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大ピンチ! シエラレオネで腸チフスにかかってから生き延びるまで Hao in UGANDA #15【Steenz Abroad】

大ピンチ! シエラレオネで腸チフスにかかってから生き延びるまで Hao in UGANDA #15【Steenz Abroad】

今回の”Hao in UGANDA”では、わたしがアフリカで実際に病気になってしまった経験をもとに、もしアフリカで病気になったらどう生き延びればいいか紹介します。

アフリカで生活をしているとどうしても避けられないのが病気。蚊や衛生環境が原因で日本にいるよりアフリカにいるときの方がどうしても病気や感染症になりやすい。

まず、常に気をつけないといけないのはマラリアと腸チフスです。マラリアは蚊から発症するため、蚊が多い地域では蚊帳で寝たり蚊除けスプレーを持ち歩いたりする必要があります。重病のイメージのあるマラリアですが、実は、軽度から重度まで様々な症状があり、たまにマラリアに感染していても出勤している人などを見かけることもあります。薬局では自分でマラリアに感染しているか検査できる簡易的なキットも売られており、現地で体調を崩すとすぐに「マラリアじゃない?」と言われるほど身近なのです。

腸チフスは食べ物や水を介して感染します。わたしも以前、シエラレオネで腸チフスに感染したことがあります。高熱や下痢が止まらず、食べ物や水を嗅いだり口にしたりするだけで嘔吐していました。その後、首都フリータウンで最も大きいと言われる病院に運ばれたのですが、病室のベッドに横たわり、点滴を受け始めるとなぜかわたしの顔にぽたぽたと水滴が……。見上げると天井が崩壊しており、雨漏りしていたのです。少し心配になりましたが、治療の効果はあったようで、少しずつ固形物を食べれるようになり、4日ほどで体調は回復していきました。

他にも、ウガンダ西部に位置する湖に囲まれた村で高熱や嘔吐に苦しんだときは、手漕ぎのボートを自分で操縦して街の病院まで行ったことがあります。街に出るにはエンジンボートを所有する人や漁師に頼んで湖を移動しないといけないのですが、こういう日に限って彼らが見つからない。仕方なく40度の熱でふらつきながらボートを漕ぎ始め、早く病院にたどり着きたい一心でしたが、またもやこういうときに限ってボートは反対方向へ進んでしまう…

なんとか、病院に到着するなり外国人が来たことに医者は驚いていましたが、病室に入ると医者は私が症状を説明しているときにYouTubeを視聴していたのでこちらもびっくり。もちろん熱心な医者もたくさんいますが、病院のスタッフがサッカーを視聴しながら仕事していることなんかもちらほら…病院に限らずウガンダのお店や公共機関でたまに見られる光景です。

エジプトでは南部を旅行していたときに、40度以上の気温の中で熱中症になったことがあります。いくつか病院を試し治療してもらったものの、症状はもはや悪化していく一方でした。しかし、そこで触れたのはエジプト人の優しさです。

普通、病人がいたら感染してしまう、お世話するのが大変といった理由で避けがちだと思います。しかし、私が熱中症になったことを別の地域で泊めてくれていた友人に話すと、「今すぐ私の家に来なさい。私のお母さんはナースで私たち家族があなたの面倒を見るよ。」と言ってくれたのです。

申し訳ないと思いながらも、実際に3泊ほどお世話になると、私の体調は回復したのです。旅行先で体調を崩すのは致命的ですが、同時に現地の人のあたたかみを感じる機会となりました。

一方で、地域によって病気はローカルな手段で治ると考えられていることもあります。例えば東アフリカでは黒魔術が病気を治せると信じられていたり、南アフリカでコロナの陽性と診断されたときは「南アフリカのワインを飲めば病気は治るよ」とワインを渡されたり。私は今までに喉の痛みや咳の症状でローカルなハーブティーを作ってもらったことがありますが、私の場合は効果があったように感じました。

ちなみにアフリカで病気になって苦労するのは食です。日本では病気中に食欲が出ないときは、おかゆやゼリーなど多くの選択肢がありますが、ウガンダでテイクアウトのご飯はハンバーガーやピザ、インドカレーなど重たいし、ストリートフードも大量の油を使ったチャパティやチキンなど。そのため、料理するほどのエネルギーもないときに、日本から持ってきた軽食は助かっています。

アフリカで病気になるのはやはり一苦労。信頼できる病院を探したり、海外旅行保険の手続きをしたりと手間がかかりますが、いずれかは慣れるもの。みなさんもアフリカに渡航される際は気をつけてください。

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Hao Kanayama

ライター

16歳、初アフリカ大陸上陸。19歳、アフリカ10か国放浪。20歳、ウガンダ移住。ウガンダの現地の会社とNGOの職員として、ストリートチルドレン、シングルマザー、薬物中毒者、孤児の支援を行う。不条理で不都合な世界だけど、その先にある希望を求めて歩き続ける、アフリカの人々の暮らしをわたしの目線から伝え続けたい。少数民族と木登りとテクノがスキ。

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