
世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、アフリカで増え続ける中国発の大型スーパーが及ぼす影響について現地の人に取材してみました。
なんでも手に入る中国発の大型スーパー
近年アフリカで中国の大型スーパーの数が増加しています。筆者が住むウガンダでも2024年に中国からの製品を大量に揃える大型スーパーが上陸し、オープン当初は1日に約5000人もの人が足を運んだとも言われています。隣国のケニアでは、すでに複数の店舗がオープンしているそう。中国の大型スーパーはアフリカの経済に大きな変化をもたらしているようです。
ウガンダの首都、カンパラに去年オープンした「チャイナタウン・スーパーストア(以下、チャイナタウン)」に行ってみると、まず圧倒されるのは店内の広さです。数えきれないほどの商品棚には、電子機器、台所用品、文房具、工具、美容製品、寝具、衣料品まで並び、2階にはソファやテーブルといった家具、テレビや洗濯機などの家電製品もありました。日本で「スーパー」と言えば食料品や日用品を扱うイメージがありますが、こちらでは生活用品などが主力のようです。

食べ物以外、必要なものは全てここで手に入るくらいの品揃えで、実際に買い物をしているウガンダ人も巨大なカートに大量の商品を入れている人ばかりでした。ウガンダにはそもそも大型スーパーがあまりないので、買い物をするときは何店舗も買い回らなければならないのですが、「チャイナタウン」では全ての商品がひとつの店舗で手に入ります。
さらに驚かされたのは値段で、どの商品の値段も街で売られている商品と同じ価格帯、もしくはそれよりも安い印象を受けました。それまでウガンダで中国製の商品を取り扱うお店はありましたが、ここまでの規模の店舗ではありませんでした。経済が成長し物価が高騰しているウガンダで、「チャイナタウン」はまさに、ゲームチェンジャーになっていると言えるでしょう。
国内生産能力はどうなる?
「チャイナタウン」のオープンによって、管理職やカスタマーサービス、セキュリティなど、100以上の直接的な雇用が創出されただけでなく、輸送業界などにも恩恵をもたらしました。また、ウガンダ政府は中国からの輸入により、多額の税収を得られるという側面もあります。
もともと中国製品などを取り扱っている小売業者の中には、大型スーパーで商品を安価で仕入れて再販する人々もいるのだとか。また、洋服や電子機器などの中古品が多く売られているウガンダにおいて「新品が安く手に入る」ということも現地の人にとっては大きな魅力のひとつになっているようです。

しかし、現地企業にとっては脅威でもあります。特に新品の衣料品や美容製品、台所用品などは、街なかのマーケットに行くと、どの店舗でも同じ中国の商品を取り扱っている光景を目にします。筆者の友人も、今まで肌の保湿のためにウガンダで作られたオーガニックシアバターを使っていたけれど、最近は中国製の安く手に入るボディークリームを使うようになった、と話していました。

現地の人々に話を聞いてみると「個人では安価な商品を購入できて助かっているけれど、ウガンダの経済のことを考えたら良くない」「レストランを経営しているから台所用品や掃除道具を購入するときに利用しているけれど、これ以上中国の大型スーパーが増えるべきではない」というように、メリットとデメリットの両方を感じている人が多いようでした。
ビジネスでも個人レベルでも中国の影響は広く及んでおり、国産の商品を製造する現地企業や国産の商品を取り扱う小売業者にとっては、顧客の維持が課題となっています。

アフリカ諸国の中には、中国企業は国内生産能力を弱体化させる脅威としてみている国もあります。たとえば南アフリカでは2024年、税務当局が、中国のオンライン販売会社である「Shein」と「Temu」などに輸入された商品には定額関税に加え、付加価値税(VAT)を課しました。
中国発の大型スーパーの到来は、政府としては税収を得られる手段となっている一方、長期的には現地企業や、地元のコミュニティで時間をかけて製造されたハンドメイドビジネスなど、広範囲に悪影響を及ぼす可能性もあります。輸入品への過度の依存を抑え、国内生産能力を強化するには、ある程度の規制や価格設定を設けた方が良いという意見もあります。みなさんはこの状況についてどう思うでしょうか。
References:
EPRC「China Town Superstore: Implications on Ugandans」
BUSINESS REPORT「Sars introducing new tax measure on Shein, Temu next month」
Text:Hao Kanayama






