
「気になる10代名鑑」の1048人目は、太田紗倉さん(16)。日常の中にある光や自然からインスピレーションを受け、作品に昇華し続けています。デザインや現代アートなど多様な表現で、自分の好きをかたちにし続けている太田さんに、活動で大切にしていることや将来の展望について、あれこれ聞いてみました。
太田紗倉を知る5つの質問
Q1. いま、力を入れて取り組んでいることは何ですか?
「自分の『好き』を深く分析し、それをもとにグラフィックデザインや現代アートなど多様な表現方法を模索しています。特に、東京藝術大学デザイン科への入学を目指していて。いまは、受験対策用の作品制作にほぼ毎日取り組んでいます。
幼い頃から、日光や水などの自然の要素が好きで、光が反射する様子や人の身体が光や変化を受けていく姿に惹かれていて。そうした自然や日常のさまざまな場面からインスピレーションを得て、作品づくりに活かしています」
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Q2. 活動を始めるようになったきっかけは?
「小さい頃から、スポーツよりも絵を描いたり工作をしたりすることのほうが得意で、特に幼稚園の頃はずっと切り絵を作っていたのを覚えています。また、母がよく美術館に連れて行ってくれたことも、創作に興味をもつきっかけのひとつでした。
中学生のときに通っていたGAKUというクリエイティブスクール内の『東京芸術中学』という講座では、表現の幅が一気に広がって。まるで新しい言語を手に入れたような感覚で、いままでにない視点や発想に出会いました。講師は現役のプロのひとたちで、半年間の講座の最後には、わたしが撮った写真をまとめた成果展にも出展しました。
また、中学校の美術の時間にあった、キュレーターの視点で作品の展示を考えるような授業もすごく印象に残っていて。そこから、絵の飾る位置を変えることで、構図から絵を読み解く面白さに気づきました。その授業のタイミングで訪れた常設展でも、作品の受け取り方に違いがあると気づいて。
どこに何がどう置いてあるかという情報も、作品に意味をもたらす要素になるのだと、それ以来、自分の作品に対しても、より丁寧に向き合いながら制作するようになりました」
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Q3. 活動をするうえで、大切にしていることは?
「作品をつくる上で、自分の感覚をできるだけ鑑賞者と共有しようとする姿勢にこだわっています。ただし、どんなに丁寧に伝えても、自分のことを100%理解してもらうことはできない、という前提も常に意識しています。
例えば、友だちと散歩している最中に『この建物、きれいだね』『この角度から見える太陽、かっこいいよね』と話すときに出てくるような、原始的な美しさや感動を作品を通して伝えられたらいいなと思っていて。そして、わたしのその感覚をきっかけに鑑賞者が自分自身の感覚で何かを感じてくれて、そこに新しい循環が生まれたら嬉しいです」
Q4. 活動する中で、印象的だった出会いは?
「自分の作品を見てくれたり、必要としてくれたりひとたちとの出会いがとても印象に残っています。最初は自分のためだけに創作していましたが、次第に学校行事のポスターや友達の誕生日プレゼント、GAKUでの展示など、ひとのための作品を作るようになっていきました。そうした経験を通して、自分の人生の価値が上がっている気がしています。
文化祭では実行委員の広報局としてパンフレットやポスターのデザインを担当しました。地域のひとや受験を考える後輩など、知らないひとから褒められたり反応をもらえたことが嬉しくて。学校行事ではありましたが、求められて仕事をしている感覚がとても楽しかったです」
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Q5. 将来の展望は?
「世界で知られるクリエイティブな仕事をするひとになりたいです!デザイン、現代アート、写真、ファッション……やりたいことがたくさんあるんですがどれかひとつに絞るのではなく、すべて本気で取り組んでいきたいと思っています。
いつか有名になって、たくさんのひとに刺激を届けたくて。そのひとたちがまた別の誰かに影響を与えていく、そんな自由で創造的な循環が生まれる世界をつくっていきたいです。
いまは学業にも力を入れています。芸術の世界だけじゃなく、歴史などからもインスピレーションを得られるよう努力を続けています」
太田紗倉のプロフィール
年齢:16歳
出身地:東京都
所属:筑波大学附属高等学校
趣味:写真、美術館
特技:木登り
大切にしている言葉:どんな経験にも価値がある
太田紗倉のSNS
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Photo:Eri Miura
Text:Honori Kukimoto