
「気になる10代名鑑」1321人目は、藤森貴大さん(19)。学生団体「Re:School」の代表として、教育系学生コミュニティの運営やフリースクールの立ち上げに取り組んでいます。誰かの中に生き続ける教育者が育つ連鎖をつくりたいと語る藤森さんに、活動を始めるにあたってのファーストアクションや実現したいビジョンについて聞いてみました。
藤森貴大を知る5つの質問

Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?
「学生団体『Re:School』の代表です。
今年の1月に立ち上げて、高校生と大学生あわせて16人の教育に関心を持っているメンバーたちといっしょに運営しています。4つの教育プロジェクトを並行して動かしているのですが、なかでもぼくが構想から立ち上げまで携わった『Edu Nexus』にいちばん思い入れがあります。
『Edu Nexus』は、教育業界に関わりたい高校生・大学生のためのコミュニティで、2週間に1回オンラインで集まって、ディスカッションをしています。教育と一口に言ってもその対象や目的や手法はさまざまで、公教育、受験教育、起業家教育など多様な教育実践が存在しています。多様な視点から教育に取り組む人たちが集まる場所があまりないと気づいて、このコミュニティを立ち上げました。
例えば、教育に関わりたいと思っても、教職を取るか取らないかで悩むことってよくあるんです。でも本当は、教員以外にもいろんな関わり方がある。逆に先生になる人たちは、学校以外の世界を知らないままもう一度学校に入っていく。だからこそ、いろんな立場の人たちが対等につながる場所が必要だと思っています」
Q2. 活動にあたってのファーストアクションは?
「最初の大きなアクションは、教育イノベーター発掘プロジェクト『NEXT』に応募してピッチ登壇をしたことです。教育ボランティア団体で2年くらい関わっていた、メタバース上で子どもたちに理想の学校をつくってもらうイベントの話をしました。
ぼく自身、ものすごく思い入れが強かったイベントで、子どもたちの理想を大人が真剣に聞いて共感していくという、対等な関係性がすごく好きだったんです。
ただ、ピッチでは自分が思っていた以上にボコボコにされて……。『これを通して、その子たちにどうなってほしいの?』と問われて、悩んでしまったのです。そこで、教育は単発のイベントで終わるものではなく長く続くものだから、長い目で見たときにどんなことができるのか、どんな影響を与えるのかを考える必要があると教えてもらいました。
その話にすごく納得をしてから、まずは地に足をつけてインタビューを重ねました。その経験があったことで、いまではより現実的な施策を考えられるようになるまで成長できたと思っています」

Q3. 活動をしている中で、印象的だった出来事は?
「高校3年のとき、教育ボランティア団体の代表に連れられて、静岡市の市民団体『静岡の未来を拓く会』のフォーラムに参加したことです。
そこは、元校長先生をはじめ、教育の最前線を走り続けてきた60〜70代くらいの人たちが集まっている場所でした。そして、『あるべき教育とは?』『いまの学校のあり方ってどうなの?』という議論を、ものすごい熱量で語り合っていたんです。当時のぼくはまだまだ教育への知識も経験も足りておらず、話の中身は半分もわかっていなかった気がします。それでも、その先輩たちの教育への強い思いはひしひしと伝わってきました。
参加者のみなさんの姿を見て、自分が60歳になったときにこんな人になっていたいなと憧れたんです。そして、目指すべき将来の姿を目の当たりにしたことで、自分と教育との関わりに現実味がでてきました。それまではなんとなく教育に関わっていたいと思っていた意識が、がっしりと固まった出来事でした。教育が自分ごとになり始めたんです」

Q4. 活動を通して、実現したいビジョンは?
「誰かの中に生き続ける教育者が育つ連鎖をつくることがぼくのビジョンです。教育の本当の価値とは教室や肩書きの中にあるものではなくて、出会った人の中に残り続けて、その人がまた次の誰かに手渡していく、そんな連鎖の中にあると信じています。
このビジョンは、アニメ『葬送のフリーレン』から影響を受けているんです。作中で『どうしてやさしくしてくれるの?』と聞かれた登場人物が『フリーレンならそうしているからです』と答えるシーンがあって。出会ってきた人の振る舞いが、自分の中に残って、次の誰かへの接し方になっていく。その連鎖がとても素敵に見えて、これが教育でもできたらいいなと思いました。
だから、ぼくがつくりたいのは立派な教育機関ではなくて、一人ひとりが誰かの中に生き続ける教育者になっていく、その土壌です。自分自身も、誰に対しても1人の人間として向き合う姿勢を大切にしたい。先生と生徒、支援する側される側みたいな隔たりなく、対等に尊重しあえる関わり方を、次につなげていきたいです」
Q5. 将来の展望は?
「近い目標としては、調布市でフリースクールを開校したいです。『ぼくらのひみつきち』をコンセプトに、2027年4月の開校を目指しています。学校をつくり上げる過程をいちばん大切にしたくて、みんなの教育への想いを持ち寄り、対話を重ねながら設計していけたらと思っています。
さらには、Re:School を法人化して、フリースクール運営・学校連携・実践者ネットワークを束ねる教育プラットフォームに育てたいです。いまは事業計画と空間デザインを考えていて、学校に通わない選択をした子どもたちが『だけどここには行きたい』と思える場所をどうつくるか試行錯誤しています。
1000年後にも価値を残したいと思っていますが、団体やフリースクールというかたちが残ってほしいというわけではありません。残したいのは、ぼくの理念や想いです。それが時代を超えていろんな人を経由しながら、連鎖として受け継がれていったらいいなと思っています」

藤森貴大のプロフィール
年齢:19歳
出身地:神奈川県川崎市麻生区
所属:早稲田大学 文化構想学部 2年/学生団体 Re:School Founder
趣味:アニメ鑑賞
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Photo:Nanako Araie
Text:Rinna Koike






