Teen's Snapshots

目の前のあなたに、わたしができる全力で。ウクライナ難民の学習支援から共生を考える大学生【飯島可奈・19歳】

目の前のあなたに、わたしができる全力で。ウクライナ難民の学習支援から共生を考える大学生【飯島可奈・19歳】

「気になる10代名鑑」の1237人目は、飯島可奈さん(19)。ウクライナ難民の支援から、海外にルーツを持つ子どもたちの学習支援など、共生にかかわる活動に取り組んでいます。母からの助言に救われて、活動をはじめたという飯島さんに、「共生」とは何か、そしてこれからのヴィジョンについて聞いてみました。

飯島可奈を知る5つの質問

Q1.いま、力を入れていることは?

「共生をテーマにした活動に力を入れています。

高校時代は、『#日本街で難民支援プロジェクト』という難民問題への支援活動をおこなっていました。現地への物資面や金銭面での支援に加えて、ウクライナ侵攻をきっかけに難民申請をして日本に避難してきた人々への生活支援にも携わりました。

特に力を入れていたのは、子どもたちへの学習支援です。難民申請をして日本にやってきた外国人は、NPOやNGOから最低限の支援は受けられていますが、子どもたちへの学習面でのサポートが手薄になってしまいがちで。日本語や英語がほとんど分からない彼らが、小中学校できちんと学べるように、日本語を教えていました。

ときには翻訳機を駆使したり(笑)。『勉強なんてしたくない』と言っていた子が、少しずつ日本語が分かるようになり、問題が解けるようになっていって嬉しそうにする顔を見た時はやりがいを感じましたね。

大学に入ってからも、海外にルーツを持つ子どもたちへの学習支援教室でボランティアをしているのですが、子どもたちに日本語学習のサポートをするとき、わたしが彼らの笑顔に支えられているように感じて。共生とは、ただいっしょにいるだけではなくて、持ちつ持たれつの関係でお互いがお互いに作用し合うことだと思うんです

Q2.活動を始めたきっかけは?

「9歳のとき、とあるドキュメンタリー番組を見た後に母からかけられた言葉です。

その番組では、当時わたしと同い年の途上国に住む女の子が、毎日何時間も歩いて水を汲みに行かなければならず、学校にも通えない生活を送っていることが紹介されていて。同じ時代に生きているのに、何もしなくても願いを叶えられる環境で生きてきた自分と、その子の生活との格差に衝撃を受けました。

世の中には、あらかじめ幸せな場所に生まれることができる枠が決まっていて、わたしがここに生まれてしまったせいで、幸せになれたはずの誰かの枠をとってしまったのではないか。わたしはそう感じて、『自分だけが幸せでいることが辛い。私がここに産まれなかったら、もしかしたらあの子が幸せになれていたかもしれないのに……。』と母に伝えたんです。

そんなわたしに、母が『この環境に生まれたからこそできることがきっとある。何かを変えたいと思うのなら、いまあなたにできる精一杯のことをやるといいよ』と声をかけてくれて。

その言葉がすっと入ってきて、ひとりでも多くの人の幸せに貢献するために活動を始めました」

Q3. 活動で大切にしていることは?

国籍や属性で人を捉えるのではなく、一人ひとりの考え方や感じ方を大切に向き合うようにしています。

実際に当事者である海外にルーツを持つ子どもたちに接していると、自身のアイデンティティに悩む子も結構いて。日本で長く生活しているにもかかわらず、周囲の子どもたちからは外国人扱いされてしまい、『自分はどこに属しているのだろう』と不安や葛藤が芽生えることがあるんです。そうした悩みに間近に触れると、同じ国籍を持っていても価値観から何まで同じはずがないんだから、一人ひとりの違いを大切に、いっしょにいられたらと改めて感じて。

その人自身の経験や思いを知ろうとする姿勢をもって、いろいろな立場や背景を持つ人と対話していきたいですね」

Q4.活動を通して、実現したいビジョンは?

みんなが自分自身の幸せを受け入れることで、全ての人が互いを理解し尊重し、自分の望みを自由に叶えられる共生の社会にしたいです。

同じ国籍でも、それぞれ経験や価値観は当たり前に違います。目に見える違いにとらわれすぎるのではなく、フラットな目線で相手を見ることが、互いを理解する第一歩になるのではないかと感じていて。

もちろん、一人ひとりに向き合うことの現実的な難しさも感じていて。教育現場では国籍や文化、発達特性など、子どもたちの背景は本当にさまざまですが、学校では教員数も限られているし、集団授業が基本なので、個人に合わせた充実した支援体制を置きにくいんです。加えて、発達障害の診断まではいかないグレーゾーンの子どもたちなど、国籍以外にも、学習支援が十分に届かない層もいて。

わたしは、支援の必要度は人によって違うからこそ、まずは目の前にいる相手のためにできることを精一杯考えたい。一人ひとりの違いを誰しもが前提に持つことで、少しずつ共生の社会に近づいていくんじゃないかって、信じているんです」

Q5.将来の展望は?

まだ構想段階ではありますが、発達障害やグレーゾーンを持つ子どもたちへの学習支援サービスの実装に向けて動いていきたいです。

これは、特殊な支援が必要でありながら支援を受けられていない子供達と、将来特別支援学校の先生や言語聴覚士、保育士などの資格を取りたい福祉学科の学生がいる大学をマッチングさせ、子どもたちへの支援を実習授業としておこなうというアイデアで。現在は、その準備のために専門家や似たサービスを行っている人にヒアリングをしているところです。

わたし自身、ADHDやディスレクシアなどの学習障害をもち、勉強に困難をもっています。わたしのように、いままで生活に困ってきた子どもたちへのサポートになれればこれ以上のことはありません。

母のあの時の助言を心に留めて、これからもわたしにできることを続けていきます」

飯島可奈のプロフィール

年齢:19歳
出身地:神奈川県平塚市
所属:明治学院大学社会学部社会福祉学科 、男子ラクロス部マネージャー、#日本街で難民支援プロジェクト
趣味:趣味:食べ放題に行く、大食い、セルフネイル
特技:プレゼンテーション
大切にしている言葉:何かを変えたいと思うのなら、今あなたにできる精一杯のことをやるといい。

飯島可奈のSNS

★Instagram


Photo:Nanako Araie
Text:Taishi Murakami

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Taishi Murakami

ライター

ライター。2025年4月にSteenzへジョイン。慶應義塾大学2年。大学生活の傍ら「気になる10代名鑑」での記事制作を担当。スタートアップ、パブリックアフェアーズ、終活やケア領域まで多様なテーマに跨って活躍している。

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