世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、アメリカでも食用認可された「培養肉」の現在についてご紹介します。
アメリカで「培養肉」が食用として認可
2022年11月18日、米食品医薬品局(FDA)は、国内で初めて、培養肉を食用として認可したことを発表しました。
培養肉とは、家畜の食べられる部分の細胞を培養することで、人口的に作られた肉のこと。将来起きると予想される食糧問題や環境問題への対策として、いま注目が集まっています。
今回、公的に認可されたのはアメリカの培養肉企業「UPSIDE Foods(アップサイド・フーズ)」のみですが、FDAが「他の培養肉企業に協力する準備はできている」と述べていることから、アメリカ国内における培養肉への注目は、確実に高まっているといえそうです。
またFDAの認可に加えて、今後は生産施設への検査許可や食品自体の検査マークの取得などをクリアすることで、培養肉が一般販売可能となります。
このように、培養肉がわたしたちの生活で身近になるためには、まだ時間がかかりそう……。ですが、最近では、特に大きな課題である「大量生産」と「コスト」に関して希望的なニュースも飛び込んできました!
世界最大の培養肉工場が誕生
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イスラエルの培養肉企業「Believer Meats(ビリーバー・ミーツ)」は、アメリカのノースカロライナ州に、世界最大の培養肉工場をつくると発表しました。なんと、フル稼働で1万トンもの培養肉の生産ができるようになるといいます。
この工場には、培養肉の大量生産のための設備以外に、最先端の研究設備や試食用のキッチンなども設置予定。培養肉の最先端を走る場所になるかもしれません。
Believer Meatsの拠点となるイスラエルは、ヴィーガン率世界1位のヴィーガン大国。そのため、培養肉の研究も積極的に行われており、以前もSteenzでご紹介したように、ラム肉の培養肉まで開発が進んでいます。
あの日本企業が高コスト問題を解決?
ただし、培養肉の拡大を障壁となっているのは、コストの高さ。高度技術や専門設備なども要因となっていますが、特に大きいのは培養液の価格。その解決の糸口をつかんだのが、日本の老舗食品企業であり、プロ野球の球団でもおなじみの「日本ハム」です。
従来、培養液として使用していた動物の血液成分から、一般的に流通している食品由来の培養液に置き換えることに成功。おかげで、コストは約20分の1まで抑えられるようになるそう。
低価格な培養液、大量生産可能な工場、そして各国での認可。培養肉がスーパーに並ぶ日が着々と近づいてきているといえるでしょう。
Reference:培養液の主成分である動物血清を食品で代替することに成功
~培養肉の商用化実現に向けて前進~
Text:Tommy