
「気になる10代名鑑」1236人目は、ゆういちろうさん(18)。メディアリテラシー教材づくりをきっかけに、体験から学ぶ面白さにのめり込み、現在は体験型主権者教育の実現を目指しています。かつては「成功したい」と語っていた彼が、社会のために動くことを選ぶようになった背景やこれから描く未来を聞きました。
ゆういちろうを知る5つの質問

Q1. プロフィールを教えてください。
「『体験型主権者教育』の実現に向けて、アプリ制作などに取り組んでいます。主権者教育とは、国や社会の問題を自分ごととして捉え、自ら考え、判断し、行動できる主権者を育てるための教育で、いま国としても力を入れている分野です。
高校1年生のときに『トビタテ!留学JAPAN』に合格したことをきっかけに、ビジネスコンテストへの参加や、メディアリテラシーを育む教材制作など、学校の枠を越えた学びに積極的に挑戦してきて。
ぼくはこれまでの学びを、知識として覚えるだけで終わらせたくないと思っています。子どもたちが実際に考え、対話し、意思決定を体験できるかたちにするにはどうすればいいのか。主権者教育の歴史や課題を学びながら、考えている最中です」
Q2.活動を始めたきっかけは?
「図書館司書の先生とメディアリテラシーの教材をつくるというプロジェクトに、単純な興味で参加してみたことです。
ただ、最初は全くうまくいきませんでした。知識や用語をまとめた教材をつくって後輩に授業をしてみたのですが、手応えがなくて。授業だから仕方なく学んでるという空気がありました。
それが悔しくて、授業をSNS投稿に隠されたリスクを探す体験型のものに変えてみたんです。みんなで投稿を見ながら『これ怪しくない?』って議論するかたちにしたら、後輩たちがすごく授業を楽しんでくれました。それぞれが課題を自分ごととして受け取り、自分なりの答えを持ち帰っていく姿を見て、体験から学ぶってこんなに面白いんだって気づいて。
その後、2025年の参議院選挙でフェイクニュースが溢れていると知り、こうした状況にこそメディアリテラシーが必要だと感じました。同時に、有権者でも投票をしない人がたくさんいる事実にも危機感を覚え、参政権の使い方を学ぶ機会も大切だと思って。そんな課題感から、これまでの活動を主権者教育のジャンルにも活用できるのではないかとひらめいたんです」

Q3活動するうえで、大切にしていることは?
「それが社会にとって本当に意味のあることかどうかです。儲かりそう、評価されそうといった理由ではなく、社会の本質的な課題に向き合えているかを基準にしています。
最初からそう考えられていたわけではありません。中学生の頃は、起業して成功して、稼いでやりたいという気持ちが強くて、社会のために何かをしようなんて考えたこともありませんでした。でも、高校1年生のときに『トビタテ!留学JAPAN』の壮行会に参加したことで、その考えは変わりました。
自分と同世代の仲間たちが、目標をもって社会貢献をしていて、すごくかっこいいと思ったんです。そして、一度きりの人生の時間を使うなら、誰かを少しでも幸せにできることに使いたいと思うようになりました。
同時に、自分が心からやりたいと思えることかどうかも大事にしています。好きだからこそ、本気で続けられるとも思うからです」

Q4.活動を通して、実現したいビジョンは?
「実現したいのは、社会課題を身近なものから世界規模のものまで自分ごととして捉え、行動にうつすことができる、優しくて強い人があふれる社会です。悩みながらも、自分なりの答えを出せる人が増えたら、社会はきっと少しずつ良い方向に進んでいくはずだと思っています。
でも、国や地球規模の課題はあまりに大きく、自分ひとりが何をしても変わらないと感じてしまいがちです。だからこそ大切なのは、体験することだと考えています。
だから、まずは学校という身近な社会の中で、変えたいと思ったことを実際に声に出し、仲間を集め、議論の経験ができる仕組みをつくりたいです。そうすれば、自分にも社会を動かす力があるという実感につながると思うんです」
Q5. 将来の展望は?
「将来は、高校の公民科教員として、生徒会制度を活用した体験型主権者教育を実践したいと考えています。
授業の中だけで完結するのではなく、学校という身近な社会の中で、課題を自分ごととして捉え、対話しながら意思決定を重ねていく。そんな経験を日常の中に組み込みたいんです。政治や社会を遠いものではなく、自分と地続きのものとして感じられる生徒を育てたいと思っています。
身近な課題を自分の力で変えていく経験の積み重ねのその先に、若者の投票率向上のような目に見える変化も生まれるかもしれない。
そしていつか、自分の教え子に『いい先生に出会えた』と思ってもらいたくて。自分が高校時代に出会った大人や社会に救われたように、今度は自分が恩を送る番だと思っています」

ゆういちろうのプロフィール
年齢:18歳
出身地:神奈川県横浜市
所属:関東学院六浦高等学校3年・Beyond 2020 NEXT PROJECT・トビタテ!留学JAPAN高校8期生
趣味・特技:ポッドキャストを聴きながら散歩する
大切にしている言葉:本質
Photo:Nanako Araie
Text:Rinna Koike






