世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、2022年2月にEUでコオロギが食品認定されたというトピックをきっかけに、食糧危機と昆虫食の関係について、ご紹介します。
迫りくる食糧危機。なかでもタンパク質不足は大きな問題
いま、食糧危機がますます深刻な問題となっています。2022年9月のWFP(世界食糧計画)によると、深刻な飢饉ギリギリの状況にあるひとは、世界に3億4,500万人、毎晩空腹の状態で眠るひとは8億2,800万人以上にのぼりました。
これは過去最高の数値。その背景には、気候変動による干ばつ、集中豪雨による浸水、温暖化による収穫量の減少などがあります。
食糧危機というのはさまざまな負のインパクトがありますが、特に深刻なのは、タンパク質不足。タンパク質は人間の体を作り出すために必要不可欠な栄養素です。人間が1日活動するのに必要なタンパク質は、体重が50kgの場合、50gであるといわれています。
いまから50年後の2080年には、世界人口が100億人を突破するといわれているいま、人類に必要なタンパク質の供給は追いつかなくなる可能性も……。いまを生きる10代にとっても、そう遠くない未来に、地球規模で深刻な事態になっているかもしれません。
その問題解決の糸口となるのが、タンパク質が手軽に、そして豊富に摂れるとされている「昆虫食」なんです。
EUがミルワーム、トノサマバッタに続き、コオロギを食品認定
EU(欧州連合)は2022年2月、コオロギを食品として正式に認定しました。今回の認定は3種類目で、2021年4月にはミルワームが、同年11月にはトノサマバッタが認定されています。食料認定されると、正式にEU市場での販売が可能になります。消費者の中には昆虫を食べることに抵抗があるひともいますが、販売される製品が増えれば、自然と市場は拡大し、昆虫食を摂り入れるひとも増えるでしょう。
🦗🐛 Whether a snack or a food ingredient, did you know there are currently three insects authorised in the EU ‘novel food’?
‘House cricket’, ‘yellow mealworm’ and ‘migratory locus’ are the three types of insects authorised as ‘novel food’ in the EU market. 👇 pic.twitter.com/PIvWNVWtBr
— European Commission 🇪🇺 (@EU_Commission) August 12, 2022
承認された昆虫は、乾燥させてそのままの状態でスナックになったり、粉末にして食材として使われます。
昆虫が世界を救う日は、意外と近いかもしれない
コオロギは豚や牛、鶏と同等のタンパク質量があり、さらに飽和脂肪酸が含まれています。
また環境負荷の小ささも、注目されている理由のひとつ。牛などの家畜は、餌や育成、加工時に大量のCO2を排出し、水も多く使用します。一方で、昆虫であれば、狭い場所でも飼育ができ、さらに成長も早いため、家畜に比べて環境への負担が少なく済むのです。
日本ではまだ、EUのように正式承認こそされていませんが、昆虫、特にコオロギを使った食品を目にする機会も増えてきました。
現在、おなじみの無印良品では、「コオロギせんべい」と「コオロギチョコ」を購入することができます。
昆虫食というと、まだまだ抵抗がある人が多いかもしれません。しかし、お肉よりも環境負荷が低く、そして栄養価の高さから考えると……新しい選択肢として、アリなのかもしれません。今度見かけたら、ぜひチャレンジしてみてください。
Reference:
European Commission|Approval of third insect as a Novel Food」
Image:PR TIMES
Text:Tommy