
「気になる10代名鑑」1384人目は、坂中日那乃さん(16)。「普通」と「それ以外」に分けずに、子どもの個性を尊重するオルタナティブ教育を日本に広めることを目指して活動しています。病気によって「普通」の教育を受けられなかった経験が原点だと語る坂中さんに、当時のエピソードや将来の展望について詳しく聞きました。
坂中日那乃を知る5つの質問

Q1.プロフィールを教えてください。
「『普通』と『それ以外』に分けるのではなく、誰もが自分らしくいられる『縛らない教育』の実現に取り組んでいます。支援枠などで特別扱いするのではなく、どんな子どももありのままの自分を出せる場を当たり前にしたいんです。
具体的には、通信制学校やフリースクールといったような、子どもたちの主体性を尊重する『オルタナティブ教育』を学び、その理念を一般化していきたいと考えていて。トビタテ!留学JAPANの11期に採択されたので、来年の1月から4月にオランダに留学し、海外の先行事例をこの目で見てきます。
そのほかにも、地元・佐久市で『POCO FOCUS』という団体を立ち上げ、行政や地域を巻き込みながら、子どもたちが多様な学びや体験を選べるサードプレイスづくりを目指しています。また、『学校インターンシップ』の実証実験など、新しい取り組みも進めている最中です」
Q2.活動をはじめたきっかけは?
「中学受験に合格して念願の学校に通えると思ったら、身体的な病気によって行くことができなくなってしまったんです。
学校に戻ってくることができたのは、3年生の後期でした。頑張って受験しても、体調のせいで通えなくなったら学ぶことがままならなくなるという感覚がして。社会のレールから外れることへの絶望を感じたんですけど、学校に復帰する前に柔軟なスケジュールで学べるフリースクールに通ったことが救いになったんです。
そこの先生が、『海外はいろんなフリースクールがあって、誰かが勉強してるときに誰かがリンゴをかじってて、自由な空気でそれぞれのペースで学べるところがあるんだよ』と教えてくれたのがすごく印象に残っていて。そこからいろんな国の教育制度に興味を持ち、独学で調べるようになりました」

Q3.活動にあたってのファーストアクションは?
「最初はひたすら文献をよんでいました。そこから、日本では実際にどういう学校があるのか、そこでどんな取り組みがされているのかを調べて、実際に行ってみたんです。
東京のサドベリースクールを訪れたときには、画期的な施策に驚きました。決まりがない学校で、先生たちも、教師というよりはお兄さんお姉さんといった雰囲気で。大人から強制される授業が無くて、自分の興味のある分野で主体的に学びを深めていくんです。そのうちのひとりで、国語や数学の代わりにパソコンを勉強している子どもが印象的でした。
ですが、オルタナティブ教育がなされているのは、ほとんどの場合が私立で。スクールには小学生もいましたが、小学生で自力で調べてそういった学校に通うのは、いまの日本では考えづらいじゃないですか。教育に興味のある親を持っていること、金銭的な余裕のある家庭でないと厳しい現状であるとも感じたので、オルタナティブ教育の課題を考えるきっかけにもなりましたね」
Q4.活動する中で、印象的だった出会いは?
「高校からの募集をきっかけに参加したイベントで、主催者として東京から参加してるボランティア団体の人がいたんです。
オルタナティブ教育に興味があることを伝えたら、地域とのコラボレーションでできることがあったら、いっしょにやろうと言ってくれて。そういった出会いを含めて、活動していくなかで地域に根付いたサードプレイスの創出にも興味を持つようになりました。
そんななかでも、活動当初の想いを忘れないことを大切にしようと思っています。いろんな人と関わるなかで、よくも悪くもいろんな人の想いが混ざってくるので。目標がグレードアップしていくのは良いのですが、その土台となる気持ちに立ち返れる人間でありたいんです」

Q5.将来の展望は?
「オランダから帰ってきたら、日本でオルタナティブ教育を広めていくための活動を本格的に開始したいと思っています。留学をただの学びで終わらせず、POCO FOCUSで現地の仕組みを実証したいです。そこで、出席扱いや安全管理の成功事例を確立し、それを全国の学び場へ広げる『学校インターンシッププラットフォーム』を展開していきたい。
海外で学んだことを日本に活かしたいという気持ちもありますが、日本の教育を否定したいわけじゃなくて。日本の教育の良さも活かしつつ、海外の良さを取り込みたいんです。そのためにも、オルタナティブ教育においてどうやって自立と自由が両立するのかという部分まで、オランダでしっかりと学びたいですね。
将来は、『特別』をつくらずにありのままで生きられる居場所を全国に広げることが夢です。どんなかたちであれ、若者が自分の可能性に蓋をせず、自分を肯定して生きていける仕組みや選択肢を生み出す人になりたいと思います」

坂中日那乃のプロフィール
年齢:16歳
出身地:長野県佐久市
所属:佐久長聖高等学校
趣味:愛犬と過ごすこと
特技:お菓子作り・編み物
大切にしている言葉:変われる自分を好きになって、変われた自分とこれがやりたいと思った自分を信じていく
Photo:Nanako Araie
Text:Yuzuki Nishikawa






