
「気になる10代名鑑」の1072人目は、ジビ江さん(18)。生活や日常での出来事を、ユーモアのある作品に昇華している美大生です。効率より面白さを大切にする制作スタイルで、見る人の心に明るさを届けるジビ江さんに、創作を始めたきっかけや将来の展望について伺いました。
ジビ江を知る5つの質問
Q1. プロフィールを教えてください。
「高校から芸術系の学校に通い、現在は多摩美術大学でデザインを専攻しています。作品をつくるときは、日常のなかで見つけた疑問や発見をテーマにしています。たとえば卵料理に失敗した経験をもとに、誰もが『あるある』と共感できる失敗を作品にして、クスッと笑えて前向きになれるような表現にすることもあるんです。
平面・立体・映像といったジャンルにこだわらず、『こんなのあったらいいな』という発想に合わせて自由に制作しています」
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Q2. 活動を始めたきっかけは?
「小学生の頃から4コマ漫画や似顔絵を描いていました。学級新聞にコラムを書いたり、給食の牛乳パック回収を盛り上げるためにゲームを考案したりと、企画するのも好きでした。思いついたアイデアをかたちにしていく時間は、まるで宝探しのようにわくわくして。
最初は遊びの延長でしたが、友達に喜んでもらえたことが嬉しくて、創作を続ける大きなきっかけになりました。ものづくりが大好きだったので、中学2年生から画塾に通い始め、そのまま芸術高校への進学を選びました」
Q3. どんなことをテーマに活動をおこなっていますか?
「制作の出発点は『役に立たなくてもいいから、まず楽しいことをやってみる』という気持ちです。効率や意味を考える前に、『面白そう』という直感を大事にしています。ただし楽しさだけで終わらせず、最終的には受け手の気持ちに寄り添えるよう心がけています。
このテーマを意識するようになったのは、高校時代に文化祭のポスターをつくったとき。最初は自分好みの渋いデザインにしましたが、周囲の反応がイマイチで。そこで、文化祭に合う明るい雰囲気のデザインに変えてみたら、すごく喜んでもらえたんです。自分から表現するのが得意ではない分、相手の求めるものを汲み取ってかたちにする作業は、自分に向いていると感じています」
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Q4. 活動をする中でつらかったことは?
「高校1〜2年生の頃は、自分らしさや個性を見つけられず、苦しい時期がありました。油絵・彫刻・映像など一通り挑戦したものの、中途半端で納得できる作品が作れず、自分は何にも向いていない普通のひとだと感じてしまって。
でもあるとき、評価や個性探しにとらわれていて、本来の『人に喜んでもらいたい』という思いを見失っていたことに気づきました。そこで、あえて“普通”の自分を武器にして、日常の共感ポイントを作品に取り入れることにしたんです。受け手の気持ちを想像しながら制作するようになってからは、自然体でいられて、ずっと楽しく取り組めるようになりました」
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Q5. 将来の展望は?
「大学に入学したばかりなので、まだ具体的な進路は決めていませんが、平面・立体・映像とジャンルにとらわれず、自由に面白い作品をつくり続けたいと思っています。今年の冬には、仲間とグループ展を企画しようと考えています。
これからも、作品を見てくれたひとの心が少しでも明るくなるような制作を続けたいです。ずっと美術に打ち込んできたからこそ、今後は美術以外の分野の人とも交流し、自分の世界を広げていけたらと思っています」
ジビ江のプロフィール
年齢:18歳
出身地:神奈川県
所属:多摩美術大学 グラフィックデザイン学科
趣味:散歩、読書
特技:高くジャンプできる
大切にしている言葉:微に入り細を穿つ
ジビ江のSNS
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パンフ載ってました🕺 pic.twitter.com/DBFXvZhWkC
— ジビ江 (@_gibier_) July 7, 2025
Photo:Nanako Araie
Text:Mizuki Maeda