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オーストラリア留学で知った先住民の不平等な被害…気候変動の危機を訴え対話を目指す大学生【二ノ宮リム虹・19歳】

オーストラリア留学で知った先住民の不平等な被害…気候変動の危機を訴え対話を目指す大学生【二ノ宮リム虹・19歳】

気になる10代名鑑」の1125人目は、二ノ宮にのみやリムにじさん(19)。さまざま環境活動団体に所属しながら、気候変動の解決と公正な社会の実現のために邁進しています。オーストラリアでの高校留学中に知った、環境破壊による先住民の被害が衝撃的だったと語ってくれた二ノ宮さんに、活動での印象的な出来事や将来の展望について聞いてみました。

二ノ宮リム虹を知る5つの質問

Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?

気候危機をどうにかするために、気候正義を求める若者のムーブメント『Fridays For Future Tokyo』や、ドキュメンタリー制作をする『record 1.5』、選挙期間中に候補者にインタビューをする『選挙で聞きたい気候危機』などに参加しています。

最近では、世界気候アクションデーに他団体といっしょに、新宿駅前でアクションをおこないました。気候危機について声を上げることはもちろん、イスラエルによるパレスチナでの虐殺やロシアによるウクライナ侵攻についても声をあげようというイベントです。当日は司会進行を担当しましたが、100人以上の人が集まってくれて、いろんな分野で活動してきた人や大学教授などとも連帯できたことが印象に残っています」

Q2. 活動を始めたきっかけは?

「幼い頃から自然が大好きなこともあって、自然や生き物が傷つけられているニュースにショックを受けていて。最初は海洋プラスチック問題について取り組むようになりました。

気候変動問題に深く関わり始めたのは、オーストラリアに高校留学中、オーストラリアの先住民であるアボリジナルの人たちがいかに不平等な被害を受けているかを目の当たりにしたことがきっかけでした。二酸化炭素排出量が極端に少ない先住民の人たちが、干ばつなどの気候変動の影響や、現地のフラッキングと呼ばれる石炭採掘プロセスで引き起こされる環境被害を1番に受けていると聞いて。

たくさんの衝撃を受けたと同時に、その被害状況を身をもって知ることができた自分は恵まれているんだと自覚したんです。そこから、帰国したら自分でできることをしないとと思うようになりました」

Q3. 活動をしている中で、印象的だった出来事は?

昨年オーストラリア史上最大の環境アクションといわれる『The People’s Blockade』への参加と取材のお手伝いをしたことです。

これは、2023年から毎年やっているアクションで、留学中にホストファミリーが連れて行ってくれたのが最初でした。おじいちゃんおばあちゃんなのに気候アクティビストで、いろんなことを教えてくれて、彼らとの出会いも大きかったですね。

The People’s Blockadeでは、1週間かけて、みんなでカヤックで石炭輸出港を封鎖します。一見過激ですが、実はお祭りとか音楽ライブみたいな雰囲気で、プロテストとフェスティバルをかけあわせた『プロテスティバル』と呼ばれているんです。実際に音楽ライブやワークショップ、キャンプ生活、ヴィーガン食などが出店されていて、愛で溢れる場所でした。

活動は素敵な人たちとの楽しい出会いの連続で、それがわたしが進み続けられている理由だと思っています」

Q4. 活動の中で、悩みがあれば教えてください。

無力感にさいなまれることはしばしばあります。

今年2月には、2035年度までの温室効果ガス削減目標(NDC)が決められました。数値決定の直前まで、仲間たちと、署名やスタンディングアクション、ロビイングなどを通して国際シンクタンクの数値に基づいた数値の引き上げを求めましたが、結局わたしたちの思いは届きませんでした。

アクションを起こしたところで、意味はあるんだろうかと考えることもあります。参院選期間中に気候危機が争点化されなかったり、SNSで再エネのネガティブキャンペーンが広がっていたり。せわしない日常の中でどうしたら気候危機を少しでも考えてもらえるのか、模索中です。

こんなふうに定期的に落ち込みますが、『活動に刺激を受けた!』と言ってくれる人や高校生の声を聞くと、希望になります

Q5. 将来の展望は?

中学生の頃から、国境なき医師団で臨床心理士として働きたいという夢があります。紛争地帯で、性暴力などから心理的ストレスを受けた人のケアをしたいんです。

環境問題から遠ざかっているように見えるかもしれませんが、戦争は最大の環境破壊ともいわれるように、戦争と環境の関連性は切っても切り離せないものだと思っています。

あとは、社会問題を日常的に話す機会が足りてないなと感じていて。社会運動をやっていない友人や大好きな人たちもちょっとずつ巻き込んで、みんなで少しでも社会に思いを馳せる時間を作りたいです。そのために、いまは大学で映画上映会を企画中です。

『虹』という名前には、多様性を尊重できるようになってほしいという意味が込められています。だからこそ、地球上に生きるすべての人、生き物が生き生きと自分らしくいられて、弱い立場にある人がいたらその人の目線に立てあげられるような、やさしい社会をつくる一助となりたいです」

二ノ宮リム虹のプロフィール

年齢:19歳
出身地:東京都昭島市
所属:国際基督教大学、未来守、Fridays For Future Tokyo、record 1.5、選挙で聞きたい気候危機、ICUcompost、ICU地産地消プロジェクト、The Clumsy Chorus
趣味:自然と触れること、ゴスペル
特技:書道
大切にしている言葉:Be myself

Photo:Nanako Araie
Text:Haru Ninagawa

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