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天ぷら油で飛行機が飛ぶ!拡大するSAF製造計画でサステナブルな空の旅を【Steenz Breaking News】

天ぷら油で飛行機が飛ぶ!拡大するSAF製造計画でサステナブルな空の旅を【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、持続可能な航空燃料「SAF」についてご紹介します。

なぜ「SAF」が注目されているのか?

世界的な脱炭素の動きから、運輸や物量といった分野では、水素自動車、EVトラックなどといった輸送手段が登場しています。しかし航空機においては、電気や水素燃料への置き換えが難しく、研究は進められているものの、いまだ実用化には至っていません。

そんな航空業界では、航空機による環境負荷を減らすため、ある燃料が注目されています。それが、廃棄油などからつくられる「SAF(サフ)」です。

「SAF」は再生可能燃料や廃棄物から作られる持続可能な航空燃料

SAFとは、「Sustainable Aviation Fuel」の略で、「持続可能な航空燃料」を意味します。従来の航空燃料は、石油由来であるため、油田から発掘され、燃料として使用されたら、二酸化炭素と水蒸気を排出して終わりです。

一方、SAFの原料は、藻類などの植物や、再生可能な廃棄物です。燃料として利用した際に、発生した水蒸気と二酸化炭素を、植物が吸収してくれます。そしてその植物を使用して再びSAFをつくる……実質的には、永久に使用できる燃料となります。

日本政府としても、2030年までに国内の航空会社の燃料使用量のうち10%をSAFに置き換えるという目標を設定しました。この発表を受けて、国内でSAF製造に取り組む企業が増えています。

回転寿司店の天ぷら油で飛行機が飛ぶ

回転寿司「スシロー」を運営する「FOOD & LIFE COMPANIES」も、SAF製造に取り組む企業のひとつです。

スシローなどの約680店舗で出る廃食油などを使用し、日揮ホールディングスの製油工場でSAFを製造。回収予定の廃食油は、年間90万リットルもあり、製造されるSAFも、年間3万キロリットルを目標としています。

これまでも、SAFの製造に取り組む企業はありましたが、大手外食チェーンが全国規模で展開することは、業界初のこと。

また、SAFの原料である廃食油は、年間10万トンが日本から海外に輸出されています。いままで海外に送られていた廃食油を国内で使用することにより、輸送時に排出される二酸化炭素を削減し、さらにエネルギー自給につながると考えられます。

家庭の油で飛行機が飛ぶ日が来るかも

SAFの原料は廃食油だけではありません。例えば、バイオ燃料事業などを展開する株式会社ユーグレナでは、廃食油と微細藻類ユーグレナから取り出した油脂を原料とするSAF「サステオ」を製造しています。

SAFの製造拡大にともない、SAFを使用する航空機も増加。2023年1月には岸田総理の欧州・北米訪問時の政府専用機に、SAFが使用されました。また、JALグループは「2030年に全燃料搭載量の10%をSAFに置き換える」ことを目標とし、SAFの利用を増やしています。

持続可能な飛行を可能にする新たな燃料であるSAF。日本だけでなく、世界中で注目されています。そうした背景を受けて、SAFの原料となる廃食油の争奪戦が激化しているという現象も。

現在、廃食油は企業から回収されたものが中心ですが、家庭の廃食油を回収する取り組みも、試験的に始まっています。近い将来、家の廃食油で、飛行機が飛ぶかもしれませんね。

Text:Tommy

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Tommy

ライター

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