
「気になる10代名鑑」の998人目は、優太さん(17)。外国人観光客向けの案内板をよりよいものにしていくための探求をしています。普段から外国人観光客には物怖じせず、英語で話しかけているという優太さんに、原体験となった留学経験や目指すビジョンについて詳しく聞いてみました。
優太を知る5つの質問
Q1.プロフィールを教えてください。
「生徒会活動振興会、日本中高生協議会、U-18世代を対象にした企画開発やキャリアイベントを行う株式会社Unpackedなど、ジャンルの異なるさまざまな団体に所属し、イベント企画や企業とのタイアップなど、多方面で活動してきました。
いまは受験生なので団体の活動はお休みしているのですが、個人として、インバウンド化が進む日本で、観光地や駅の間違った英語案内や、不足している英語表記について考え続けています。動き出したばかりなので、駅で困っている観光客に声をかけて英語で案内をしつつ、どんなシーンで迷いが起こるのかを調べたり、施設内の案内板や館内放送を分析したりして、どの英文が一番伝わりやすいのかを研究しています」
Q2.活動をはじめたきっかけは?
「高校2年生の夏にトロントに短期留学へ行ったのと、ボストンとニューヨークに修学旅行で行ったことです。
道に迷って、不安でたまらないときがあったのですが、そのときは優しく案内してくれるひとがたくさんいて何とか助かって。でも、外国人が日本を観光するときはどうだろうと考えてみると、特に日本の鉄道は複雑で、乗り換えが難しい駅も多いんじゃないかと思ったんです。
それに、日本では外国人を英語で流暢に案内できるひとも少ない気がします。標識に迷う外国人と、英語の案内に困る日本人。双方の問題を解決するために、案内板などの情報が豊富になればいいのではないかと考えるようになりました」
Q3.活動をしている中で、大切にしていることは?
「外国人観光客に対して、物怖じせずに片っ端から声をかけることです。通学の際に電車に乗るのですが、いつも使う路線は観光客のひとが多いんですよね。乗り換えをどうすればいいのかとか、切符をどうやって買えばいいのかとか、困っている様子を見かけたら、積極的に手伝っています。外国人観光客がどこで混乱しやすいのか、ニーズがどこにあるのかを知る機会にもなるので。
知らないひとにも話しかけることができるのは、もともとの性格もあると思います。高校1年生のときに、英語を喋れるようになりたい、スピーキングの練習をもっとしたいって思ったのがきっかけなんです。いまも流暢に話せるわけではありませんが、当時は英語がまったくできなくて。スマホの翻訳機能を使いながらなんとか頑張っていました」
Q4.活動の中で、悩みがあれば教えてください。
「英語が第一言語ではない観光客へ対するアプローチについては、たびたび考えることがあります。英語は、世界の共通言語であっても、誰もが喋れる言語というわけではないので。英語が話せないひとたちのために、どういった工夫をすればいいのかという面で壁を感じることがありますね。先ほど話した駅の案内など、直接対応できるときは、完全な文章ではなく単語だけ並べたり、出身国を聞き出して翻訳アプリを利用したりしていています。
難しさを感じる場面こそあれど、活動しているなかで悪い反応をされたことは一度もないです。手助けを申し出ると、皆さんいい反応をくれることが多くて。ある日、街中を歩いていたら突然話しかけられたのですが、そのひとが数日前に道を案内したひとでした。僕のことを覚えてくれていたことがとても嬉しく、印象に残っています」
Q5.将来の展望は?
「日本に来たひとたちが快適に観光できるようにしたいです。また日本に行きたいって思ってくれるのが1番嬉しいですしね。それによって日本の治安が維持されることにつながるとも思います。
改札をそのまま通る外国人も見たことがありますが、それってルールを知らないからじゃなくて、疑問があっても駅員が英語を喋れなくて、結果コミュニケーションが取れない……みたいなところからくるものもあると思うんです。コミュニケーションを図りやすくすることは、いろんな意味で良い効果をもたらすと思います。
将来について現時点で考えているのは、外資系の企業に勤めるか、鉄道系の企業に勤めるか。英語のスキルを伸ばして、その能力を用いることができる職業につきたいという気持ちと、駅の案内を改善していくために直接的に関わることができる仕事に憧れる気持ちがあるので、今後の活動を通じて考えていきたいです」
優太のプロフィール
年齢:17歳
出身地:千葉県八千代市
所属:芝国際高等学校、株式会社Unpacked、NPO法人生徒会活動振興会
趣味:ゲームをすること、写真を撮ること、旅に出ること
特技:知らない人に躊躇わずに話しかけることができること、写真を撮ること
大切にしている言葉:情けは人の為ならず
Photo:Nanako Araie
Text:Yuzuki Nishikawa