
「気になる10代名鑑」の1076人目は、大輝さん(19)。都心と地方の情報や機会の格差に挑むために、学生と地方企業をつなぐ学生団体と会社を立ち上げました。地方出身の友人の声をきっかけに活動に踏み切った大輝さんに、活動で嬉しかった出来事や実現したいヴィジョンについて聞いてみました。
大輝を知る5つの質問
Q1.いま、力を入れていることは?
「地域に眠る可能性を掘り起こすことを目指して、自分の団体と会社『学生団体ツナグ』『株式会社Linkseeds』を運営しています。
学生団体では、何か行動を起こしたい都会の大学生と、学生を集めるノウハウに長けていない地方企業をマッチングし、交流会を開催していて。会社では、地方企業の依頼や悩みに寄り添ったインターン紹介、商品開発やイベントづくりをおこなっています。
このふたつは、相互に補完し合う仕組みになっているんです。まずは、学生団体ツナグで開催するイベントで学生たちに興味を持ってもらい、地域の関係人口を増やすところがスタートです。その先に、実際のインターンなどの地方企業との関わりを会社で提供するという仕組みを取っていて。
地域の格差を解消して、全学生が公平に挑戦できる環境をつくりたいんです」
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Q2.活動を始めたきっかけは?
「地方出身の友人が『自分の地元には活動や就職の選択肢が少ない……』と、声を漏らしていたのを聞いたことがきっかけです。
都心だったら、たくさんの企業がインターンや就活イベントを学生対象に用意しているものの、地方では募集数が格段に少なくて。地方の企業自体、高齢化でなかなか都心の企業と同じように整備が進まず、学生からの意見やインターンを重視していないところも多いんです。
だからまずは、友人に応えるために。そして同じ学生でも、住む場所で情報や機会に格差が生まれることがないようにと、挑戦の前提になる条件を整える仕組みを作りたいと思ったんです」
Q3.活動で大切にしていることは?
「地域のリアルな声に自分の熱意を重ねて、いかに地方の人に愛される活動にするかを大切に考えています。
自分の地元近くにある富岡製糸場は、世界遺産として一時期は観光地として急成長していて。ところが、人手不足を背景にシャッター街に変わりつつあって。自分の地元がそんなふうになってしまうのはとても悲しいです。
一方で、地方それぞれに独自の課題があって、地域それぞれで人びとに刺さるポイントも違う。どんな地域でも通用するひとつの活動をつくることは難しいんです。どこまでも横展開できるわけではないからこそ、一つひとつの地域に寄り添い丁寧に声を守ることが大切です。
でもいまは、そんな難題にも楽しく向き合えています」
Q4.活動を通して、実現したいビジョンは?
「『やりたいけどできない……』が存在しない、どんな環境に生まれても挑戦が当たり前の社会をつくりたいです。
その思いを強くしたのは、学生団体ツナグ主催の地方イベントをやってみたときのことで。地元の大学生が『こんな場所があることを初めて知った』と目を輝かせてくれて。
生の声を聞いて、『環境が変わるだけで学生の表情や行動がここまで変わるのか……!』と嬉しくなりました。
これを継続していくことで、誰もが挑戦でき、潜在的な可能性を引き出せる瞬間が増えていく。そんな循環が生まれることを願っています」
Q5.将来の展望は?
「地域と都市、学生と企業、ひいては挑戦と支援がいっそうつながるよう、インターン活動やビジネスコンテストなどを盛り込んだ、地域実践型プログラムを構築してみたいです。
これは、地域の課題解決と学生の成長が同時に実現する仕組みです。まずは5地域でプロジェクトを継続的に実施し、最終的には、47都道府県にこのモデルを広げて、行政とも連携した人材循環インフラとして制度化までいったらいいなあと。
堀江貴文さんが『チャンスは待つものじゃなく、つくるもの』と言っているように、自分から動けば環境は変えられると思うんです。与えられるのを待つのではなく、仕掛ける側に立ち続けたいです」
大輝のプロフィール
年齢:19歳
出身地:群馬県富岡市
所属:早稲田大学人間科学部
趣味:自然界隈、服
特技:行動力
大切にしている言葉:行動が、次のチャンスを連れてくる
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Photo:Nanako Araie
Text:Taishi Murakami