
「気になる10代名鑑」1389人目は、長田深玖さん(17)。子どもたちが社会とつながるきっかけをつくるアプリ「そっと」を開発しています。不登校経験者の長田さんが、外の世界とのつながりをつくりたいと始まったアプリ開発について、その理由や印象的な出来事を聞いてみました。
長田深玖を知る5つの質問
Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?
「スタディーメータ株式会社が運営する研究機関『First off Projects』で、子どもたちが社会とつながるための支援アプリ『そっと』の開発に、いちばん力を入れています。
もともとは不登校やひきこもりの子向けに、街の中にあるQRコードを読み取るとポイントが貯まり、“そっと”外に出ることを促してくれるという仕組みでした。いまは、より多くのターゲットに向けた包括的なデザインへと進化させています。
具体的には、街中や学校、塾などにあるQRコードを読み取ってポイントを貯め、そのポイントを使って、あらかじめ親や先生と決めておいた『約束』を消化するという仕組みです。
例えば、『10ポイント貯まったら、大好きなグミを買ってもらう』といった、日常の小さくて楽しい約束です。単にポイントを貯めるだけでなく、大人と子どもがいっしょに約束を決めるプロセスや、達成したときに『できたね』と褒め合える関係性を大切にしています」
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Q2. 活動を始めたきっかけは?
「わたし自身が不登校だったことです。
不登校だったころ、いちばん苦しかったのは『外に出ること』でした。最初は『学校に行きたくない』という気持ちだったのですが、一度休んで引きこもりに近くなると、いつの間にか『外に出ること自体が怖い』という状態に変わっていったんです。
一度社会から足が遠のくと、外の空気に触れるだけで世界中から否定されているような、居場所がないような不安に襲われてしまうんです。そうすると、明日も明後日も外に出られなくなるという悪循環に陥ってしまいます。
でも、通信制に転校してイベントなどの目的ができたとき、外に出るハードルがぐっと下がったことに気づきました。目的さえあれば、社会は思ったよりも大丈夫だと思える。その体験から、同じように悩む子どもたちが、そっと一歩を踏み出せるような、気持ちに寄り添う仕組みが必要だと感じました」

Q3. 活動する中で、印象的だった出会いは?
「スタディメーター株式会社の代表、箕輪旭さんとの出会いです。入った当初、スキルもなくて周りのレベルの高さに圧倒されていたわたしは、自分のやりたいことを語れなくて、半年ほど事務的な仕事ばかりを引き受けていました。でも12月に、勇気を振り絞りまくって『不登校支援がやりたい!』と箕輪さんに想いを伝えたんです。
驚かれるのではないかと思いましたが、箕輪さんは『いいじゃん、やってよ』と当たり前のように受け入れてくれました。その『変に心配せず、大丈夫だと思ってくれている』という空気感に、わたしは救われました。あのとき、わたしの勇気を受け止めてくれたからこそ、いまの活動があります」
Q4. 活動をする中で、印象的だった出来事は?
「活動が中国新聞に掲載されたとき、かつて関わりのあった人たちから『実はわたしも不登校だった時期があって……』といったメッセージをたくさんもらったことです。
不登校という問題が想像以上に身近であることを痛感すると同時に、自分の活動が誰かに届いていることを実感しました。そのメッセージをいただいたとき、わたし自身も『大丈夫だよ』と言ってもらえている気がして、自分を認めるための大きな糧になりました」

Q5. 将来の展望は?
「わたしのいちばんの目標は、自分を認められるようになることです。わたしは自分のことがあまり好きではないのですが、活動を通して社会に貢献し、誰かに認めてもらう経験を積み重ねることで、いつか自分自身のことも認めてあげたいと思っています。
言葉だけでなく行動で『ひとりじゃないよ』と示し続け、多くの子どもたちが安心して生きていける社会を築いていきたいです」

長田深玖のプロフィール
年齢:17歳
出身地:広島県広島市
所属:First off Projects
趣味・特技:音楽、いつでもどこでも寝られます
大切にしている言葉:明日は明日の風が吹く。
長田深玖のSNS
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Photo:Nanako Araie
Text:Selna Iwasa







