「気になる10代名鑑」14人目は、CGディレクター・NAKAKENさん(19)。大学で数学を学ぶ傍ら、GReeeeNやONE OK ROCKといった有名アーティストのMVやライブの背景映像のCGを手掛けています。撮影日の数日後にハタチの誕生日を迎えるという彼に、これまでの活動や今後の夢について、聞いてみました。
■NAKAKENを知る10の質問
Q1. プロフィールを教えてください。
「早稲田大学に通いながら、フリーランスの映像クリエイターとして活動しています。仕事としては、主にアーティストさんのMVやライブの背景映像を受注しています。今は同世代のCGクリエイター7人で結成した『UNDEFINED』というチームで活動もしていて、仕事はそこから受けています。
また、最近ではNFTアートもはじめました」
GReeeeN – Lemonade 【Music Video】
CGディレクション、VFXコンポジット、3Dモーションデザイン等しました🍋VFXから3Dモーショングラフィックスまで幅広い表現を織り込んだ時空を超えた壮大な青春MVになったと思います。最高の曲と最高のスタッフに感謝です🍋↓制作担当シーン https://t.co/d70PUgmRAE pic.twitter.com/wacxhOGDaz— NAKAKEN (@nakakenmono) October 11, 2021
Q2. CGを始めたきっかけを教えてください。
「高校の1年上に、38912 DIGITALさんという、今でもいっしょにお仕事させていただいている先輩がいて。彼は中学生のころから、CG業界から注目されているような人でした。彼と同じ部活に入って、彼に感化されて始めたというかたちです。
もともと、図工や絵を描くことは好きだったので、CGだったらこういう表現ができるのか、とか、映画で観るCGはこういうふうにつくられてるんだ、とか、少しずつ勉強していきました。
最初は作品を自主制作をしているだけだったんですが、高3の時にTwitterにアップした映像がバズって、1000RT、4000いいねまでいって。
そこからいろいろな人から声をかけてもらうようになりました。音楽プロデューサーの方から、『こういうLIVEの映像やってみない?』とお誘いを受けたり、MVを制作させてもらったり。その実績をSNSで公開することで、別の企業さんからお仕事をいただいくようになって、今に至るっていう感じですね」
本日10/28リリースの「ONE OK ROCK」さんのLIVE DVD & Blu-ray[“EYE OF THE STORM” JAPAN TOUR]の中のオープニング映像と1曲目のEYE OF THE STORMの映像を針Needle (@hari_needle)にて制作させて頂きました。是非ご覧下さい!
昨年2019年に制作させて頂いた映像です!#EYEOFTHESTORM#ONEOKROCK pic.twitter.com/a0xbQppRng— NAKAKEN (@nakakenmono) October 28, 2020
Q3. 大学では何を勉強しているのですか?
「数学です。自分が生きている世界のことを、広く深く学んでいきたくて。『CGだけ!』みたいに偏り過ぎると、それしかできないことになってしまうので。ただ、自分としては、それほど数学が得意なわけではなく、どちらかといえば理系かな…っていうくらいでしたけど」
Q4. インスピレーションはどこから?
「空いた時間があるとInstagramやPinterest、Behanceとかを無限に見ていて、気になったものは保存しています。それで、保存したものを見返していると、けっこう傾向があったりするんですよね。自分で実際も何かをつくるってなったときには、そこからリファレンスを取ってますね。
映画もよく観るんですが、ついついクリエイター目線で見てしまうので、CGや演出に注目してしまいますね。最近だと『デューン 砂の惑星』やNETFLIXのアニメ『アーケイン』があまりにもすごくて…オススメです」
Q5. いま注目している技術はありますか?
「NFTやその周辺のメタバースでしょうか。トレンドではなくて新しいツールだと考えています。デジタルの価値が適正に評価されないと、メディアアーティストは飯を食っていくことが難しい。それに、クライアントワークをメインとしているクリエイターにとっても、自己表現に付加価値がつくのはいいことだと捉えています」
foundationで発行したNFTのオリジナル3DCGアート作品「Fountain 2021」につきまして、@Eyori_jp さんにより0.2ETH(約8万円)で落札されました!
売上は全て次のNFT用の作品の制作費にあてさせていただきます。https://t.co/Ajfpn1RFbi— NAKAKEN (@nakakenmono) October 19, 2021
Q6. あなたの「宝物」を教えてください。
「今年初めに買ったカメラ、『SIGMA fp』です。もともとNikonを持ってたんですけれど、fpのデザイン性やコンパクトなところ、一眼レフ並みの性能が気に入りました。オートフォーカスはひどいんですけれど(笑)、それ以外は万能だったので選びました」
Q7. 生きるうえでのポリシーがあれば教えてください。
「目標や夢を追うことは大事ですが、今の自分が幸せを感じられているかどうかを気を付けながら生きています。目標や夢を追うことは、良いことばかりではないので」
Q8. 世の中が「こう変わればいい」と思うことは?
「いまの社会にある同調圧力のひとつに、『若いうちは夢があるのが当たり前』というのがあると思います。よくドリームハラスメントと言われていますね。
夢なんて、無理やり見つけようとしても見つけられるものではなく、自由な時間に自然と調べ物をして、好きなことに取り組んだ先で夢が見つかると思っています。
子どもや学生に『あなたの夢はなんですか』と聞いたり、『生きていくうえで夢があったほうがいい』と説く前に、仕事や社会の仕組みをもっと伝えたうえで、自由な時間を与えてあげてほしいです」
Q9. 今後の展望は?
「自分の現在の能力を活かして稼ぐことがモットーなので、世界に自分の代わりがいないと言えるくらい、さまざまな能力を掛け合わせて活動していきたいと思っています。
仮にそれが叶わなくとも、普通にCGクリエイターや映像クリエイターをしている思うので、リスクはあまりありません。なので、むしろ気長に活動しています」
Q10. 同じ時代を生きる10代にメッセージをお願いします。
「まずやりたいことが見つかっている人に向けてですが、10代でやりたいことが見つかっている人はあまり多くはないので、その中で競争しようと思えば簡単にトップになれたりします。ただそこが落とし穴で、多くの人が競争に参加する20代は、調子をこいていると、すぐ天才に追い越されてしまいます。決して油断せず、地道に続けていくことが大事だと思います。
やりたいことがまだ見つかっていない人は、学生のうちに見つけないといけないわけではないので、決してそれで自己否定をしたりしないほうがいい。学業も大事ですが、それだけでやりたいことが見つかるなんて不可能。ネット社会を活かして、外の世界も見てみましょう。
大事なのは、今自分がやりがいや幸福感を感じていないのであれば、それを変えようとする心意気を持ち続けることだと思います。そこは僕自身も気をつけながら、これからの20代を生きていこうと考えています」
■NAKAKENの今日のファッション
「無機質なものによく惹かれます。建築で例えると、安藤忠雄さんとかですね。コンクリートの打ちっぱなしみたいな、素材をそのまま張り付けたようなものがすごく好きなんです。そういうのもあって、服も、柄やキーポイントとなるデザインがあるものよりも、無地を着ることが多いです」
■NAKAKENのSNS
★Behance
Photo:Eri MiuraText:Atsuko ArahataEdit:Takeshi Koh