスクリームを消費者に届ける」としています。おいしさに影響がないのは大前提ですよね。

EVの生産計画が続々

こうしたEVの商業利用拡大を見込み、国内・海外メーカーが、EVトラックの生産に向けて準備を進めています。

中国商用車大手「北汽福田汽車」は、タイの財閥・CPグループと合弁で、2021年11月、タイの商用EV市場に参入しました。数年以内にタイでEVを含めた自社工場の建設も検討しています。一方、タイの再生可能エネルギー大手の「エナジー・アブソルート(EA)」も小型トラックのEVを開発していて、今後は大型トラックの開発も計画しています。

タイはもともと、安い労務費や東南アジアの中心地にあるという特性を活かして、世界の自動車産業の生産・輸出拠点として発展を遂げてきました。日本をはじめとする各国の自動車メーカーが進出しており、タイの新車販売市場でトップシェアを持つトヨタ自動車なども、タイでのEV生産を計画しています。

今後、タイは世界のEV化をリードする国として、存在感を強めていきそうです。

Reference:
Wall’s is protecting the planet by becoming the first brand to use 100% electric ice cream trucks in Thailand

Text:Risako Hata

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Risako Hata

ライター

タイ在住のジャーナリスト。共同通信系メディアにて5年のタイ駐在を経て独立。現在は、アジアの経済や人道問題、SDGsに関連する記事を執筆。

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