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アフリカの人々に「服」で電気を届けたい!発電服開発で衣類の可能性を広げる高校生【福島にこ・16歳】

アフリカの人々に「服」で電気を届けたい!発電服開発で衣類の可能性を広げる高校生【福島にこ・16歳】

「気になる10代名鑑」の1132人目は、福島にこさん(16)。着ているだけで発電ができる服の開発に取り組んでいます。大阪・関西万博でのパネルディスカッションにも参加し活動の幅を広げる福島さんに、研究をはじめたきっかけとなったアフリカの少女の話や活動をする中での悩みを聞いてみました。

福島にこを知る5つの質問

Q1.いま、いちばん力をいれている活動は?

発電服の開発のために、日々研究をしています。

文字通り『発電をする服』なのですが、例えばスマホの充電が切れたといったような日常の小さな絶望を救うことから、無電化地域の問題解決まで、幅広い問題解決が目標です。

現在は、開発のためのサンプルづくりに取り組んでいて、安価なペルチェ素子をベストにつけることで、体温と外気温の温度差発電の可能性を探っています。

最終的には汗発電や振動発電を組み合わせることで、繊維そのものから発電できるようにしたいです」

Q2.活動を始めたきっかけは?

中学3年生の総合学習の時間に、無電化地域に暮らすアフリカの少女の映像を見たことがきっかけです。『家に電気があったら、もっと勉強できるのに』と呟く女の子の言葉が、強く心に残っています。

なぜかというと、彼女は日中は家事を任されているから。しかし、家には電気がなく、夜の時間、暗闇では勉強ができません。わたしと同じくらいの子が、地球の反対側でそんな苦しさを抱えていると知って、無電化地域の問題を解決したいと思ったのです。

発電服のアイデアをひらめいたのは、それから数ヶ月後の暑い日。何気なく母が発したひとことがきっかけでした。ラーメンを食べて汗をかく父に向かって、母が冗談で『お父さんのその熱で発電できたらいいね』と言ったんです。

その瞬間、あの時のアフリカの少女のことが頭に浮かんで、人体の熱で発電する洋服があれば、無電化地域にも希望を届けられるかもしれないとひらめきました

Q3.活動する中で、印象的だった出来事は?

大阪・関西万博という大舞台で、人生で初めてパネルディスカッションに登壇したことです。

テーマは『私と私たちの調和する未来:2050年とその先の共同体』でした。アートや研究、学問など、さまざまな分野で活躍する大人たちとともに、テクノロジーやアートによる調和の未来像について語り合いました。即興演奏のようにテンポよく展開される対話のなかで、発電服の研究を踏まえて、自分の考えを伝えることができたと思います。

特に印象に残ったのは、テクノロジーがイノベーションを起こす際に、社会の格差を広げてしまうことがあるという話です。テクノロジーは素晴らしいものだと思って研究をしていたからこそ、負の側面があることにすごく驚いて。そんなことにも目を向けながら、責任をもって研究に取り組む必要性を強く感じました」

Q4. 活動の中で、悩みがあれば教えてください。

「アイデアをコンクールに出したり、専門家と話したりするなかで、夢が少しずつ現実味を帯びてくると、同時に欠点や課題も見えてくるようになりました。理想と現実のギャップを痛感し、『もうこの研究はやめた方がいいのかもしれない』と悩むこともあります。

そんなときに支えになるのが、『TED Talks』の動画です。特に、小さな会社でロケット開発を続ける植松努さんのプレゼンは、発電服開発に挑む自分と照らし合わせられる部分が多くて、見返すたびに勇気をもらえるんです。幼い頃から夢を抱き続け、周囲に『どうせ無理』と言われても挑戦をやめない植松さんの姿勢は、ずっと憧れです。

自信をなくしたときこそ、諦めるか続けるかの二択に陥るのではなく、もっと良いかたちに変えていけないか考えられるかどうかが、大切だと思っていて。少し距離を置いて冷静に見直したり、新しい発見をしていく繰り返しの中で、自分の夢をより確かなものにしていきたいと思っています」

Q5. 将来の展望は?

発電服に関しては、今後は汗発電や振動発電も取り入れた、快適でスタイリッシュなものを作成したいとおもっています。また、医療や日常の充電切れ、災害時など様々な場面で発電服を活用できるようにしていきたいです。

そして将来は、世界中の人々の幸福度をあげることに貢献できる研究者になりたいです。いまは電気が使えない人々を幸せにするために研究をしているけれど、いつかは世界中すべてのひとに影響を与えられるようになりたいと思っています」

福島にこのプロフィール

年齢:16歳
出身地:東京都世田谷区
所属:筑波大学附属高等学校2年、三菱みらい育成財団 高校生MIRAI万博 第二部メンバー
趣味・特技:元素、演劇、文学作品を書く、アクロバット体操
大切にしている言葉:薬を10錠飲むよりも心の底から笑ったほうが効果があるはず

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Photo:Nanako Araie
Text:Rinna Koike

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