世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、アメリカの人気アウトドアブランド、パタゴニアの創始者であるイボン・シュイナード氏が行った、環境保護団体への寄付についてご紹介します。
「故郷である地球を救う」パタゴニアの思想
Patagoniaの名前を知っている人は多いのではないでしょうか。アメリカ発のアウトドアブランドで、登山用品をはじめ、サーフィン、クライミング、マウンテンバイクなど、さまざまなアクティビティ関連の商品を販売しています。
そんなパタゴニアは、環境保護活動に積極的なブランドとしても有名です。例えば1985年以降、30年以上にわたって、売上の1%を自然保護のために環境保護団体に寄付しています。またギア(道具)やウェアを長く大切に着られるよう、「WornWear」という修理サービスも積極的に展開しています。
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2018年からは、企業理念を「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」に変更。そのポリシーのもと、環境保護への取り組みをさまざまな角度から行ってきました。
地球こそが唯一の株主
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そしてつい先日飛び込んできたニュースですが、2022年9月14日、パタゴニアの創始者であるイボン・シュイナード氏(83)は、自身と自身の家族が保有するパタゴニアの発行済み株式のすべてを環境保護団体に寄付すると発表。前代未聞の決断は、経済界に大きな衝撃を与えました。
パタゴニアの議決権株主のすべてを『Patagonia Purpose Trust』(パタゴニアのバリューとミッションを守ることだけを目的として設立されたもの)に、無議決決済株主のすべてを環境NPO団体「Holdfast Collective」に譲渡。これにより、パタゴニアは永遠に環境保護を目的とした企業であることが確約され、毎年1億ドル(約149億円)が、配当金として団体に支払われるのです。
シュイナード氏は「地球が私たちの唯一の株主」というタイトルの名声の中で、「パタゴニアの価値観を維持しながら、環境危機と闘うために、より多くの資金を投入する方法が必要だった」と述べています。優れた選択肢が見つからないのなら、自分たちで作ろう。そうして考え出された選択肢が、今回の発表でした。
世界の投資家から広がる環境保護・社会貢献
環境保護団体や社会貢献活動に多額の寄付を行うのは、今回が初めてではありません。マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツ氏は、2022年7月に、200億ドルを慈善団体に寄付しました。この動きは広がりを見せており、自身の保有する資産の半分以上の寄付を誓う「ギビング・プレッジ」には、2021年時点で14人が参加しています。
いま、世界の投資家は環境保護や社会貢献に注目しています。そのひとつにあるのが「ESG投資」。これはEnvironment(環境)・Social(社会)・Governance(ガバナンス)の3つに配慮した企業への投資を意味します。
ESG投資を意識した経営を行う企業は日本でも増えていますが、他の先進国に比べるとまだまだ少ないのが現状です。消費者として企業とどう向き合うべきなのか、企業は環境問題や社会問題にどうアプローチすべきなのか……。パタゴニアの決断をきっかけに、考えてみてはいかがでしょうか。
Reference:
地球が私たちの唯一の株主|Patagonia
資産過半の寄付を誓う「ギビング・プレッジ」、今年は14人が署名|Forbes JAPAN
Image:Patagonia公式Instagram
Text:Tommy