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カナダと日本の繋がり 日系人コミュニティの歴史 Mizuki in Canada #12【Steenz Abroad】

カナダと日本の繋がり 日系人コミュニティの歴史 Mizuki in Canada #12【Steenz Abroad】

こんにちは! 現在カナダに留学中の安岡美月です。「Mizuki in Canada」では、カナダでの経験や発見をお届けしています。今回は日系カナダ人のコミュニティと歴史についてお届けします。

日本にルーツを持つカナダ人のお話

アルバータ州に来て新たに発見したことは、日本にルーツを持つ方が多いこと。わたしは以前、今回の留学先に雰囲気のよく似たトロント郊外の街に住んでいたことがあります。そこはアジア系の人は全くいないような地域だったのですが、今回は大学をはじめとする様々な場所で出会い、交流する機会が多いです。

カナダには、1868年から1945年にかけて、たくさんの日本人が移住してきました。1945年までには100万人を超える日本人が移住していたと言われています。移住の理由は様々で、仕事の機会を求めて、勉学のため、あるいは結婚をきっかけに……などさまざま。

さらに、戦争や大日本帝国時代の日本政府による弾圧で日本国内から逃れてきたケースや捕虜として強制的に連れてこられたケースも決して少なくなかったそうです。こうした様々な理由から、海外へ大規模に移住することは「ディアスポラ」と呼ばれ、その子孫たちが、日系人として、いまでもカナダでは多く暮らしており、そのコミュニティはカナダの各地に存在します。

わたしの住むアルバータ州には、かつて民間人も含む日本人・日系人の強制収容施設がありました。第二次世界大戦中には約2600人がアルバータにいたとされています。そのためいまでも日系人コミュニティの繋がりは強く、活動も活発です。

戦後から20世紀末にかけての日系人の経験談

今回の留学では、アルバータ州にあるその「日本人ディアスポラ」コミュニティの集まりに定期的に参加する機会があり、そこで戦争のことや強制移住のことなど、教科書では学ぶことのないリアルな話を聞かせていただいています。

コミュニティの中には様々なグループあり、日本舞踊、よさこい、太鼓のような伝統芸能に取り組んでいるグループや、沖縄にルーツを持つ方々のグループもあります。わたしは元々三線をやっていたことをきっかけに、沖縄コミュニティの中の三線グループで月に2回一緒にレッスンを受けたり、演奏会に参加したりしています。このような小グループでの集まりだけではなく、全体の集まりも年に2回ほどあります!

祖父母が移住をした日系3世の方のお話によると、特に第一次世界大戦前後と第二次世界大戦中・戦後に、ハワイやグアムをはじめ、ブラジル、アルゼンチン、そしてカナダなどに移住したケースが多かったそう。カナダでも、この時期にたくさんの日本人が移住してきました。戦時中は、強制収容所に収容され、特に農業が盛んなアルバータ州では、農場で強制労働をさせられていた方々も多くいたとのことでした。

そして、第二次世界大戦が終結した後には当時のカナダ政府の政策により、日本人の弾圧と強制移住がより激しくなりました。日本で生まれ日本で育ち、カナダに移住した方とその子どもは日本にルーツがあるという理由で、カナダ国内の特定の地域に強制移住させられたり、日本に送還されたりすることもあったそうです。

移住させられた日本人の子どもたちは日本国籍を持たずカナダ国籍で、日本語が分からない方も多かったようですが、そうした事情は考慮されることはありませんでした。そのため、カナダで生まれ育ったにもかかわらず、やむなく日本で生活することになったという方もいらっしゃいました。日本語を話すことができなかったり、自らのアイデンティティはカナダ人であるとしていたり、本当は生まれ育ったカナダで過ごしたくても、政府の意向により自らの意思とは異なる形となってしまった方がいる事実に初めて触れることができました。

今回このお話を聞くまでわたしは、日本とカナダにこのような歴史があったことを知りませんでした。悲しい歴史ではありますが、日本人として知っておくべき出来事であり、留学中の地域の背景を理解しておく大切さを痛感しました。

現在の日系人

戦争から時間が経ち、当時の様子を実際に経験したという方は少なくなっています。しかし現在は、その子どもや孫に当たる2世・3世の方々が文化の継承や歴史の伝達に尽力していたりと、繋がりは消えていません。

沖縄にルーツを持つ方々の三線グループ

歴史的には暗い出来事ですが、わたしがお会いした日系人の方は、日本にルーツを持つことを誇りに思っている方が想像以上に多く、とても嬉しくなりました! 日本とカナダの友好関係を維持するための教育施設や文化施設、文化継承団体の力は非常に大きいです。

カナダと日本の友好の印として設立された日本庭園

今回の留学では、日本とカナダの友好関係のために尽力されている方々との繋がりもでき、たくさん交流したり、勉強をしたりさせていただいています。次回の記事では、具体的にどのような場所があり、どのようなことをしているのかをご紹介します!

安岡美月のプロフィール

2006年生まれ、福岡育ち。9月から1年間、教育や社会学の勉強のため、カナダ・アルバータ州に留学中。大の動物好きで、実家では4種7匹の動物を飼っている。特技は言語習得と三線。3ヶ月もあれば日常会話くらいまではできるようになる。

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Mizuki Yasuoka

2006年生まれ、福岡育ち。立教大学Global Liberal Arts Program在学中。福岡市のNPO法人「アジア太平洋子ども会議イン福岡(APCC)」にて、同窓会組織 BRIDGE CLUB Japan プレジデントを務め、国際本部 BRIDGE CLUB International Organisation のヘッドオフィスメンバーとしても活動。同団体による子ども大使として、ブータン、タイ、台湾への派遣を経て、中学生で単身カナダへ留学。その後、第57回国連人権理事会(UNHRC)に出席するなど、国際的な経験を積んできた。これまでの活動で培った国際感覚とネットワークを活かし、現在も国際交流・異文化理解・教育の分野で活動を継続中。

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