
「気になる10代名鑑」1420人目は、鈴木慶雅さん(16)。ラオスの教育格差を継続的な支援で解決するためにプログラムコーディネーターとして活動しています。イギリス留学でウクライナ人のルームメイトに出会い、国際問題が身近なものになったという鈴木さんに、活動のきっかけや将来の展望を聞いてみました。
鈴木慶雅を知る5つの質問

Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?
「ラオスにおける教育格差を解消を目指して、教育支援に携わっています。ラオスには約50もの少数民族が暮らしていますが、民族間の言語の壁が原因で、都市部から山間部への教員の派遣や教材の翻訳が難しいという課題があって。そのような状況でも子どもたちが平等に教育を得られる社会を目指して、活動しています。
具体的には、NPO法人『Wisa』が運営するボランティアプログラム『LATP(ラオス・アカデミックツアープログラム)』のプログラムコーディネーターとして、ラオスのルアンパバーンの教育機関やラオス日本人センターへの訪問や新規受け入れ先の開拓などを担当しています。
あとは、今年の夏には『トビタテ!留学JAPAN』を通じて現地の教育機関でのインターンをしながら、ラオスの価値観やニーズを探る現地調査をおこないました。調査結果を継続的な支援の指針やガイド作りに活用しようと考えています」
Q2. 活動を始めたきっかけは?
「バイリンガル幼稚園に通っていたこともあり、幼いころから国際問題にはぼんやりと興味があって。より身近に感じ始めたのは、中学1年生のイギリス留学でした。ルームメイトがウクライナ出身の子で、ロシアによるウクライナ侵攻で兄を亡くしていたんです。そのことを聞いて、国際社会の問題がぐっと身近なものになり、自分の足で現地に赴いて何か行動しなければと強く感じました。
帰国して活動場所を探していた中学2年生のときに、『Wisa』に出会いました。そのころメンタルを崩してなかなか行動に踏み出せていない自分に焦りを感じていたこともあり、不登校の学生支援もおこなっているところに共感し、参加を決めました。
いまは、『Wisa』の現地駐在員が現地の人たちといっしょにプログラムを動かしていくという継続的な支援のあり方にも意義を感じながら、活動しています」
Q3. 活動する中で、印象的だった出会いは?
「行く先々の教育機関で、子どもたちが一生懸命勉強している姿が忘れられません。置かれた環境のなかで、自分の将来を自分の力で切り拓こうとする子どもたちの真剣な眼差しは、ぼくにとって強い衝撃で、現地で活動を続ける原動力になっています。
あとは、現地で出会うラオスの人たちがとにかく温かくて。現地で人気なセパタクローという、足を使うバレーボールのようなスポーツをやっている子がたくさんいるんです。中にはサッカーチームのユニフォームを着ている子もたくさんいて、そこからコミュニケーションが生まれたこともありました。言語を介さずスポーツを通してつながることができた経験は印象的でしたね」

Q4. 活動の中で、悩みがあれば教えてください。
「ラオスの人たちは温かくて謙虚で、でもその謙虚さゆえに一方的な支援のかたちだと遠慮されてしまうことがあります。
自分にとって当然だと思っていた考え方や物事の進め方が、必ずしも現地で受け入れられるとは限りません。言語の違いが生む考え方の違いも、壁のひとつです。ぼくはラオス語が話せないので、通訳や英語を駆使して少しでも溝を埋められるよう工夫をしていますが、文化や価値観の違いがある現地の人たちと協働することの難しさを、渡航のたびに感じています。
一方で、小さいころから小学校4校を転々としたりイギリスへ留学したりと、いろんなコミュニティへ飛び込んできた経験から、ぼく自身人と話すのが好きになったなと感じていて。サッカーのような言語を介さないコミュニケーションも大事にしながら、言語や文化の違いを越えて新たなつながりを築いていくことに楽しさも感じています」
Q5. 将来の展望は?
「『Wisa』の活動としては、『LATP』を参加者が現地で教育格差や他の社会問題への理解を深めたあと、帰国後の活動につなげられるようなプログラムに発展させていきたくて。
今夏に現地で得られた調査結果から継続支援のガイドを作成し、ニーズに合った支援のあり方を模索していきたいです。そして、かつてのぼくのように活動になかなか踏み出せない若者に届くよう、例えば『LATP』が開催する帰国後の報告会のような場を通じて、啓発活動にも力を入れていきたいですね。
また、現地で感じた言語の違いによる捉え方の違いを活かして、ラオスの人に合った英語の教育方法の研究も始めてみたくて。ラオスには英語を勉強している若者がたくさんいるのですが、なかなかいい教材がないという現状もあります。母語の特徴に合わせた教材作りにもいつか取り組みたいです。
具体的な将来の夢はまだ決まっていませんが、現地での活動や『AIG高校生外交官プログラム』への参加などを通して、国際問題に対してどんなアプローチをしていけるのか模索中です。どんな形になっても、これからもラオスに関わり続けていきたいです!」

鈴木慶雅のプロフィール
年齢:16歳
出身地:山形県山形市
所属:早稲田大学高等学院、NPO法人 Wisa
趣味:サッカー、麻雀、散歩
特技:アルペンスキー、アイススケート
大切にしている言葉:出来るかどうかじゃない、やりたいかどうか。
Photo:Nanako Araie
Text:Haru Ninagawa






