
「気になる10代名鑑」1258人目は、綾乃さん(16)。高校の演劇部で夏の大会で勝ち進むことを目標に、日々稽古に励んでいます。部内のオーディションに落ちた経験や裏方での失敗談も、いまでは前向きに捉えて突き進む綾乃さんに、演劇を始めたきっかけや将来の夢について聞いてみました。
綾乃を知る5つの質問

Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?
「高校で所属している演劇部での活動です。
3月27日におこなわれた『春フェス(横浜市高等学校春季演劇発表会)』では、同期の安達愛恵が脚本を担当した作品を発表しました。
これからは、4月後半におこなわれる校内での新歓公演、そして夏の大会に向けて練習を重ねていく予定です。これまで演者として舞台に立ってきましたが、今回は音響も担当し、裏方として作品作りに携わっています」
Q2. 活動にあたってのファーストアクションは?
「演劇に初めて触れたのは、中学の演劇部でした。
入部したのは友人についていったことがきっかけでしたが、もともと母が市民ミュージカルの劇団員だったことも影響しているかもしれません。そのときにはじめて演技というものに触れたので、最初はとりあえず周りの人の演技を見て真似るところから始めました。真似ることで、周りの子の演技の良さがどんどんわかるようになったんです。『この人の演技のここが好き』と言語化することができるようになっていって。
実は、そもそも人前に立つことが苦手な性格なんです……。即興で何かをしたり発言したりする場面では、緊張してしまうんです。でも、演劇は台本があって、自分ではない役になりきることができます。人前で話すことが苦手なわたしでも、台本を覚えて演じているときはあまり緊張することはありませんね」

Q3. 活動の中で、悩みがあれば教えてください。
「自分の演技が好きだと言えなくなりました。
いまも言えませんね。中学の演劇部では、第1志望の役が被ることがなく、いつも希望の役を演じていました。自分より演技が上手い人とぶつかって、その役を諦めるという経験がなくて。
でも、高校に入ってからはことごとく役が被って、これまでに3回オーディションに落ちました。演技を真似るように覚えていったからこそ、『わたしにはこれが足りないから、落ちたんだ』と他人と比べてしまうことも増えて。
実は3月の春フェスでも、役を勝ち取れず、音響に回ることになったんです。初の裏方でした。オーディションに落ちたときは、『自分がいなくても成立するのでは』と愕然としたのを覚えています。本番も、CDを流すタイミングを間違えるという大失敗をして、大号泣して……。演技もできないし、音響もできない。『自分は何にもできないんだ』と思いました。
でも、オーディションに落ちなければ、人生で音響に触れることはなかったのではないかと思うんです。だから、今回音響を担当することができてよかったと思うと同時に、これまで音響などの裏方を担当してきた先輩たちのすごさが身に染みて分かった気がしていて。練習を重ねて、次はミスなく操作できるようにしたいです!」
Q4. 活動を通して、実現したいビジョンは?
「自分の好きなものを、胸を張って好きだと言える未来であってほしいです。わたしが高校に入学していちばん素敵だと思ったことが、全員が自分の好きを貫けることでした。
中学では真面目なキャラクターだったわたしですが、本当はメイクが好きで。でも『優等生』というイメージが先行して、なかなか周りに言えずにいました。みんなが持つイメージと違う自分を出すことに抵抗があったんですね。でも、高校に入ってから、思い切って初めて髪を染めたときに『いいじゃん!』『かわいい!』と声をかけてもらって。そんな第一声をかけられるなんて、本当に素敵だなと思いました。
髪を思い切って切ってみたり、いつもと違う服を着てみたり、いつもと違うメイクをしてみたり。そんなときに、周りが肯定してくれる社会になったらいいなと思います」
Q5. 将来の展望は?
「演劇部の活動として、夏の大会でとりあえず勝てるように頑張ります。この大会で勝てなければ、2年生としては引退になってしまうので。頑張って入った高校の、大好きな演劇部で少しでも長く演技を続けられるように、努力していきます。
将来は、いまのところ教師になりたいんです。高校受験の際に、いまの高校はレベルが高くて、はじめ違う高校を志望していました。でも、やっぱり諦めきれなかったわたしを見て、担任の先生が『志願変更しなと言うことはできないけれど、その表情で卒業していくのは見たくない』と、志願変更を後押ししてくれたんです。卒業式で、『誇らしいから泣かないんだよ』というその先生の言葉を聞いて、そこから教師を志しましたね。
演劇は、これからも続けていきたいけれど、どう続けていこうか考える日々です。『大学のうちはまだできるかな』『大人になったらどうなるんだろう』『将来演劇を続ける人たちを、羨ましいと思うんだろうか』など、いろいろ考えを巡らせています」

綾乃のプロフィール
年齢:16歳
出身地:神奈川県横浜市
所属:神奈川総合高等学校、Musical&Drama club(M&D)
趣味:寝ること
特技:イライラしても寝れば治ります
大切にしている言葉:それを夢見ることができるのなら、あなたはそれを実現できる。
Photo:Nanako Araie
Text:Haru Ninagawa






