
「気になる10代名鑑」1334人目は、渡邊楓花さん(19)。高校時代に「高校生一万人署名活動」の長崎派遣代表を務め、現在第五福竜丸展示館のボランティアや、平和に関する講演活動を続けています。どこか遠くて難しいイメージの「平和活動」を誰もが自分ごととして考えられるきっかけをつくりたいと話す渡邊さんに、そのきっかけと印象的な出会いについて聞いてみました。
渡邊楓花を知る5つの質問

Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?
「高校2年生のときから続けている平和活動です。当時は核兵器廃絶を求めて署名を集め、その代表がスイスの国連欧州本部へ届ける『高校生一万人署名活動』に参加して。わたしは長崎派遣代表として、現地での研修や自身の想いを発信する活動をおこないました。
大学生になって上京してからは、東京の新木場にある『第五福竜丸展示館』で学生ボランティアをしています。来館者へのガイドだけでなく、蔵書点検や企画展のブースづくりなど、展示館の運営全般に関わっています。
また、署名活動のOB・OG団体での活動や、大学の放送研究会で、相手に届く『伝える技術』を磨くことにも力を入れています」
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Q2. 活動を始めたきっかけは?
「高校生のときに、アメリカ人と韓国人の友だちができたことです。
最初は過去の歴史的な背景を考えてしまい、関わることが少し怖いと感じる部分もありました。でも、彼女たちと対話を重ねるなかで、『過去の歴史はあるけれど、いまのわたしたちがひとりひとりと向き合っていけば、何か問題があっても乗り越えていけるよね』という考えに至りました。
国同士の政治的な関係ではなく、目の前の友だちとの関係から、平和を考えることだってできる。この経験を活かしたいと思い、平和大使の活動に応募したのがすべての始まりです」
Q3. 活動をする中で、印象的だった出会いは?
「活動を始めて半年ほど経ったころ、地元の静岡で講演をしたときに出会ったある人のことは、いまも忘れられません。
当時はまだ自分の語りに自信がなく、拙い言葉で必死に核実験の歴史について話していました。すると講演後、ある人が涙を浮かべながら、震える声で話しかけてくれて。『こんなに悲しいことがあったなんて、いままで何十年も生きてきたのに、全く知らなかった。教えてくれて、本当にありがとう』と。
その涙を見たとき、わたしの発信が誰かの心に届き、新しい視点を持ってもらうきっかけになれたのだと、心の底から実感しました。誰かの人生を劇的に変えることはできなくても、知ることが平和への最初の一歩になる。その確信が、いまのわたしの支えになっています」

Q4. 活動をする上で、つらかったことは?
「平和や核兵器というテーマゆえに、『思想が偏っている』『無駄な活動だ』と、心ない言葉を投げられることです。自分の頑張りを否定されるのはやはり悲しく、悩むこともあります。
けれど、そうした批判に触れるたび、わたしは自分の原点を思い出すようにしています。わたしにとっての平和とは、遠い世界の出来事ではなく、目の前のひとり、そして自分自身が幸せであること。つまり『ウェルビーイング』そのものなんです。
もし、身近なコミュニティにいる全員が幸せを感じることができれば、そこにはもう平和が生まれています。そのひとつひとつの小さな幸せの連鎖が、世界を平和に導くと信じています。
だからこそ、活動を否定する人たちに対しても、決して諦めたくはありません。平和は誰もがつくれるもので、自分の幸せの延長線上にあるのだと伝えること。それが、わたしの役割だと思っています」

Q5. 将来の展望は?
「大学生のうちに、全国の小中学校へ足を運んで、平和学習を広めていきたいです。これまでは自分より年上の人たちの前で話す機会が多かったので、もっと若い世代にアプローチしていきたいと考えています。
また、実際に核実験が行われた国々へ行って、フィールドワークをすることも目標のひとつです。
将来は、組織のトップを目指すのではなく、一市民として草の根から声を上げ続けられる場所で、平和に関わっていきたい。一人ひとりが自分らしく幸福に生きられる社会を、身近なところからつくっていきたいです」

渡邊楓花のプロフィール
年齢:19歳
出身地:静岡県富士市
所属:立教大学コミュニティ福祉学部、第五福竜丸展示館、高校生一万人署名活動OB・OG団体、立教大学放送研究会
趣味・特技:演劇
渡邊楓花のSNS
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Photo:Nanako Araie
Text:Selna Iwasa






