
タイムリーな話題から、カルチャー、さらには社会問題まで、さまざまなテーマについて、リアルな10代の声を聞くシリーズ「10代リアルVOICE」。
今回のテーマは、「アニメ」について。配信サービスで気軽にアニメが観られる時代、ティーンにとってのアニメはどんな存在なのでしょうか。どんなアニメを見ているのか、そもそもアニメに興味があるのか、聞いてみました。
1. 岸田宗将さん「生き方を教えてくれる人生のバイブル『鉄血のオルフェンズ』」
「自分にとってのバイブルアニメは『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』です。
物語の舞台は、人類が火星や木星など地球圏の外へ進出した未来。地球の人々が火星を植民地として支配するなかで、火星の子どもたちが自分たちの尊厳と命を守るために大人たちと戦います。
彼らの姿勢や生き方が、自分自身の生き方にも強く影響を与えています」
2. 重松 飛燕さん「父から受け継いだカルチャー。アニメは読む物語」

中学時代に出会った仲間とのつながりを原点に推しが時間を管理するアプリ「推しがり!」のエンジニアとして、アプリ開発に携わっている16歳。
「幼い頃からアニメを見て育ちました。いまも観続けていて、きっかけはおそらく父の影響だと思います。
いまハマっているのは『盾の勇者の成り上がり』と『無職転生』です。『盾の勇者の成り上がり』はちょうど配信中で、毎週の放送を楽しみにしています。一方で、『無職転生』は来年の放送が決定していて、いまからとても待ち遠しいです。
アニメは、スマホで気軽に観られるので、本を読むのが少し苦手な自分にとっては、手軽に物語の世界を楽しめる大切な存在になっています」
3. Souさん「夜にしか見えない感情がある。『よふかしのうた』の余韻に浸る」

逗子開成高校の部活で、能登半島でのボランティアや珠洲焼の販売企画など新しいボランティアのかたちに挑戦している16歳。
「最近ハマっているのは、コトヤマさんの新作『よふかしのうた』です。夏に『よふかしのうたSeason2』が、放送されていて再び観始めました。
夜という非日常の特別感が伝わるSeason1と比べて、Season2では、輝かしい夜の裏に隠れた後悔や葛藤などにフォーカスして描かれている印象です。
主題歌であるCreepy Nutsの『MIRAGE』とも相まって、しっとりとした雰囲気がたまりません。Season3も楽しみです」
4. 長谷川航之輔さん「『キングダム』は人生の教科書。リーダーとしての姿勢を学ぶ」

アメリカ・シアトルでの留学経験をきっかけに、留学の魅力を発信しはじめた17歳。
「ドラマや漫画などのカルチャーに関わる機会は少ないのですが、唯一『キングダム』は大好きです。
キングダムを読みはじめたきっかけは、多くのビジネスパーソンから慕われていると知ったこと。漫画に登場する様々なキャラクターの言語を通じて、起業家や経営者の方々が経営戦略やチームビルディング、リーダーシップ、組織論などのビジネスについて学んでいると聞きました。
作品自体の内容そのものが魅力的で、登場する将軍たちからリーダーシップを学ぶことができます。キングダムは、自分の中でリーダー論の教科書だと感じています。ちなみに、好きなキャラクターは『桓騎』です」
5. 得丸創生さん「時間を奪われるからこそ、観ない。物語との距離を決めている」

海外で学生生活を送りながら、独学でプログラミングを学び、AIを用いた教材システムを作っている18歳。
「小学生の頃は『ドラえもん』に熱中し、大全集を何冊も買い集めていました。ですが最近は、ドラマやアニメなどに触れる機会はあまりありません。観始めるとつい夢中になってしまい、時間がどんどん溶けていってしまうため、意識的に見ないようにしています。
Netflixなどのサブスクリプションサービスでも、流行りの作品を追いかけることは少ないですが、ドラマだと『日曜劇場』の作品や『ドクターX』のようにストーリーが分かりやすく、主人公と敵対者の構図がはっきりしている作品は好きです」
生き方を学ぶ教科書として読む人や、自分の時間を守るためにあえて距離を置く人も。単なる娯楽ではなく、自分の考え方や生き方を映す鏡となっているじょうでした。「10代リアルVOICE」では、これからも世の中を自分ごととして捉えるティーンの視点を伝えていきます。
Photo:Nanako Araie
Text:Serina Hirano