Teen's Snapshots

避難所での体験から、理想のリーダーシップを追いかけて。岩手から高校生のサードプレイスづくりに取り組む大学生【伊藤充優・19歳】

避難所での体験から、理想のリーダーシップを追いかけて。岩手から高校生のサードプレイスづくりに取り組む大学生【伊藤充優・19歳】

「気になる10代名鑑」の1412人目は、伊藤充優みひろさん(19)。学生団体トンガリーズ東北支部で副支部長を務め、高校生のサードプレイスを運営しています。4歳のときに経験した東日本大震災での父親の姿にリーダーシップを学んだと語る伊藤さんに、当時の話や地元・岩手での活動に欠ける想いについて聞いてみました。

伊藤充優を知る5つの質問

Q1.いま、力を入れていることは?

「学生団体トンガリーズに所属し、高校生の挑戦を支えるサードプレイス運営に力を入れています。

高校時代から、地元の岩手で祖父母が入っていた蕎麦組合を応援するために学生団体を立ち上げ、高校生の活動拠点づくりに取り組んできました。蕎麦を使った新メニューを考案してマルシェに出展したり、SNSを立ち上げてイベントの発信をやってみたり。団体での活動は、全国マイプロジェクトアワード2023で表彰していただきました。

その延長線上で学生団体トンガリーズ東北支部に所属し、副支部長を務めながらイベントの企画・運営・出展をおこなっています。最近だと、面白い課外活動をしている高校生を集め、彼らがお互いにつながり合えるようなイベントも開催しました。

わたし自身も高校時代に課外活動に取り組んできたからこそ、同じように挑戦する高校生同士が出会い、互いに刺激を受けられる場をつくることが大切だと感じていて。高校生たちには自分の関心をもとに“とんがりながら”、社会の先陣を切っていってほしいですね」

Q2.活動を始めたきっかけは?

「見返りを必要とせずに、まっすぐに高校生を応援してくれる大人たちとの出会いです。

高校生のころ、わたしは小さなコミュニティで自分の将来や可能性を狭く捉えていました。けれど、探究活動のおかげで大学生・社会人など多様な相手と出会い、交流することで『こんな生き方もあるんだ』と視野が広がっていきました。

大きな転機となったのが、高校2年生の夏に参加した、公益財団法人米日カウンシルとソフトバンクグループ株式会社が共催する『TOMODACHIサマー・ソフトバンク・リーダーシップ・プログラム』です。これは震災で被災した地域の高校生が、米国カリフォルニア大学バークレー校で約3週間地方創生を集中的に学ぶプログラムです。ここで、自分とは異なる生き方や価値観に触れて『自分には何ができるんだろう』と考えるようになり、いまのわたしがあります」

Q3. 活動で大切にしていることは?

「誰ひとり取り残さないためのリーダーシップを大切にしています。

その背景には、わたしが4歳のときに震災後の避難所で見た父の姿があります。避難所ではなかなか状況が良くならずに息が詰まっていたのか、大人たちが言い争うような場面もあって。そんなとき、父が間に入って仲介役を務めていたんです。大変な状況でも冷静に周囲を見渡し、人と人との間に立って、みんなをまとめようとする父の姿が印象に残って、リーダーとはどうあるべきなのかをいまでも考え続けているんです。

学生団体においても、冷静にメンバーの間に立ち、一人ひとりの思いや意見を尊重しながらチームとしてまとまれる方向性を見つけていくことを意識しています。高校生が安心して自分の思いや挑戦を語れるサードプレイスをつくるためにも、まずは運営するわたしたち自身が、誰も置き去りにしないチームになれるよう心がけていますね」

Q4.活動を通して、実現したいビジョンは?

「どんな学生でも、環境や地域に関係なく安心して人と出会い、自分の可能性に期待できる社会をつくりたいです。

地元の岩手と東京を比べてみると、出会える人や得られる情報の豊かさには、まだまだ大きな地域差があります。地域格差を完全になくすことは難しいかもしれませんが、誰と出会い、どんな生き方に触れられるかは、自分の可能性を信じられるかどうかにも大きく関わると思うんです。どんな環境にいる学生にも、自分の知らない世界や生き方に触れるチャンスがあって、『自分にもこんな可能性があるんだ……!』と信じられるようになってほしいんです。

学生が自分のことを好きになれる居場所を持つことも大切ですね。わたしは学校があまり好きではなかったので、蕎麦組合や探究活動で出会った仲間との関わりが、かけがえのない居場所になっていました。学校にいるときよりも、そうした場所で出会った人たちのほうが、自分自身を見てくれていると感じられて、新しいことに挑戦してみようと思えたんです。

学生が自分の可能性を信じ、自分で選んだ道に納得感を持って一歩を踏み出せるようにしたいです」

Q5.将来の展望は?

「将来は、NPOなどで居場所づくりに関わり、悩んでいる学生に新しい選択肢を届けたいです。

その第一歩として、今冬から埼玉県新座市で、食を切り口に高校生が多様な人と出会い挑戦できるサードプレイスづくりに取り組む構想があります。食には、いっしょに料理を作ったり、食べたりするなかで、自然と人と人との関わりを生み出す力があります。高校生や大人が集い、出会いを提供しながら共食を楽しめるような場にしていくつもりです。

学外の居場所や出会いに支えられてきたわたしだからこそ、今度は高校生を支える側になりたいんです」

伊藤充優のプロフィール

年齢:19歳
出身地:岩手県紫波町
所属:学生団体トンガリーズ、TOMODACHIサマー・ソフトバンク・リーダーシップ・プログラム9期生、マイプロジェクトネクストlab、岩手県マイプロジェクト学生サポーター
趣味:ベリーダンス、燻製作り
特技:スキー
大切にしている言葉:やらぬ善よりやる偽善

伊藤充優のSNS

★Instagram


Photo:Nanako Araie
Text:Taishi Murakami

SNS Share

Twitterのアイコン

Twitter

Facebookのアイコン

Facebook

LINEのアイコン

LINE

Taishi Murakami

ライター

2006年生まれ。慶應義塾大学2年。民俗学をはじめ、マーケティングやパブリックアフェアーズなどの領域を横断的に学ぶ。「大切にしたいものをきちんと大切にする」をモットーに、現在はヘルスケア領域での起業に向け邁進中。PRマーケターとしての顔も持ち、事業づくりと発信の二面からひとの営みを優しく未来へつなぐ方法を探求している。

View More