
世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、フェアトレード・ラベル・ジャパンが開催した「フェアトレード・ジャパン・アワード2025」について、ご紹介します。
今年のフェアトレード・ジャパン・アワードの結果は?
11月13日、東京・下北沢で、2回目となる「フェアトレード・ジャパン・アワード2025」が開催されました。フェアトレードとは、生産者の生活・労働環境の改善や貧困の削減のため、開発途上国から輸入しているものに対して、適正な価格での継続的な取引をおこなう仕組みのことです。

主催の認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン(以下、フェアトレード・ジャパン)は、日本国内における国際フェアトレード認証ラベルの認証・ライセンス事業などをおこなう国際組織です。国内の盛り上がりを支える企業や団体を表彰することで、その活動をさらに後押しすることを目的としています。

提供:認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン
日本国内のフェアトレード推進活動において、優れた功績のあった企業・団体を表彰する本アワード。総合大賞に輝いたのは、小川珈琲株式会社です。コーヒーは、国内のフェアトレード市場最大の産品。同社は2003年より国際フェアトレード認証を取得し、家庭用から業務用まで幅広くフェアトレード商品を展開するなど、日本での普及において、多大な貢献をしたことなどが評価されました。
その他は、セールス(コーヒー)部門、フェアトレードオフィス部門など9部門で、18の企業や団体が受賞しました。
気候変動でコーヒーやバナナがなくなる可能性も
アワードに合わせて、いくつかの関連企画も実施されました。
まずは「What’s “Fair”? 気候変動が奪う、私たちの未来」と題した、気候変動とフェアトレードをテーマにした体験型企画展。投票企画やVRを用い、1杯のコーヒーからフェアトレードを知るとともに、行動変容を訴える内容でした。

提供:認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン
さらに、アワード内ではふたつのトークセッションも展開されました。ひとつめのトークでは、フェアトレード中南米理事のシルビア・エレーラさんにより、ラテンアメリカのフェアトレードコーヒーの現状が語られました。

近年、気候変動によりコーヒー豆の収穫量だけではなく質にも悪影響が及んでいると話したシルビアさん。気温上昇や洪水、病害虫、森林火災の被害について、現地の写真を交えながら話す姿からは、生産地の惨状がありありと伝わってきました。
フェアトレード浸透と「選ばれる商品」に必要なこと
ふたつめに展開されたトークのテーマは、フェアトレード・ジャパン事務局長の潮崎真惟子さん、ビヨンドSDGs官民会議事務局長の川廷昌弘さん、博報堂ストラテジックプラニング局の村瀬悠さんによる「ビヨンドSDGsを踏まえたフェアトレードが生活者に選ばれるための伝え方」。
「SDGsネイティブ」とも言われる若い世代を中心に、感度の高い人が増え、自分ごととしての再定義や内面化が進んでいるそうです。その一方で「サステナ疲れ」を感じている人もいるのだとか。
そうした現状を踏まえた上で、美味しさなど商品そのものの価値向上や「顔の見える関係性」のアップデートによるリアルな手触り感を与えることが、フェアトレード商品が生活者に選ばれるためのポイントとなることが語られました。

また、フェアトレードは、その多岐にわたる仕組みや効果ゆえに、内容が一言で伝わりにくいという課題があります。そこで、フェアトレードの本質である「生産者の笑顔と消費者の笑顔が貿易を通じて交換される」という点をわかりやすく表現する新しいキーワードとして「スマイルトレード」が紹介されました。
さらなる議論や企業や生活者との共創が、フェアトレードの浸透につながると言う期待とともにトークは幕を閉じました。
いまこそ考えたい、フェアトレードのこと
経済、社会、環境に配慮したフェアトレードは、まだまだ国内で広がる可能性を秘めています。アワードの受賞企業や団体の事例を知ることから、生活にフェアトレードを取り入れてみませんか。
References:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000057.000082348.html
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000060.000082348.html
Text:kagari






