「気になる10代名鑑」の853人目は、木戸洵成さん(19)。起業サークルの立ち上げや、新規事業の立案をおこなうインターンの経験を活かして、多様な人々が生活するシェアハウスを経営しようと挑戦しはじめています。何かをめざす人の「等身大ロールモデル」になりたいと語る木戸さんに、活動をはじめるきっかけや将来の展望を伺いました。
木戸洵成を知る5つの質問
Q1. プロフィールを教えてください。
「さまざまなバックグラウンドをもつ人たちが、交わりながら成長し合える『シェアハウス』を作りたいと考えています。
大学や学校などの枠にとらわれず、生活を共にする中で、互いに共創しながら成長できるスペースをめざしています。そのため、今年の8月に、高校時代の友人と一緒に会社を設立。先日、ベンチャーキャピタルの方から資金調達を受けることができました。
通っている成蹊大学では、挑戦する大学生を増やしたいという思いで起業サークルを立ち上げたり、新規事業の立案をおこなう会社でインターンシップをしたりしています。こうした経験や知識を活かして、シェアハウス事業に本腰を入れていきたいです」
Q2. 活動を始めたきっかけは?
「AO入試のために入った『早稲田塾』での出会いが、活動のきっかけです。高校では陸上に没頭していたんですが、大学でも続けようとは考えていなくて。そこで、これからのキャリアに焦点を当てたときに、早稲田塾に入れば、人生の可能性を広げられる気がしたんです。
早稲田塾には、高校生のころから起業をしている学生や、スマホを持たずに世界をバックパックで巡った人など、自分の中では想像もつかないようなことをしている人がたくさんいました。全く違う価値観をもって新しい生き方をしている同世代の人が、とても輝いて見えて。シンプルに、かっこいいなって感じたんです。
ただ、金銭面や家庭環境から、早稲田塾に入塾したくてもできない人もいる。早稲田塾に通っていても、卒業したらみんなバラバラ……。そんな環境にもったいなさを感じて、シェアハウスを作りたいと思うようになったんです。いろいろな経験と価値観をもった人が、生活空間で交わることで、新しいアイディアが生まれて、もっといい社会になる気がしています」
Q3. どんなことをテーマに活動をおこなっていますか?
「『いまは無理だ。自分じゃ無理だ』と感じている人に対して、挑戦するきっかけを与えていくことです。きっかけさえあれば、人は変わることができると思っています。
高校生のころ、友人と映画を作ったことがあって。映画を作りたい気持ちはあるけど自信がない、と話す友人に対して、自分が映画作りのきっかけになりたいと思いました。人を集めて、映画を作り終えたとき、彼は見違えるくらいに元気になっていて。人が変わったかのように積極的になって、いまも映画作りに携わっています。
シェアハウスでも、そのほかの活動でも、ぼくがしたいことって、そういうことだと思うんです」
Q4.活動するうえで、大切にしていることは?
「思いついたアイディアは、必ず誰かにぶつけてみる、ということです。
たとえば、何か企画や事業案を思いついて、ターゲットが学生だったら、『学生向けのサービスなんだけど、どう思う?』と、まずは友だちに話してみます。数人の友だちから、いいねって言葉が返ってきたら、ニーズがあるんだなと。そしたら次は、事業化してみよう、企業の代表に相談してみよう、など次のフェーズに移ります。
また、ほかの人と比べて頭ひとつ抜けるためには、実際に足を運んで、アイディアをぶつけ続けることが大事だと思っていて。『いま、学生で、こういうサービス考えています』って、代表の方に直接、話しに行くんです。実際に会いに行く学生って少ないので、そのおかげで良い結果につながることもあって。それから、絶対に一回ではあきらめないことも大切にしています」
Q5. 将来の展望は?
「なにかに思いを抱いている人の『等身大ロールモデル』になりたいと思っています。ぼくを見て『自分にもできるかもしれない』と思ってもらえるような、踏み出すきっかけを与えられる存在になりたいです。
あとは、学歴や経済力を理由に、挑戦がはばまれてしまう社会を変えていきたいです。実際に、ぼく自身も学歴が高いわけでもないですし、経済力があるわけでもないんです。だからこそ、辛いことや悩みを周りにも共有しながら、ひとりでも多くの人に、自分にもできるかもしれないって思ってほしいです」
木戸洵成のプロフィール
年齢:19歳
出身地:東京都大田区
所属:成蹊大学、Seikei start up STUDIO 、株式会社WASABI、Kvasir Works株式会社
趣味:サウナ、筋トレ、音楽鑑賞
特技:これからくるインフルエンサーを初期の段階で特定できる
大切にしている言葉:気持ちさえあればどんな環境にいても成し遂げられる
Photo:Nanako Araie
Text:Serina Hirano