「気になる10代名鑑」の443人目は、遠藤梢子さん(17)。中学3年生のときから教育学に強い関心をもち、アクションを起こしながら、現在は全国の高校生をラジオでつなげる活動をしています。教育学の研究者を志す遠藤さんに、印象的だった出会いや将来の展望についてうかがってみました。
遠藤梢子を知る5つの質問
Q1. いま、いちばん力を注いでいる活動は?
「『ラジレジオン』というチームで『つながラジオ』というプロジェクトを進めています。これは、全国の高校でお昼休みの時間に、高校生自身の声をラジオで流すという活動です。どこの学校にも放送設備はあるし、耳からのコミュニケーションということで、高校生にとっても受け入れやすいんじゃないかなと思うんです。
まだ実際に学校で流せてはいないんですけど、1週間のお試し期間のような『ラジオweek』を企画しているところです。わたしたちで録音したものを流してもらって、そのあと、『実際にあなたの声も流してみませんか?』と呼びかけて、活動を広げていこうと考えています」
今日は特に,現在と過去の境目などないことを思い知らされる現代史の授業だった。世界は,私の想像以上に暴力が溢れている。あるあるのように聞こえるだろうけれど,その「暴力」はどこの何によっていつなぜどのように生まれてしまったものなのかを,少しでも詳細に知ることはやはり必要なのだと思う。
— しょうこ (@shokokreis) May 12, 2023
Q2. 活動を始めた理由は?
「ニュースやSNSで、他の高校でどんな授業をしているかとか、新しい取り組みの話とかを知るけど、学校ではなかなか知る機会がないし、広がっていない気がして。
よく『自分ごと化する』っていうけど、地球の裏側とか、関わりのない場所の出来事って、具体的にイメージするのは難しい。でもちょっとしたきっかけで変わると思うのです。例えば、わたしは修学旅行で和歌山に行ったんですけど、そのあと和歌山で地震があったときに、『お世話になった和歌山のみなさんは大丈夫かな』って自然と考えたんです。
これは、自分ごとではないけど、他人ごとでもない、『友だちごと』だなって思って。だから、ラジオというつながりで、他の学校のことを『友だちごと』にできないかなって考えたのが、活動をはじめたきっかけです」
Q3. 活動を続けている中で、印象的だった出会いはありますか?
「『3×3lab future』という、千代田区にあるコワーキングスペースの存在が大きいです。
中学生のときから教育に興味をもちはじめて、高校受験が終わったタイミングで外の世界をもっと見てみたいと思い、いろいろな学生団体に顔を出したり、話を聞いたりしていたんです。その中で『3×3lab future』で開催された、企業の人の話を聞いて、自分たちでアイディアを考えてみる、というイベントに参加して……。
そのとき、若者の考えをこんなにも尊重してくれて、そっとサポートしてくれる大人がいるんだと衝撃を受けました。そこで『面白そうだね』って言っていただいて、このラジオのプロジェクトも生まれたんです」
今日のメモ
・jobsのConnecting the dots
・歴史教育は教養ではない
・初めて触れる情報の影響力の大きさ
・関心を持つことで自分が画一化されていく怖さ
・自分の持ち札で戦ってしまう議論
・固有の体験を交えることの価値(人間の価値)
・自分の中に持つ反駁と,他者による納得感を持った反駁の違い— しょうこ (@shokokreis) June 10, 2023
Q4. 悩みはありますか?
「高校生だから許されることももちろんありますが、高校生であることの限界を感じることもあります。
もちろんオープンに話を聞いてくださる人もたくさんいるんですけど、大学生が同じことを言ったら話を聞いてくれるのに、高校生だと『すごいね』で終わってしまうというか、一歩踏み込めないと感じることも……。
それとは逆に、『高校生だから新しいアイディアを持っているでしょ』って期待されて、それがプレッシャーになることもあって。言われることもあります。なかなか良いアイディアが浮かばないことも多くて大変だけど、いろいろな人と対話していくなかで良いアイディアが見出せると思うし、思考が整理されるタイプなので、人との出会いを大切にしていきたいです」
Q5. 将来の夢は?
「教育学の研究者になりたいです。民間企業で働くことも考えたんですけど、介入できる学校が限られてくるように感じたんです。それに、社会にある教育に関する問題に名前をつけて、社会に『こう変えていきませんか』と発信することが、わたしが本当にやりたいことなのかなと思っています。
また学校は、『学ぶための場所』だけではないとも思うので、学校教育が社会のなかでどのような価値を持ち、役割を担っているのかも考えていきたいです。
研究者なら、民間企業と学校教育をつなげることもできると思っています。今後、いろいろな分野の勉強をして、自由に、幅広く、社会を変えられるような活動していきたいです。
まずは『つながラジオ』を成功させたいので、『うちの高校でラジオ流してみたい』という方がいらっしゃいましたら、ラジレジオンにぜひご連絡ください!」
遠藤梢子のプロフィール
年齢:17歳
出身地:東京都
所属:ラジレジオン
特技:インタビュー、考えること、言語化
趣味:フィールドホッケー、映画ドラマを見ること、お弁当づくり
大切にしている言葉:written in the stars、自由奔放
遠藤梢子のSNS
「生涯に渡って学び続ける人でいよう」
最近、本当にこの道(教育)を選んで良いのか迷っている。けれど、やってみて違うなと思ったら、そのときまた方向修正したらいい。学べば学ぶほど、学びたいことは山ほどでてくるのだから。それがきっと、学び続けるということなのだと。現時点ではそう解釈したい— しょうこ (@shokokreis) January 25, 2023
Photo:Eri Miura
Text:Chikiri Kudo