世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、アフリカの学校において頻発する、教師による性犯罪について、ご紹介します。
モザンビークで教師に性犯罪に対するデモが激化
教育が広まり、識字率も大幅に上がっているアフリカ諸国。そのような明るいニュースの裏で、「成績のために行われる性犯罪」が問題となっています。
アフリカ大陸の南東部の海沿いに位置するモザンビークでは、教師による性犯罪に対するデモ活動が大きくなっています。
1990年から内戦がはじまったモザンビークでは、情勢不安や貧困によって、アフリカの中でも、学校に通える子どもは多くありません。UNICEFによると、モザンビークの初等教育の終了率は男子が44%、女子が39%と、非常に低いことがわかります。女性の大学入学率はわずか1%で、女性の約48%は18歳までに結婚していることから、多くの女性が、若いうちから家庭に入ることが想像できます。
アフリカの学校で見られる卑劣な手段とは
そんなアフリカの子どもたちにとって、教育が貴重である一方で、生徒の貧困を利用した性犯罪が問題となっています。
被害に遭っているのは、初等教育を受ける10歳くらいの幼い子どもから大学生まで、幅広くいるといわれています。加害者となる教師は「成績を良くさせてあげる」「高校に進学させてあげる」といった口約束をすることで、生徒に性行為を求めます。さらに女子生徒が拒否したり、家族に話したりした際には、「退学させる」といった脅しをおこなうのです。
教師による性犯罪はモザンビークだけでなく、アフリカ各地で見られ、デモ活動も広がっています。筆者の住むウガンダでも、友人が通う高校で、成績の良い女子生徒に「留年させる」といった口約束をして、その見返りに性暴力をおこない、最終的には退学に至ったケースがありました。
声をあげられない被害者たち
性教育が行われず、そもそも性について公共の場で話すことがタブー視されているアフリカの国で、被害者が声をあげることは、非常に困難なこと。また、経済的な理由によって、転校などが難しいことも、逃げ道がない状況を生み出しています。
もちろん、レイプといった性犯罪は法律で犯罪にあたりますが、貧しい家庭の女子生徒が弁護士を雇い、教師に対して裁判を起こすことは、ほぼ不可能です。また、こうした性犯罪の分野での弁護士や法律家も少なく、証拠をあげることもハードルが高いため、ほとんどのケースで、女子生徒は泣き寝入りするしかないのです。
背景にはアフリカにはびこる汚職も
日本であれば必ず大きな問題になる、教育者による性犯罪。この背景には、国の汚職も関係していると考えられます。アフリカの多くの国では政治家や警察のみならず、役人や教師といった公務員にまで汚職が蔓延しており、たとえ性犯罪者であっても、賄賂によって釈放されることがあるのです。
本来、教育とは、子どもたちに未来の選択肢と希望を与えるもの。しかし、教師と生徒という、力の差や社会的立場の勾配を利用した性犯罪は、決して許されない犯罪です。そして、性被害は被害者の尊厳を傷つけ、何年も後遺症を患うこともある、残酷なものです。
国の教育委員会や学校側は、しっかりとした調査を行い、教師と生徒の両方に、教育を行うことが必要です。
Reference:
UNICEF「世界子供白書2021」
TheBorgenProject「WORLD BANK PROJECT TO IMPROVE EDUCATION FOR GIRLS IN MOZAMBIQUE」
Text:Hao Kanayama