
「気になる10代名鑑」の1104人目は、たはりーさん(19)。小さい頃から算数が得意で、YouTubeを通して勉強の楽しさを発信している大学生です。大学の2次試験では、数学の得点率が9割を超えたというたはりーさんに、数学にのめり込むようになったきっかけや将来の展望を聞いてみました。
たはりーを知る5つの質問
Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?
「大阪大学で数学の勉強をしながら、趣味で動画を撮っています。数学はいちばん得意で好きな科目で、6月末からYouTubeも始めました。
おもに数学の入試問題の解説動画を投稿していて、チャンネル登録者数は300人を越えました。動画のリクエストを送ってくれる人もいるんです。
数学の魅力は、『こんなに自分が分からないことが世のなかにあるんだ』ということに気づける面白さだと感じていて。解けない問題にぶつかったときは、『どうにかして解きたい』という焦燥感に駆られますね(笑)。
その面白さも含めて、YouTubeで発信していけたらと思っています」
Q2. 活動を始めたきっかけは?
「3歳頃から計算問題が好きで、早くから4桁の計算などをこなして、親などを驚かせていたらしいです。『どうやったの?』と聞かれても答えられないのですが、感覚的に解いていた記憶がありますね。
それから高校3年生のときに塾に通うようになって。それまで勉強が得意なほうだったので、どこか余裕を感じていましたが、はじめて模試で良くない成績をとったり、全然分からない問題が授業で出たり、『自分ってまだまだだったんだな』と感じることが多くて。自分にとって、『出来ないことがモチベになる』ということを強く実感した経験でした。
YouTube配信は、なんとなく買ってみたホワイトボードを持て余していて、始めてみました。そもそも大学数学は概念を理解するところから難しく、ネット上に分かりやすい解説が少なくて困った経験があったので、自分がそんな状況を変えていけたらという思いも、配信を始めたきっかけにあると思います」
Q3. 活動する中で、印象的だった出会いは?
「高校で出会った2つ下の後輩たちです。
受験期に、同期は受験や進路のことで忙しかったり、自分のメンタルも不安定だったりしていたので、気軽に話しかけてくれて慕ってくれる存在があったのはとても大きかったです。受験勉強している時も『この子たちに合格を伝えたい!』と考えることがよくありました。実際に受験期につらかった時期は、後輩たちのことを思い浮かべて頑張っていました。
カッコつけたい相手がいるということが、自分にとって目標達成のために頑張れる理由のひとつだと思ってます」
Q4. 活動を通して、実現したいビジョンは?
「もっと学生が楽しんで勉強できるような教育の工夫が増えてほしいと思っています。
大学の授業でも『今日習った内容が、日常のこんなところに使われているんだよ』という実生活と関連していることも多くあるのですが、高校までの数学の授業でも、もっとそういうことを教えてくれたらいいのに……とよく感じていて。ぼくはどちらかというと勉強や学ぶことを楽しいと思えるタイプですが、そうではないという人にも、もっと楽しんでもらって、数学を身近に感じてほしいと思っています。
だから教育のあり方が変わって、もっと学んでいる内容と僕たちの生活が結びつけられたらいいなと思っています」
Q5. 将来の展望は?
「YouTube配信は、これから大学での勉強も頑張って、大学数学の範囲まで投稿したいと考えています。人に伝わるような解説をするのは難しいですが、わかりやすく、そして数学科らしく厳密な解説が出来るよう試行錯誤しながら撮影していきたいですね。
将来は、大学院に進んでそのまま教授になったりするのかなと、漠然と考えていて。大学は高校より自由度も高いので、大学でのものの教え方を工夫して、YouTubeの経験を活かしながら、自分が大学数学を楽しめるような講義を展開するのも、ひとつの選択肢として考えていますね。
高校からは、選択制や学科別の授業になっていって、わからないことに挑戦しなくていい選択も選べてしまうのかなと思っていて。でも、わからないことに立ち向かってみる時間も大事だと思うんです。自分の知らない世界から、刺激を得られたり興味を広げられたりすることもあると思うから。
だから、『わからないことに向き合うことの大切さ』も、これから伝えていきたいです」
たはりーのプロフィール
年齢:19歳
出身地:神奈川県横浜市
所属:大阪大学理学部数学科
趣味:ピアノ、筋トレ、写真や動画を撮ること
特技:ピアノ、大学入試数学を解くこと
大切にしている言葉:学べば学ぶほど、自分がどれだけ無知であるかを思い知らされる。自分の無知に気づけば気づくほど、よりいっそうものを知りたくなる(アインシュタイン)
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Photo:Nanako Araie
Text:Haru Ninagawa