
世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、性教育の普及が十分でないウガンダにおいていまも重要視されている文化「センガ」について紹介します。
年長者からの口承による性教育
「アフリカの学校で性教育って普及しているの? 実態を調査してみた」で取り上げたように、筆者の住むウガンダをはじめ、アフリカの一部の国では、いまだに性教育が十分に行き届いていません。その影響もあって、アフリカにはいまも年長者を通して性について学ぶ文化が残る地域があります。
たとえば、南アフリカのンデベレ族の12歳から20歳までの女性は、家族と離され通過儀礼を受ける伝統があります。彼女らは、通過儀礼で性生活や出産、結婚、家族の責任などについて学びます。そして、通過儀礼を経験すると、異性と経験をもつことが許されるのです。

筆者の住むウガンダでは、「Ssenga」(以下センガ)と呼ばれる女性がその役割を担います。センガはルガンダ語で、父親の姉妹である「叔母」を指す言葉です。
性に関するタブーが免除されてきたセンガ
ウガンダ最大規模の民族のバガンダ族にとって、センガは何世紀にもわたって受け継がれた文化です。性に関する知識をはじめ、恋愛や結婚、夫婦関係のアドバイス、魅力的な立ち居振る舞い、寝室での作法、女性のオーガズムにいたるまで、多様な知識を若い女性に伝えてきました。

ウガンダでは、家族間で性の話をすること、公共の場で性的な表現や発言をすることなど、性に関する多くのことがタブーとされています。アート表現であっても、性的なものは禁じられてきました。そんな中で、そうしたあらゆるタブーが免除され、性的な言葉を明確に表現することができたのがセンガです。古くは、血縁関係にある「叔母」がその役割を担っていたと言われています。
植民地時代、アフリカを支配していたヨーロッパの国々は、教育や政治だけでなく、アフリカの慣習も西欧化しようとしました。それらはセンガ制度も脅かしましたが、バガンダ族の首長の交渉により逃れられたと言います。それだけセンガは、家族や社会にとって重要な存在であったということでしょう。
ステレオタイプ?それとも守るべき文化?
近年では、センガの役割も変化しているようです。例えば、かつては叔母などの親族がセンガとなっていましたが、いまでは新聞などにセンガの情報が掲載され、女性が「相談したいセンガ」を選べるようになっています。一部には、テレビやラジオなどの企画で恋愛相談を受けるセンガもいるとのこと。こうした変化に対して、本来の役割とはかけ離れているという指摘もあります。
一方で、センガのメディア露出や商業化は、この分野における雇用機会の拡大、これまでタブー視されてきた性に関する話をオープンなものにした、という側面もあります。
さらに、「妻の役割」「女性として魅力的な立ち居振る舞い」なども含まれるセンガの教えは、ジェンダーバイアスを助長しているという批判も。伝統文化として受け継がれ、いまもなお人々に必要とされているセンガですが、その役割や教えの内容は、時代の変化とともに見直される転換期を迎えているのかもしれません。
References:
NIH「Chapter 4: Rite of passage: An African indigenous knowledge perspective」
Text:Hao Kanayama






