世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、夏休みに読んでみたい本をご紹介します。
長い時間が取れるときに読んでおきたい本がある
せっかくの夏休み、お出かけや旅行など、アクティブな予定もいいですが、記録的な猛暑ということで、涼しい場所でゆっくりと読書の時間を取るのはいかがでしょうか。
そこで、2024年上半期に話題となった本の中から、いま読んでおくと役に立つ本をセレクトしてみました。
美学の入門書『東京藝大で教わるはじめての美学』
SNSで情報が拡散されることもあって、美術館やアートに触れる機会が増えていますよね。でも、実際に作品を前にすると「これはいったい、どう見たらいいのかな?」と悩んでしまうこともしばしばではないでしょうか。
『東京藝大で教わるはじめての美学』(川瀬智之 著、世界文化社)は、そんな疑問を解消してくれる1冊。東京藝術大学ではじめて「美学」に触れる学生を対象とした、授業の1コマを本にしたものなんです。
「美学」とは、美や芸術について、哲学的な問いを扱う学問です。たとえば、「そもそも、絵を見るとはどういうことなのか?」「絵を見る人は何を見ているのか?」「その人の中では何が起こっているのか?」といった問いです。
哲学的な内容なので、難解ではありますが、ここがはっきりすると、アートや美術作品といったものが、何を思ってつくられたのかが読み取れるようになっていきます。本の中では、20世紀フランスの思想家の絵画論を、わかりやすい図解と実際の芸術作品を使って解説されます。美術館に行った後に読むと、もう一度、美術館に行きたくなるような本です。
シリーズ累計100万部突破!一度は読んでおきたい『日本語の作文技術』
2024年に重版となった名作『日本語の作文技術』(本多勝一 著、朝日新聞出版)。旧版と合わせると、64回目の重版、シリーズ累計100万部突破というベストセラーです。
学校で作文を書かされることは多いですが、きちんとした日本語のテクニックというのは、多くの場合において教えてもらうことは少ないはず。この本の中では、わかりやすい文章を書くために、日本語の修飾の順序、句読点の打ち方、助詞の使い方、漢字の使い分けなどのテクニックが、丁寧に解説されています。
メッセージアプリなどで友達とやりとりをしていて「そういうつもりじゃなかったのに」と、思わぬ誤解が生まれてしまったという経験がある方は多いはず。また、現代の日本では、社会に出ると「文章を書く」という作業から逃れることもできません。そういう意味では、自分を成長させてくれること、間違いなしの1冊です。
英語脳をつくるために『NHK Enjoy Simple English Readers Amazing True Stories』
中学卒業レベルの英語を大量に読む・聴くことで、英語を英語のまま理解できるようになることをめざした異色の講座、NHKラジオ「エンジョイ・シンプル・イングリッシュ」。
同講座で2023年度に放送された、世にも不思議な本当の話を18話厳選して収載した『NHK Enjoy Simple English Readers Amazing True Stories』(Daniel Stewart 監修、NHK出版)が、6月14日に発売されました。
「モナ・リザ泥棒」「鯨に食べられた男」「パーキンソン病のにおいがわかる女」「ヒーローになった保護犬」などを収載。さらに、ストーリーの理解度をはかる英問英答の読解問題付きとなっています。音声はダウンロードで提供。高校入試の長文読解や学校のオール・イングリッシュ授業の対策にも最適です。
中学生程度の英語はもういいやという方も多いかもしれませんが、おもしろい話を英語でというのは、脳の中の英語を理解する部分を刺激してくれます。ぜひ、おもしろ動画や漫画を見るような気分で聞いてみてくださいね。
キャリアの基本書『はたらくって、なんだ?』
10代にとって、身近な問題でありつつ、どこかリアリティを感じにくい「はたらく」という行為。まわりの働いている大人に「はたらくって、なに?」と聞いてみても、おそらく答えは千差万別で、さらに迷ってしまうことが多いはず。
そんなときに、読んでみると役に立ちそうなのが、『はたらくって、なんだ?』(村山昇 文、日本産業能率センター)です。
この本は「働くこと・仕事・キャリア」に向き合うときの、心の構え方・ものごとのとらえ方、就労意識の基盤、仕事観・キャリア観をつくれる本になっています。著者の村山昇氏は、組織・人事コンサルタントとして、多くの企業や団体で管理職研修やキャリア教育を行ってきた「はたらくってなんだ?」のプロとも言える存在です。はたらくことの実感がいまいちつかめないという人は、ぜひ手にとってみてください。
本を読む日を作ってみよう!
夏休み、もうたくさんの予定が入っているかもしれませんが、1日くらいは、涼しいところでたっぷりと本を読む日を設けてみてもいいのではないでしょうか。きっと得るものも多いはずです。
Text:Itsuki Tanaka