
世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、日本と世界の政治における女性参加についてご紹介します。
10月21日、日本で初めて女性が総理大臣に
10月21日、衆参両院の議員による投票の結果、自民党の高市早苗総裁が第104代内閣総理大臣に指名されました。
#自由民主先出し
「責任ある積極財政」路線を強調
高市総理が就任後初の所信表明… pic.twitter.com/yV29fqrH8a— 自民党広報 (@jimin_koho) October 24, 2025
このことは、世界からも注目を集めています。例えば、10月21日以降、イギリスのBBCやアメリカのNBC NEWS、CNN、Bloombergといった大手メディアが高市総理の就任とその後の動向を報道。女性が政治を率いることで、日本がどのように変わるのか、あるいは変わらないのかを、冷静に分析しながら報じているメディアが多いようです。
歴史はわずか80年。日本における女性の政治参加の歩み
日本は、世界経済フォーラムが2006年から発表している「ジェンダー・ギャップ指数」において、特に政治・経済分野で男女格差が大きいことが長く指摘されてきました。そうした中で、初めて女性が総理大臣に就任したことは大きな変化だと言えます。
日本で現在のような選挙制度が始まったのは、1889年のこと。同年2月11日に衆議院議員選挙法が制定され、国民が自ら政治を託す議員を選べるようになりました。しかし、当時はまだ、全国民に選挙権が与えられたわけではありませんでした。投票できるのは、25歳以上の男性で、満1年以上にわたって15円(当時)以上の国税を収めている人のみ。女性には参政権がなかった上に、男性でも一部の人にしか選挙に行く権利がありませんでした。

その後、国民の強い要望を受けて、1925年に納税額の要件が撤廃され、全ての男性が選挙で投票できることに。ただ、このときもまだ、女性には参政権が認められませんでした。
女性の参政権を求める運動は、それより少し前の大正デモクラシーのころから活発化しています。1919年11月には、平塚らいてう、市川房枝らが新婦人協会を設立。議会に対して衆議院議員選挙法の改正を請願するなど、女性が選挙に行く権利を得られるよう奮闘しました。太平洋戦争で女性の参政権を求める運動は一度ストップしてしまいますが、草の根の活動によって、1945年12月にようやく、国政における女性の参政権が実現。1946年4月には39人の女性議員が誕生し、同年9月には地方議会でも女性の選挙権・被選挙権が認められることとなりました。
日本で女性議員の数は増えているが……
そうした歴史を経て、日本の女性議員数は徐々に増えつつあります。例えば、国政では2025年10月21日現在、衆議院で465名のうち72名、参議院で248名のうち74名が女性議員です。
一方で、今年発表された「ジェンダー・ギャップ指数」では、日本は依然として政治の分野で女性進出が遅れているという結果に。国会議員(衆院議員)の男女比が世界で115位、閣僚の男女比が124位と、世界各国の状況を見ても、日本にはまだまだ改善の余地が大きく残されているようです。
世界で活躍する女性リーダーたち
では、世界では、政治の分野における女性の活躍はどのような状況にあるのでしょうか。
まず大前提として、政治参加の男女平等は世界的にまだ大きな課題であることは否めません。先述の「ジェンダー・ギャップ指数」では、世界の政治分野における男女比が0.229と、他の分野と比べてかなり低いことが分かっています。
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ただ、そうした中でも、世界各地で女性リーダーは生まれています。例えば、メキシコでは2024年6月、クラウディア・シェインバウム氏が初の女性大統領となりました。デンマークでは、2022年12月より女性のメッテ・フレデリクセン氏が首相を務めています。アイスランドでは、2024年8月にハトラ・トーマスドッティル氏が歴代2人目となる女性大統領に。また、現在の欧州委員会委員長は女性のウルズラ・フォン・デア・ライエン氏で、欧州議会議長も女性のロベルタ・メツォラ氏です。
世界で初めて女性が首脳を務めたのは、英連邦自治セイロン(現スリランカ)のシリマボ・バンダラナイケ氏が首相に就任した1960年のことでした。それから65年の時を経て、現在では女性が国のトップに就任したことのある国が82カ国に達するまでになったのです。
政治で多くの女性が活躍する国、その背景とは
現在、政治の世界で多くの女性が活躍している国でも、過去には女性たちが政治参加の権利を求めて戦ってきた歴史があります。
例えば、アイスランドでは、1975年に女性人口の9割が仕事や家事を放棄して女性がいかに社会に欠かせない存在であるかを示した「女性の休日」というストライキが起きたことで、社会のあらゆる場面で男女平等の実現が進んでいきました。

男女平等が進んでいるイメージのあるスウェーデンでも、女性議員の比率が約40%程度に増えるまでには、草の根の活動がありました。1991年に「サポートストッキング運動」が始まり、女性議員が増えるメリットなどを多くの人に地道に知らせていったことで、現在の姿があります。
先人たちの歩みを、未来にどうつなぐ?
長い時間をかけて勝ち取られてきた、女性の政治参加の権利。日本を含む世界各国でまだ改善すべき点は多く残されているものの、状況は少しずつ前に進みつつあると感じます。
どの国にも、多様な性別、年齢、考え方、価値観を持つ人が暮らしているもの。女性の政治参加が進み、多様な視点や価値観が政治に反映されることで、多くの人にとって納得のいく政治、暮らしやすい社会の実現につながっていくのではないでしょうか。
References:
Gender Gap Report 2025 | 世界経済フォーラム
Text:Teruko Ichioka






