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高校生で伝統工芸「伊勢崎絣」に弟子入り。変化を恐れない伝統工芸のあり方を追求する大学生【秋山友花・19歳】

高校生で伝統工芸「伊勢崎絣」に弟子入り。変化を恐れない伝統工芸のあり方を追求する大学生【秋山友花・19歳】

「気になる10代名鑑」の1116人目は、秋山友花さん(19)。中学生のときに出会った地元の伝統工芸品・伊勢崎絣を後世につなぐために活動しています。ただ技術を継承するだけではなく、「その土地らしさ」を記録し伝えていくことが重要だという秋山さんに、大切にしていることや今後の伝統工芸の未来について聞いてみました。

秋山友花を知る5つの質問

Q1.いま、力を入れていることは?

地元・群馬県伊勢崎の伝統工芸である『伊勢崎絣いせさきがすり』の可能性を追求しています。

高校生のときに唯一の職人である、齋藤定夫さんのもとに弟子入りしたんです。技を直接教えてもらいながら、図面設計から織るところまで、全工程を自分でやって、ゼロから着物を作ったときはもう本当に感動して。技を未来に残し紡いでいくため、作り手として日々成長する毎日です。

でも、固定観念に囚われない新たな伊勢崎絣のありかたを考えてみたくて。3D技術や生成AI、紙や録音、動画などあらゆる手段を使って、伊勢崎絣のアーカイブ活動にも力を入れ始めています

 

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Q2.活動を始めたきっかけは?

高校入学前の春休みに、職人の定夫さんと出会い、卓越した技、尽きない創意工夫、知恵に大きな感銘を受けたと同時に、『定夫さんを最後に技を途絶えさせたくない……』という使命感が芽生えたことがきっかけです。

それから高校2年生までの2年間、工房に毎日のように通い詰めるようになって。工房では、伊勢崎絣や定夫さんの技術のすごさについて、わくわくした部分を語っていたんです。すると、当初の使命感からさらに、『もっと知りたい』という好奇心が止まらなくなって。この技を未来につなぐ一員になりたいと思うようになっていったんです。

次第に定夫さんにも、伊勢崎絣に向き合う自分の思いが本物だと認めてもらえるようになりました」

Q3.活動で大切にしていることは?

伝統工芸の背景にある『土地らしさ』や人の暮らし、感情を見つめることを大切にしています。

自分は、伊勢崎絣の技だけにこだわらないようにしていて。越前和紙や遠州織物などの他の産地にも足を運んでみると、地元では一面的にしか見えていなかった伊勢崎絣のことを、もっと深く理解できるようになって。よいところも課題も含めて、解像度が高まっていくんです。

実際に向き合っているうちに、伊勢崎絣は、伝統工芸よりむしろ“産業”として変化を重ねてきたものだとわかりました。だから、伝統工芸を『ただ守らなければならないもの』と固定的にとらえてしまうと、その奥にある土地の営みを見失ってしまいそうで。

変化を恐れず、必要があれば新しいかたちに変えることが求められていると思うんです

Q4.活動を通して、実現したいビジョンは?

その土地に息づく伝統的な技が『その土地らしさ』のアイデンティティとして大切にされ、他の産業やまちづくりの中で、影響を与えていく社会をつくりたいです。

伝統工芸は、その土地ならではの価値観や感性を映し出すフィルターの役割を果たせるのではないかと思うんです。

だからこそ、そうした伝統工芸を通して、『この土地には、こういう美しさや人の営みがあるんだ……!』と気づけいてもらえたり、そこに住まう人との関わりを大切にできたりと、地域を大切にする一歩をはじめて踏み出すことができると思っていて。

地域を好きになり、地域でエネルギッシュに生きるひとをもっと増やしていくことから、伝統工芸の価値を高めて、まちづくりにつなげていけたらなと思っています」

Q5.将来の展望は?

職人として技術面での成長を続けながら、もっと伊勢崎絣と向き合い続けたいです。

わたしは、伊勢崎絣の魅力は、齋藤定夫さんというひとりの職人さんの生き方や価値観にもあると思っていて。そこに触れ続けることで、伝統工芸の本当の魅力を感じて、わくわくし続けていたいんです。

けれど、職人としての視点だけでは、地域の内側に閉じこもってしまうような気もしていて。だから、同時に、地域の外側のことを知って、地域外のひとを地域内に巻き込む橋渡しの役割を担っていきたいと思っています。

地域に生きるエネルギーを言語化したり、かたちにしたり。地域の内と外の境界線に立って、それを地域の外に送り出していく。そんな“翻訳者”になって、好奇心を大切に探究を続けていきたいです」

秋山友花のプロフィール

年齢:19歳
出身地:群馬県伊勢崎市
所属:早稲田大学社会科学部
趣味:職人巡り・まち歩き・旅・「世界中の国名+〇〇」をGoogleマップに入れて異国料理屋を探すこと。
特技:新しいワクワクポイントを発見すること。集中力がずっと続くこと。
大切にしている言葉:どうせやるなら一生懸命。同じやるなら一生懸命。

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Photo:Nanako Araie
Text:Taishi Murakami

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Taishi Murakami

ライター

ライター。2025年4月にSteenzへジョイン。大学生活の傍ら「気になる10代名鑑」をメインにインタビューから執筆まで記事制作を担当している。スタートアップ、建築、メディアまで多方面への関心を活かして活躍中。

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