Teen's Snapshots

はじめてのR-1は「会場外の車の音が聞こえそうなほどの静寂」だった。R-1で2回戦進出の高校生ピン芸人【尾古津カイ・18歳】

はじめてのR-1は「会場外の車の音が聞こえそうなほどの静寂」だった。R-1で2回戦進出の高校生ピン芸人【尾古津カイ・18歳】

「気になる10代名鑑」の1067人目は、尾古津おこづカイさん(18)。高校に通いながら、アマチュア芸人としてピンネタを披露しています。高校生でありながら「R-1グランプリ2025」2回戦進出を果たした尾古津さんに、お笑いとの出会いや、ネタづくりのこだわり、そして描く未来について話を聞きました。

尾古津カイを知る5つの質問

Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?

『尾古津カイ』という名前で、アマチュアのピン芸人をやっています。

高校に通いながら、放課後の誰もいない教室で練習をしたり、アマチュア向けのフリーエントリーライブに出場したりしながら、少しずつ経験を積んでいます。これまでに出場した賞レースでは『UNDER5 AWARD 2024』と『R-1グランプリ2025』の両方で2回戦に進出。『R-1グランプリ』で、高校生で2回戦まで進んだのは、自分ひとりだけだったと思います。

ネタは、日常の中で感じた違和感をヒントに、おもにフリップという紙芝居のような形式で構成しています。ちゃんと声を出して、表情でも届ける。笑いを届けるために、一つひとつの細かい表現にもこだわっています」

Q2. 活動を始めたきっかけは?

もともと、うちの家庭はお笑いが身近にある環境でした。

小学生の頃にバラエティ番組の『勇者ああああ』をよく観ていて、マヂカルラブリーの野田クリスタルさんに親しみを感じていたんです。小学6年生のときに観た『R-1グランプリ2020』、コロナ禍で無観客開催という異例の大会の中、当時はまだ無名に近かった野田さんが優勝して、その姿に衝撃を受けました。

『自分がずっと見てきた野田クリスタルさんが、優勝しちゃった』という感動と同時に、『かっこいい。自分もこんなふうになりたい』と強く思って。そこから本格的に、お笑いにハマっていきました」

Q3. 活動にあたってのファーストアクションは?

高校1年の秋に、学校内で行われた講演ではじめて人前でピンネタを披露しました。

そのとき、人生で経験したことのないような大きなウケをもらったんです。そこから『R-1に出てみよう!』と意気込み、意気揚々と賞レースに挑戦。ただ、はじめて出場したR-1では、全くウケなくて……。会場外の車の音が聞こえそうなほどの静寂に包まれていたようでした。

でも、その悔しさがバネになり、本格的に外部のライブへ出場するように。尊敬している先輩からも『お前、面白いな』と言ってもらえるようになって。誰かにきちんと認められた手応えというのが、いまの原動力につながっています」

Q4. 活動をしている中で、印象的だった出来事は?

いちばんのハイライトは、やっぱり『R-1グランプリ2025』での2回戦進出です。

前回、初挑戦して全くウケなかったぶん、今年こそは……と練習を重ねてきました。2回戦進出の発表は、自宅の布団の中でスマホで観ていたのですが『エントリーナンバー19 尾古津カイ』と発表された瞬間、『うおおおお!』と叫びながら階段を駆け下りて、親に報告しに行きました。

2回戦に出場した際のエントリーシールは、いまも大切にスマホケースに挟んであります。R-1のエントリーシールって、1回戦のものはエントリーナンバーがプリントされてるんですけど、2回戦のものは、プリントじゃなくてスタンプで押されているんです。それが余計にリアルな実感があって、見るたびに『ちゃんと自分、やれたんだな』と実感させられます」

Q5. 将来の展望は?

「いまは『高校生でR-1の2回戦に行ったひと』としてライブに呼んでもらえることが多いのですが、いつまでもその実績に頼っていてはいけないと思っています。

25歳までに何かしらの賞レースで決勝進出して、5年以内にR-1準決勝する。これがいまの目標です。そして、自分の姿を見て、『ピンでもやれるんだ』『漫才以外の笑いもありなんだ』『高校生でも、挑戦していいんだ』と思ってくれる若者が増えたら最高に嬉しいです。

お笑いという多様で自由なカルチャーをさらに一段階進められるように、自分なりの一歩を積み重ねていきたいです」

尾古津カイのプロフィール

年齢:18歳
出身地:神奈川県茅ヶ崎市
所属:神奈川県立神奈川総合高等学校
趣味:野球観戦(横浜DeNAベイスターズ)・サッカー観戦(湘南ベルマーレ)
特技:ダイソーのイヤホンでも我慢できる
大切にしている言葉:夏場の水道水はちょっと出してから飲む!これは大事。

尾古津カイのSNS

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Photo:Nanako Araie
Text:Serina Hirano

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Serina Hirano

ライター/ディレクター

ライター兼ディレクターとして、東京と静岡県・東伊豆町の二拠点で活動中。インタビュー記事を中心に、学生、スタートアップ、まちづくりの現場まで、取材・執筆・編集・企画運営まで一気通貫で手がけています。“今”を懸命に生きる若者を応援したいという想いから、2024年より10代のリアルな声を伝えるメディア「Steenz」に参画。

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