
「気になる10代名鑑」の1089人目は、竹端龍一さん(16)。Instagram経由・Discordを使用した新感覚の学生向けメディア「CrossEcho」を立ち上げ、日々最新のニュースから議論の場を設けています。幼い頃から大のメディア好きだった竹端さんに、その立ち上げの理由や、自身のルーツから来ているという大切にしていることついて聞いてみました。
竹端龍一を知る5つの質問
Q1.いま、力を入れていることは?
「学生向けメディア『CrossEcho』を立ち上げ、代表として活動しています。
おもに、Instagramで世界情勢のトピックをスライド形式でわかりやすく発信しています。ただ、それだけではなくて、読者が記事からDiscordに入ることができる仕組みをとっていて。単なる一方通行の情報発信ではなく、読者が『これっておかしくない?』と問題提起して、誰かと話し合うことで、ニュースをきっかけにみんなで議論をするという循環を作り出そうとしているんです。
メディアを立ち上げて数ヶ月くらいなのですが、若者の声を聞きたいという企業にも好評で。いまでは月に5万ほどのインプレッションを得られています。
また、それとは別に、地方創生の学生団体にも副代表として携わっていて。過疎地域でのアイデアソンや地域資源を活かす取り組みにも挑戦しています」
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Q2.活動を始めたきっかけは?
「ニュースの話題について、気軽に話し合いにくい社会に違和感を感じたことがきっかけです。
ジャーナリストの父の影響もあり、自分は幼少期からメディアの世界に心惹かれていて。小学4年生の頃からは、朝日小学生新聞や毎日新聞を切り抜き、『世の中の出来事って、こんなに早く伝わるんだ……!』と感動しながらその日のニュースをノートにせっせとまとめているような子どもだったんです。
中高生になってからは、友人にも恵まれて、授業や放課後の時間、自然とニュースを議論をするようになっていきました。一方で、地元の友人たちの『ニュースの話をしたいけど、気軽に誰かと話をできる場がない』と悩む声も聞くようになって。この状況に違和感を覚えて、そんな環境の格差をなくしたいと願うようになったんです」
Q3.活動で大切にしていることは?
「多角的な視点を持つことを大切にしています。
ぼくは、日本と中国の両親を持つミックスとして生まれました。日本と中国を行き来することもあったのですが、同じ出来事ひとつをとりあげても、日本と中国で全く異なる見方がされていることに気づいて。ひとつの視点に偏ることの危うさを知っているからこそ、さまざまな視点をもとに情報発信をするよう心がけているんです。
また、何かメッセージを伝えるときには、『記事の読み手の思考に影響を与えるかもしれない』と常に意識して、表現の仕方を慎重にしていて。ニュースや情報が分断や対立を生むために使われないように、丁寧にメディアをつくっています」
Q4.活動を通して、実現したいビジョンは?
「報道を『一方的に受け手が受け取るもの』ではなく、『双方向的に誰かといっしょにつくるもの』に変えたいです。
CrossEchoでは、いまは若者一人ひとりのメディアに対するリテラシーや多角的視点で育てながら、ニュースにまつわる議論を活発にしていこうとしているところで。ゆくゆくは、若者の声で社会を動かすための新しい国際報道のかたちとして、人びとに受け入れてもらえるようになっていけばいいなと。
実は地方創生の活動も、地域課題について若者が議論して、解決策をなんとかかたちにするという意味で同じ文脈にあると思っていて。若者の力で、どこまで地域や報道など社会の仕組みをよくできるか、同年代の仲間と挑戦を重ねていきたいと思っているんです」
Q5.将来の展望は?
「『若者視点のメディアといえばCrossEcho』と言われるほど、いまの活動を突き詰めたいです。
自分はこれまでは三日坊主な性格で、なかなか物事が続かなくて。唯一熱中できたのは歴史とメディアのふたつだったんです。いまの活動を続けていって、将来は、世界中の情報を自分の目で確かめて伝え、社会の分断を乗り越える報道のプロフェッショナルになりたいです。
『伝えること』は、社会を豊かにできるかもしれない一方で、破滅にも向かわせられる脆さも持っていると思っています。メディアの人間として、言葉一つひとつの重みを自覚しなければいけないと感じています。これからも、情報や報道を、どんな武器よりも慎重に扱わなければいけないものだということを忘れず、使い方を誤らないでいたいです」
竹端龍一のプロフィール
年齢:16歳
出身地:東京都練馬区
所属:東京学芸大学附属国際中等教育学校、Co-Media CrossEcho Everyplace
趣味:映画鑑賞、株式投資、政経・社会学の勉強
特技:世界の複雑な問題やテーマを”自分ごと化”して発信すること。0から何かを立ち上げること
大切にしている言葉:地球規模で考え、足元から動け “Think globally, act locally”
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Photo:Nanako Araie
Text:Taishi Murakami