
タイムリーな話題から、カルチャー、さらには社会問題まで、さまざまなテーマについて、リアルな10代の声を聞くシリーズ「10代リアルVOICE」。
今回は、「今年ハマったモノ・コト・ヒト」をテーマに、2025年を振り返りました。アート、研究、音楽、テクノロジー、10代ならではの視点や価値観が垣間見えるような、日常のちょっとした楽しみを聞きました。
1. 渡邉楽さん「記録することで、日常を面白く」

巨大な1円玉や「動く生肉」など、町中にユーモアあふれるアートをもたらす作品作りを手掛ける1美大生・19歳。
ハマったモノ|カメラ
クラスメイトにカメラに詳しい人が何人かいて、教えてもらいながら購入。カメラを持つようになってから、何気ない瞬間も自然と記録するようになりました。
ハマったコト|作字&日記
「字日記」という、その日にあったことをオリジナルのフォントで記録する活動を始めました。小さな出来事や、あとから思い返すと面白いことを残しておけるのが楽しいです。
ハマったヒト|上下する
藝祭やサークルの先輩でもあるピン芸人。音楽と絵を組み合わせたリズムネタが印象的で、藝大生でお笑いをしている人が少ない分、親近感が湧きました。
2. 福島にこさん「探究を支えてくれたのは、AIと人との出会い」

着ているだけで発電ができる服の開発に取り組み、大阪・関西万博でのパネルディスカッションへも参加した・16歳。
ハマったモノ|AIツール
研究の効率化やプレゼン資料づくりをサポートしてくれるAIにハマりました。データ整理や英語論文の要約、スライドのブラッシュアップまで、日々の学習や研究に欠かせない存在です。
ハマったコト|発電服の探究活動
発表会やイベントに参加するたびに視野が広がり、研究の面白さや社会課題への意識も深まりました。失敗から学ぶ経験を重ねるなかで、自信と挑戦心が育ったと感じています。
ハマったヒト|同世代の研究者たち
コンテストで出会った同世代の研究者や社会活動家の姿に刺激を受けました。探究心と情熱に触れ、自分もこんな存在になりたいと思うようになりました。
3. 宮澤昂佑さん「気づいたら、沼っていた」

ドイツでの生活がきっかけとなり、谷をテーマにした手ぬぐいブランド「しぶず」の代表として活動している・17歳。
ハマったモノ|テニスラケット
なぜか急にテニスにハマって、ラケットを調べまくるように。打感や重さの違いがわかってくると、使い比べるのが楽しくなりました。ちょっとした沼です。
ハマったコト|宇宙
宇宙の動画を見始めたら止まらなくなって、夜中にブラックホールの解説を見ていることも。悩みがどうでもよくなるスケール感が好きです。つい“宇宙ってやばい”って思いながら過ごす時間が増えました。
ハマったヒト|ヨルシカ
なんとなく聴き始めたら、今年いちばん聴いた存在に。曲の雰囲気や世界観がちょうどハマって、気がついたらプレイリストがヨルシカだらけになっていました。理由はないけど、いまの気分にしっくりくる音楽です。
4. 木下大地さん「尖った趣味が、日常をつくる

今年4月にクリエイティブレーベル『KIMAGURE FILM』として独立。企画から編集までワンストップで映像制作を手がける・19歳。
ハマったモノ|サングラス・メガネ
Ray-Banでバイトしている友達がきっかけでハマりました。だいぶトンガったデザインが好きです。
ハマったコト|VHSテープ集め
リサイクルショップで当時モノの画質で観るジブリ作品を集めています。需要がないので110円で買えることもあって、経済的です(笑)。
ハマったヒト|細野悠太
CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUINのベースを担当している方です。細野悠太さんのご学友と話す機会があり、魅力的な方だと感じました。いつかいっしょに仕事ができたら嬉しいです。
5. 安達愛恵さん「アーティストの背景や活動に惹かれた」

高校生のためのミュージカル団体で高校生演劇を支える傍ら、脚本執筆にも取り組む、無類の演劇好きな高校生・16歳
ハマったモノ|イヤーカフ
高校に入学して服装が自由になり、何かアクセサリーをつけてみたいと思うようになりました。でも、ピアスを開けるのは少し億劫で……。そんなときに出会ったのがイヤーカフです。小さいのに可愛くて、つけていても気にならないところがすごく魅力的で、気づいたらいろいろ集めていました。
ハマったコト|高校演劇
中学生の頃からずっと憧れていた高校演劇。実際に自分がやれるようになって、さらに気持ちが燃えています。中学よりも本格的な稽古を経験するようになり、クオリティの高い作品をみんなでつくっていく時間が楽しくて仕方がありません。
ハマったヒト|KEYTALK、HANA
普段から音楽をよく聴くので、ハマったアーティストのことは自然と深く調べるようになりました。今年はKEYTALKとHANAに特に夢中になり、音楽だけでなく背景や活動にも惹かれています。
6. 愛鈴さん「偶然と直感を信じて、表現を続ける」

写真や服、本づくりを通して、境界なく、その表現に愚直に取り組み続けている・19歳。
ハマったモノ|110mmのフィルムカメラ
35mmよりも光の粒を感じられる気がして。形が面白いものが多いのも魅力です。
ハマったコト|ジャンクカメラ探し
使えるかどうか探りながら買って、いい写真が撮れたときは運命を感じます。
ハマったヒト|ヤマシタトモコ
数年前から好きな漫画家。今年刊行された『SUGAR GIRL』が、自分の悩みに違う角度から向き合ってくれて、心に余裕が生まれました。
7. 小林廉さん「物語と移動で、視点が広がった1年」

高校の新聞部の部長と式典実行委員、音楽とデザインのふたつの有志団体で活動する、多方面にエネルギッシュな高校生・16歳。
ハマったモノ|大河ドラマ『べらぼう』
出版で江戸を席巻した蔦屋重三郎の物語。毎週欠かさず観ていました。蔦屋重三郎が、豊かな想像力と独創的なアイデアでたくさんの本を流行らせ、江戸を席巻していきます。
新聞づくりやデザインをしている自分にとって、発想の刺激になりました。自分もこんなふうに奇想天外なアイデアで人を驚かせたり、注目を集めたりできたらいいなと思います。
ハマったコト|夜行バス旅
今年は、夜行バスで旅行に行くことが増えました。夜行バスは目的地に早朝に着くので、朝しかやっていないイベントや景色を楽しむことができるので愛用しています。引き換えにバスの座席で寝るのが少し大変ですが、目的地での時間を有効活用でき交通費も節約できるのでおすすめです。
ハマったヒト|特になし
いまはモノやコトに夢中な一年でした
8. 有香さん「AIと音楽が、挑戦の軸になった」

言語をAIでパーソナライズした音楽に合わせて学習するアプリ開発に挑戦する大学生・19歳。
ハマったモノ・コト|Langic AIの起業とAI活用
今年いちばん力を入れたのは、言語をAIでパーソナライズした音楽学習アプリ「Langic AI」の起業です。テクノロジーを使って頭の中のアイデアを形にし、仲間を巻き込みながら価値を生み出していくプロセスに、大きなやりがいを感じています。単なるビジネスではなく、夢や信念があるからこそ本気で向き合える挑戦だと思いました。
その影響もあり、今年は特にAIの活用に夢中になりました。作詞や音楽生成、分析ツールなど、さまざまなAIに触れるなかで、テクノロジーが創造性を大きく広げてくれることを実感しています。自分のアイデアをすぐに形にできる感覚が楽しく、スキルとして学び続けたい分野です。
ハマったヒト|FRUITS ZIPPER
今年ハマった存在はFRUITS ZIPPER。前向きなエネルギーと、見ている人を明るくする世界観に刺激を受けました。挑戦を恐れず夢を掴みにいく姿勢に触れ、「自分もいつか人に夢を与えられる存在になりたい」と思うようになりました。
10代の飽くなき挑戦と、それを支える趣味や娯楽の数々。個性に溢れたティーンたちの1年をうかがうことができました。これからも「10代リアルVOICE」では、10代ならではのリアルな関心や日常を届けていきます。
Photo:Nanako Araie
Text:Serina Hirano














