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ニューヨークで演劇を学ぶ大学生の一日は想像よりもタフ?Michiho in New York #02【Steenz Abroad】

ニューヨークで演劇を学ぶ大学生の一日は想像よりもタフ?Michiho in New York #02【Steenz Abroad】

こんにちは!現在ニューヨークの大学で演劇を専攻しているみちほです。

現在海外生活をしている10代・20代のリアルをお届けする企画「Steenz Abroad」。今回は、前回に引き続きニューヨークでの生活、特に授業がある日の1日についてお伝えします!

朝ごはんはDining Hallで……毎日同じもの!?

授業の時間にもよりますが、毎日8~9時半には起きて身支度をします。持ち物はパソコンとヘッドフォンがあればOK。この日は夕方から、わたしが大学でステージマネージャーをしている演劇作品のリハーサルがあるので、脚本もリュックへ。そのまま寮の1階にあるDining Hall (食堂)へ向かいます。

大学内には何ヶ所かカフェや食堂があるんですが、Dining Hallが部屋からいちばん近いので、朝が得意じゃないわたしは、毎日、滑り込みで朝ごはんを食べてます。昼と夜のメニューは毎日変わるものの、朝は毎日同じメニューなので、もう50回は食べたオートミールとフルーツを、「これは美味しいんだ! 味がするんだ!」と自己暗示をかけながらなんとか完食。ご飯を食べながら終わっていない課題をやったり、SNSを見て授業までの時間を潰すのが日課です。

ちなみにコーヒーは飲み放題なので、眠すぎる朝はコーヒーを2杯がぶ飲みして、目をギンギンにしてから授業へ向かいます……この生活続けて大丈夫なのかな。

英語で哲学なんて聞いてない!

この日はまず、10時から必修の哲学の授業。授業毎に1人の哲学者に関する20~40ページの課題文が出て、それをもとにディスカッションをするという授業なんですが、これがまあ大変で、とても、とてもとても苦労しています。まず、古代ギリシャや近代の哲学者の思想を英語で読むので一難。それをしっかり理解して自分の意見をクラスに持っていくのでまた一難。アメリカの大学はディスカッションが多いとは聞いていましたが、ここまでとは思わず、学期の最初の方は半泣きでアリストテレスを読んでいました(笑)

とはいえ、授業の内容自体はとても面白く、プラトンやアリストテレスなどの基本的な哲学者以外にも、教授のピックアップした現代の哲学者の文章も扱うので、「人間とは何か」という抽象的な問いだけでなく、割と身近な話題(フェミニズムや人種差別)などについても学ぶことができます。

そして、ニューヨークという土地柄もあって、さまざまな人種やジェンダーアイデンティティ、育ってきた背景を持った生徒たちがそれぞれの視点から独自の意見を出してくれるので、より「アメリカで哲学を学ぶ価値」を感じることができています。

やっぱり欠かせないセントラルパーク

さて、哲学の授業が終わったら次の授業まで時間があるので、キャンパス内のカフェテリアで友達と早めの昼食です。この日はBBQライスボウルをチョイス。この気持ち程度の野菜の量でカフェテリア内ではトップクラスの野菜の多さなので、「本当にアメリカ人の食生活はどうなってるんだ、けしからん」とか思っていましたが、だんだん慣れてきた自分がいてとても怖いです。ご飯を食べつつ友達と夕方のリハーサルの打ち合わせをしたあとは……やっぱりセントラルパーク!

気温は12度とそこそこ寒かったですが、久しぶりの快晴だったので電動自転車(Citi Bike)をレンタルして公園内の大通りを爆走。日頃の運動不足を解消します。ちなみに、セントラルパークは高低差が激しいのでサイクリングの際は電動自転車がおすすめです。わたしは調子に乗って普通の自転車でセントラルパークを一周したら、その後一週間筋肉痛になりました。

やっとお目当ての演劇の授業へ

次は14時30分〜17時15分の異常に長い授業です。この授業は「History of Theater Design」といって、演劇デザインの歴史について学ぶものなので、興味のど真ん中。とはいえ、約3時間は長すぎるのですが、ギリギリ耐えることができています。

アメリカやイギリスなど西洋はもちろん、日本を含むアジアなど世界各国で、演劇がどんな歴史的背景のもとに発展してきて、どんなデザインが生まれてきたのかを学びます。西洋中心の直線的な歴史ではなく、それぞれの年代に複数の地域で演劇が発展し、それが現代の演劇につながっていることを再確認できるし、異文化間での演劇に共通点を見出すこともできて、それらがとても興味深いです。

いざリハーサルへ

17時すぎに授業が終わり、、急いでカフェテリアで晩ご飯をかき込んで、すぐにリハーサルへ。わたしが務めるステージマネージャーは、作品の稽古スケジュール・タイムテーブルの作成、リハーサルの進行、本番での舞台裏の統括が仕事なので、誰よりも早くリハーサルルームに行くことを心掛けています。この作品にはわたしを含めて3人のステージマネージャーがいるので、その2人とおしゃべりしながらリハーサルの準備をします。

演出家やキャストがそろったらリハーサル開始。18時から23時まで、短い休憩を挟みつつではありますが、ぶっ続けで5時間やり抜きます。リハーサルが終わったら、その日のレポートと翌日のスケジュールをまとめてチーム全員に送信して、稽古場での仕事は終了。やっと寮の部屋に戻ります。

ただし、寮に戻っても仕事は続きます。来週から実際の劇場での稽古が始まるので、必要な書類や変更点をまとめてます。それが終わったら他の授業の宿題をして、シャワーを浴びて、深夜2時ごろにやっと就寝。ちなみに部屋に湯船がないので、なかなか疲れが取れないのが最近の悩みです。アメリカ人、湯船無しでどうやって生きてるんだ。お風呂が恋しい。

さて、ここまでわたしの1日を紹介しましたが、これはQOL高めの日なので、もちろんもっとだらしない日もあります。忙しすぎてキャンパスの建物から一歩も出られなかったり、3食食べられない日があったり、逆にお昼過ぎまで寝ていることがあったり、洗濯物が溜まりすぎて深夜にランドリールームに行くことも……でも、それも今しかできない経験だと思って楽しむようにしています。

今回は大学でのある1日をお伝えしましたが、次回はお休みの日やニューヨークの演劇シーンなどについて、より詳しくお話しできればと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました!

島﨑みちほのプロフィール

ニューヨークの大学に通う東京都出身の大学1年生。演劇の舞台制作、特に照明・舞台監督・プロデュースを勉強中。

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島﨑 みちほ

ライター

2005年生まれ。東京都出身。幼い頃から出演者・裏方として演劇に関わる。大学進学を機に渡米し、現在はニューヨークにあるフォーダム大学シアタープログラムに在学中。ステージマネジメントを専攻しており、学内外でステージマネージャー・照明デザイナー・プロデューサーとして活動中。

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