
タイムリーな話題から、カルチャー、さらには社会問題まで、さまざまなテーマについて、リアルな10代の声を聞くシリーズ「10代リアルVOICE」。
今回は、「キャラクター」について。2025年Z世代を風靡した「ラブブ」以外にも、愛すべきキャラクターはたくさん。リアルに好きなキャラクターやその思いについて、思う存分語ってもらいました。
1. 中原さん「失敗を重ねて前に進む。キャラクターから教わること」

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のボランティアとして、アフガニスタンで活動するなど、数多くのボランティアに取り組んでいる17歳の中原さん。
「アイアンマンが好きです!最初は、軍事ビジネスで成功した超お金持ちとして登場しますが、シリーズを通してアベンジャーズのリーダー的存在になっていく姿に惹かれました。
ずっと成功し続けているように見えるけれど、実はヒーローキャラクターの中で最も多く失敗しているキャラクターだと思います。象徴的なスーツも、作品ごとに失敗や欠点を踏まえて改良されていっていて、その過程を見るのがすごく好きなんです。
彼を見ていると、成功者って失敗を隠しているわけじゃなく、乗り越えてきた人なんだと感じます。アイアンマンは、自分にとって指針となるイメージ像のひとりです」
2. 篠田曉さん「見た目も、中身も、推せる。ご当地マスコット」

中学1年生のときに、旅行先へ持って行った古いデジカメをきっかけに、街中で目に留まった日常を、スナップ写真として切り取る活動を続けている14歳の篠田さん。
「名古屋テレビ放送(メ〜テレ)の公式マスコットキャラクター『ウルフィ』が好きです。
羊の皮を被った狼のキャラクターで、たまに耳を動かします。個人的にはテレビ局のマスコットキャラクターの中では1番可愛いのではないかと思っています。とくに、目がウルウルしているところや、羊の皮の背中側にチャックが付いているところが好きです」
3. 浅井柊香さん「静かでも芯があるような、正しさの形」

フィリピンで目にした貧困問題の現状に衝撃を受け、グローバルユース国連大使として2024年11月まで活動し、貧困の正しい知識を伝えていくべく活動する16歳の浅井さん。
「好きなキャラクターは、呪術廻戦の伏黒恵です。
冷静で無口だけれど、内には強い正義感と優しさを持っているところが好きです。完璧ではなく、ときに不器用なかたちでしか人を助けられない姿が、とても人間らしくて惹かれます。自分の理想と現実の間で葛藤しながらも、信念を貫こうとするところがかっこいいです。
伏黒を見ていると、正しさは誰かに押しつけるものではなく、自分の中で見つけていくものだと感じます。彼のように静かでも芯のある人になりたいと思い、日常の中でも少しずつ自分の考えを大事にするようになりました」
4. たはりーさん「自分の信念を貫く強さに憧れる」

小さい頃から算数が得意で、YouTubeを通して勉強の楽しさを発信している19歳のたはりーさん。
「自分なりの芯や判断基準をしっかり持って、それを曲げない強さのあるキャラクターに魅力を感じます。
特にとあるキャラクターの『自分の生き方に執着する』というセリフが好きで。何かを選ぶときや決めるときは、自分の直感や考えを大切にしようと思うようになりました。
そして、一度選んだものに対しては、自分が納得できるまでやりきりたいとも感じています。いまの社会では、何となく過ごしていると流されてしまうことも多いけれど、そんな中でも自分が大切にしたいことにこだわりを持ち続けていきたいです」
5. 大津里穂さん「タコピーのように素直でまっすぐな心を大切に。」

アフリカ・ルワンダでの留学経験をきっかけに、途上国への楽器寄贈や平和教育の普及、政策提言まで幅広く活動を続けている16歳の大津さん。
「最近印象に残っているキャラクターは『タコピーの原罪』のタコ型宇宙人・タコピーです。
人間社会の当たり前や善悪の基準がわからない、幼い子供のようにまっすぐで優しいキャラクター。人間をハッピーにしようとするけど、うまくいかずに傷つけてしまう不器用さ。それでも諦めずに『わかんないっぴ』と言いながら考え、無力感と向き合い行動し続ける姿が愛おしいです。
大人になるにつれ社会の厳しさに直面し、どうすればいいかわからなくなるわたしたちに、タコピーは不完全でも目の前の幸せを大切にすることを思い出させてくれます。タコピーのような不条理な世界を大きく変えることはできなくても、素直でまっすぐな心を大切に一歩ずつ進んでいきたいです」
6. JOETAROさん「看板キャラクター『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』がヒーロー」

グラフィティアーティストの傍ら、モデル、DJなど幅広く活動している、19歳のJOETAROさん
「セガゲームスの看板キャラクター『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』が僕にとってのヒーローです。
音速で街を駆け巡り、困っている人を助ける姿はまさに王道のヒーロー像。ビジュアルやクールな雰囲気には、和製キャラクターでありながら、どこかアメリカンな魅力があって、憧れています。
ソニックシリーズは、僕の人生においてまるでバイブルのような存在。彼のように、スマートで自由に生きたいと思っています」
7. 井上ららさん「ムーミンの愛らしさが大好きです」

同世代の複雑な心境を音楽にのせて表現するシンガーソングライター・19歳の井上ららさん
「わたしは、ムーミンが大好きです。
何を考えているかわからない、ほんわかした雰囲気。そして、ちょっとおっちょこちょいなのが魅力的です」
8. 松本 敬さん「研究活動にも通じる『おさるのジョージ』」

生物部に所属した中学生のころから、高尾山に住むムササビ研究に身を捧げてきた19歳の松本さん
「好きなキャラクターは、おさるのジョージです。
両親が買ってくれた絵本『ひとまねこざる』からはじまり、2008年からレギュラー放送がはじまったEテレのテレビアニメは、続けて放送される『ひつじのショーン』も含めて毎回欠かせずに観ていました。
ジョージの魅力は英題のCurious Georgeにあるように、好奇心が強くて、知りたがり屋であるところです。そんなジョージの背中を見て育ってきたので、身の回りの事象をそのまま受け流すのではなく、気になったことには『なぜ』を繰り返して、その疑問の解決のためには、たとえ向こう見ずでもとりあえず行動するという、探究心と実行力を学んだ気がします。
この精神は研究活動をするようになって、本当に大いに生きています」
アイアンマンのようなメジャーなキャラクターから、ご当地キャラクターまで。好きなキャラクターには、自身の価値観や理想が映し出されているようです。これからも、「10代リアルVOICE」では、世の中を自分ごととして捉えるティーンの視点を伝えていきます。
Photo:Nanako Araie
Text:Serina Hirano














