
「気になる10代名鑑」の1061人目は、仁愛さん(19)。大学で衣服についての幅広い知識を学びながら、サークルでウェディングドレスなどの被服製作に取り組んでいます。影響を受けたのはゲーム「スプラトゥーン」であると話す仁愛さんに、活動をはじめたきっかけや、恩師の美術教師とのエピソードについて詳しく聞きました。
仁愛を知る5つの質問
Q1.プロフィールを教えてください。
「早稲田大学繊維研究会というサークルで被服制作に取り組むかたわら、大学で被服構成学と衣環境学を学んでいます。これは、人体の発汗量や皮膚の温度変化から、衣服の着心地について学ぶものです。
昨年の12月には、サークルと企業のタイアップ展示の一環で、ハレの日に着用するウエディングドレスを制作しました。結婚式は白、という固定概念に囚われたくなくて。誰もが好きな色を纏ってライフイベントを迎えてほしいという気持ちから、濃紺を基調としたデザインにしました。素材は艶のあるものを選び、アームの部分や首元のコサージュで、フェミニンな雰囲気を演出しています」
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Q2.活動をはじめたきっかけは?
「創作に興味を持ったのは、母の影響が大きいです。小さいころ、母が家で絵を描いていて、ずっとそれを近くで見ていたんです。大きなキャンバスに油絵を描く姿が目に焼き付いていて、そのときから物作りへの憧れはありましたね。
転機は中学3年生のときで、新型コロナウイルスが流行して休校になったときに、Tシャツに絵を描いてみようかなって思いついて。そのうちにものづくりの楽しさに魅了されて、のめり込んでいきましたね。大学は、繊維や衣服について学ぶことを専門とする環境だったので、入学を機に服飾にも取り組みはじめました」
Q3.活動するうえで、大切にしていることは?
「制作では、色彩を大切にしています。特に影響を受けたのはゲーム『スプラトゥーン』です。ビビッドな独特の世界観が心に刺さりました。小学5年生から夢中で、いまも疲れたときはご褒美として遊んでいます。
そのほかに制作の糧になっているのは、音楽を聴くことです。楽曲を流しながら作業をすることが多くて。音楽を自分のなかで消化して、ものづくりに起こしている感覚に近いかなと思います。いろんなジャンルを聴きますが、なかでもXGというグループが好きですね。曲だけでなく、目標に対するマインドや、自己表現している姿に影響を受けています」
Q4.影響を受けた人物は?
「高校生のときに、デザインや色彩構成を教えてくれた先生です。
先生は東京藝術大学の卒業生であり、憧れの存在であった反面、褒められたことはほとんどなかったです。でも、そのおかげで技術的にも精神的にも成長できたと思います。
特に、『あなたはものづくりにはあまり向いていないかもね』と言われたことが心に響いていて。当時は受け止めきれませんでしたが、いまでは、取り繕わない指摘に逆に思いやりを感じています。厳しいようにも感じられると思いますが、この言葉のおかげで、製品の素材づくりというまた別の視点からものづくりに関わってもいいのだと捉えられるようになりました」
Q5.将来の展望は?
「アトピー性皮膚炎の子ども専門のアパレルをプロデュースすることです。いまのファッション業界では、デザイン性とアトピー患者でも使用することができる繊維の両立が難しくて、どうしてもシンプルなデザインに限定されがちなんです。
最近は、早いうちからスマートフォンの持つようになっていて、おしゃれに興味を持ちはじめる年齢が下がってきています。だからこそ、どんな子でもおしゃれを楽しめるようにサポートしたいんです。この夢を実現するために、まずは大学院に進学して、衣服に使える新しい素材を研究したいと考えています」
仁愛のプロフィール
年齢:19歳
出身地:大阪府豊中市
所属:日本女子大学家政学部被服学科、早稲田大学繊維研究会
趣味:音楽を聴くこと、美味しいものをたくさん食べること
特技:人の変化に瞬時に気づくこと、スプラトゥーン
大切にしている言葉:「kill them with kindness」
仁愛のSNS
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Photo: Nanako Araie
Text: Yuzuki Nishikawa