
世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、多様な分野で活躍する10代の少女たちに光を当てた「Girls of the Year」についてご紹介します。
タイム誌が「Girls of the Year2025」を発表
アメリカ合衆国のニュース雑誌『TIME誌(以下、タイム誌)』は、「Girls of the Year2025」のリストを発表しました。「Girls of the Year」とは、活動により世界中のコミュニティに刺激を与えている、12〜17歳の少女10名を選ぶ企画です。スポーツや科学、芸術、環境保護、社会貢献など多様な分野から選出されます。
同企画は、「レゴブロック」の販売で知られるレゴグループと共同で実施しており、「SHE BUILT THATレゴ® ぜんぶ、かなえよう!」キャンペーンの一環とのこと。10名の中には、2024年の夏に開催されたパリオリンピックにて、金メダルを獲得した「吉沢恋」選手の名前も載っています。その他にも、アーティストの「Zoé Clauzure(ゾエ・クロズール)」さんや、作家の「Rutendo Shadaya(ルテンド・シャダヤ)」さんなどが選ばれました。
世界の現状と「Girls of the Year」企画の背景
「Girls of the Year」の実施には、世界中の少女たちがクリエイティビティを発揮し、自分の力を信じ、可能性をさらに広げていけるようにする目的もあります。レゴグループが実施した、世界21カ国、32,605人の親子を対象とした調査によると、約70%の若い女性が「自分はものをつくることが得意だとは思わない」と回答。加えて72%の保護者は、「少女たちにとって、“世界を築いている女性たち”のロールモデルが身近に感じられていない」と思っていることもわかりました。
実は、世界にはWi-Fiや月面着陸用ソフトウェアなど、素晴らしい発明をしている女性が大勢います。しかし、調査の通り女性の功績や活躍が見えにくいのも現状です。この状況を変えるために、タイム誌とレゴグループは今回の企画を考え、世界で活躍している少女たちを表彰したのです。きっと、彼女たちの存在を知り、勇気が湧いたり自信をもてるようになったりした少女もいるでしょう。
受賞者のひとりである「レベッカ・ヤング」さんの発明に注目!
今回は受賞者のひとりである、レベッカ・ヤングさんを紹介します。レベッカさんは、学校のクラブ活動で「人々を助けるためのアイデア」を考える機会があり、ホームレスの人むけに太陽光電池が内蔵された電気毛布の設計図を作成しました。レベッカさんの暮らすスコットランド・グラスゴーは、真冬の気温が華氏17度(摂氏約-8.3度)まで下がることもある寒さの厳しい地域です。そのため、日中に太陽光から得たエネルギーをバッテリー内に蓄え、夜間活用できるようにすれば、ホームレスの人々が寒い夜を乗り越えられるのではないか、と考えました。
このアイディアは、応募者7万人の英国全土コンペティションにて、エンジニアリング賞を受賞しています。さらに、コンペティションのスポンサーであるタレス社が、設計図をもとに電気毛布30枚を製造。そして、2025年のはじめに、グラスゴーにあるホームレスシェルターに配布しました。現在この電気毛布は、追加で120枚製造する話も出ているとのこと。レベッカさんは受賞や電気毛布の実現に対して、自分の創作物である設計図が形になる様子に感動したことや、ホームレスは解決が必要な大きな問題だといった内容の話をしているそうです。
誰もが自分の力を信じ、可能性を広げられる世界であるように
「Girls of the Year」では、レベッカさん以外にも多様な分野で活躍する10代が選ばれています。気になる方は、TIME誌のサイトを覗いてみてください。「自分と近い年齢の子が、さまざまな活動をしている」という事実は、多くの同年代に夢と希望を与えてくれるはずです。
Reference:
Pupil who invented device to help homeless named ‘girl of the year’|BBC
Glasgow Schoolgirl’s Solar Invention Tackles Homelessness and Wins National Prize|Glasgow City of Science and Innovation
Text:Yuki Tsuruda