
「気になる10代名鑑」の1095人目は、松井 ひな子さん (18)。パフェを届ける事業を通じて、自分にごほうびをあげる「ご褒日」体験を届けています。地元・旭川で食べたアイスをきっかけに、ごほうびの発想にいたったというひな子さんに、大切にしていることや今後の展望まで詳しく聞いてみました。
松井 ひな子を知る5つの質問
Q1.いま、いちばん力を入れている活動は?
「自分にごほうびを贈る『ご褒日文化』を広げる活動をしています。
『ご褒日』とは、成果や承認に縛られず、自分を肯定し甘やかすために意識的につくる特別な一日のこと。その思想を広げるために活動しています。
いまは、徳島の神山まるごと高専に通いながら、パフェを通じたご褒日体験を届ける『パフェに甘えて。』というポップアップストアを運営しています。これまで地元の北海道や徳島、そして東京で開催してきました。
このポップアップストアでは、パフェを提供するだけではありません。パフェを待っている間に自己理解を深める仕掛けを用意したり、その日の体験を『余韻』として持ち帰ってもらったりするための工夫をしていて。そのひとつが、パフェを楽しんだあとに一輪のお花を渡すというものです。このお花を通じて、時間が過ぎても小さな幸福感や自己肯定感が続くような体験を提供できたらと思っています」
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Q2.活動を始めたきっかけは?
「昔から恩送りをしたいと思っていたんです。
旭川でよく通っていたカフェで、シュガーフリーのはちみつアイスを食べたことがきっかけでした。本来なら甘いものを食べる時間は幸せなはずなのに、いつも時間やカロリーを気にしてストレスを感じてしまっていた。でも、そのアイスは『罪悪感なく甘えられる喜び』に気づかせてくれたんです。
これまで、神山まるごと高専生として地域課題に取り組む小さなプロジェクトや、教育カンファレンスでのピッチなどに関わってきましたが、次第にこの場所で生きる自分をもっと好きになりたい、変わりたいという思いが強くなっていきました。
自分を受け入れてくれた居場所への恩返しの気持ちも重なって、そこのカフェの経営者さんに『ここでパフェのポップアップをやります!』と宣言したことがすべての始まりでした」
Q3.活動するうえで、大切にしていることは?
「ごほうびって、誰かに認められたときにだけもらうものじゃなくて、自分に贈っていいものだと思うんです。だから、ポップアップではパフェ以外にも、自分を大切にできるような小さなご褒日の体験を届けてきました。
また、わたしの通っている神山まるごと高専のスローガンは『モノをつくる力で、コトを起こす人。』なんです。でもパフェづくりを始めたとき、『これってモノをつくるに入るのかな?』『こんなふうに小さくてもコトを起こすって言えるのかな?』と悩んだ時期もありました。
でもいまは、その違和感を抱えながらも、自分の事業に向き合い続けています。小さなごほうびの積み重ねにこそ、社会を優しく変えていく力があると、何より自分が信じてあげなくてはいけないと思っています」
Q4.活動を通して、実現したいビジョンは?
「自分の強さも弱さも、頑張っていることも、抱きしめられる社会を作りたいです。
世の中には『弱さを見せてはいけない』とか『甘えることはダメだ』といった風潮があるように感じています。そして、そんな気持ちの『影』を当たり前のように隠してしまう。でも、わたしは光と影の両面を持ち合わせるから人は美しいと思うんです。
だからこそ、『ご褒日』を広めることで、自分の光の部分だけでなく、影の部分も存在することを抱きしめてあげられるような社会をつくりたいと思っています」
Q5.今後の展望は?
「人生を懸けて、ご褒日を広めていきます。
自分をちゃんと褒めてあげられる日を通じて、誰もが頑張って生きている自分を否定せずにいられる世界をつくりたいんです。いまはパフェという形で届けていますが、これからは空間やサービス、体験そのものを通して、『ご褒日』を表現していきたいと考えています。
そして、光も影も隠さずに生きる姿をSNSやnoteで発信しながら、同じように悩む誰かの支えになれる存在でありたいと思っています」
松井 ひな子のプロフィール
年齢:18歳
出身地:北海道旭川市
所属:神山まるごと高専、株式会社WAQHAPI
趣味:コピーを書くこと、パフェを作ること
大切にしている言葉:人は、光も影もあるから美しい。
松井 ひな子のSNS
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Photo:Nanako Araie
Text:Taisei Sawamura