
世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、世界で広がる16歳未満へのSNS利用規制についてご紹介します。
世界初「16歳未満のSNS利用を禁止する法律」がオーストラリアで施行へ
世界各国でいま、16歳未満の若者・子どものSNS利用を禁じる法律や制度が相次いで設けられています。
発端は、2024年11月、オーストラリアで16歳未満の主要SNSの利用を制限する法律が世界で初めて成立したことでした。法律は2025年12月10日に施行され、現在は本格的に運用されています。対象となるのは、FacebookやInstagram、YouTube、TikTok、Xなど10種類のプラットフォーム。これらのSNSを運営する企業は、オーストラリアでサービスを展開する際、16歳未満の若者や子どもがアカウントを作成・保有できないよう、合理的な年齢確認措置をおこなうことが義務づけられました。違反した場合、運営企業は最大で約4,950万オーストラリア・ドル(約55億円、2026年3月現在のレートによる)の罰金が科せられる可能性があります。

世界で相次ぐ、16歳未満へのSNS利用規制
このオーストラリアの法律は、議会で法案が可決された後、世界の国々に影響を与えました。たとえばヨーロッパでは、フランスで今年1月下旬にSNSの年齢規制法案が国民議会を通過。SNSの運営企業に対して利用者の年齢確認が義務付けられる見通しで、今年9月までには施行される予定です。また、2月21日にはドイツ議会が14歳未満のSNS利用を禁止する決議を採択。さらに、イギリスやスペイン、ポルトガル、ギリシャなども、今年に入って相次いで若年層のSNS利用を禁ずる方向性を表明しています。
年齢によるSNSの利用制限の動きはアジアにも波及しています。マレーシアでは昨年11月、16歳未満の若者・子どもによるSNSのアカウント登録を禁止する方針を明らかに。今年3月6日には、インドネシアでも16歳未満のSNS利用を規制する方針が発表されています。

アメリカでも、テネシー州やミシシッピ州など一部の州で子どものSNS利用を規制する法律が設けられているそう。日本でも規制を強化すべきか否かの検討が進んでいます。今年1月には、こども家庭庁によって青少年インターネット環境整備法のあり方などを検討するワーキンググループが発足。中高生などの意見も聞きながら、2026年中を目途に結論を出すとしています。
世界では、いまや「自分である程度の判断や行動のコントロールができる年齢になるまでは、SNSの利用を制限または禁止する」という考え方が主流となりつつあるようです。
なぜいま規制が進むのか
SNSの利用に年齢制限が設けられつつある背景には、さまざまな理由があります。
まず挙げられるのが、メンタルヘルスを含む健康面への影響です。アメリカの疾病対策センターによる調査では、頻繁にSNSを利用する高校生の中でも依存度が高いほど、いじめや抑うつ、自殺企図が増える傾向が示されているといいます。アメリカ公衆衛生局の報告でも、「SNSに1日3時間以上を費やした12~15歳の青少年は、うつ病や不安症など精神的な健康が悪化するリスクが2倍になる」といった研究結果があることが指摘されています。SNSの利用が過度になれば、依存症へ発展してしまう懸念もあります。また、夜中までSNSに熱中することで、睡眠不足となるリスクもあります。

さらに、SNSを通じて性犯罪や闇バイトなどの犯罪に巻き込まれたり、ディープフェイク画像が拡散されてデジタルタトゥーとなってしまったり、テキストや写真で特定の個人をからかうなどしていじめ問題に発展してしまったりと、10代が安心・安全に成長できる環境が脅かされる危険性も指摘されています。
SNSは多くの人の世界を広げてくれた反面、子どもや若者が利用する際は上述のようなデメリットが深刻な影響を及ぼすこともあるために、規制強化に向けた動きが加速しているのです。
SNSとどう付き合うべきか
世界で見直されつつある、若者や子どもとSNSとの関係性。デメリットに注目し禁止措置をとるのか、メリットも踏まえて一部機能に利用制限をかけるのか、はたまた制限を全く設けずに利用を許可するのか——。どのような状態を作ることが健全なのか、これから各国で議論や検討が進んでいくと思われます。

なお、本稿の冒頭で紹介したオーストラリアでは、法律が施行されたことで、若者の余暇の過ごし方が変わったという実感が得られているそう。同国内の大手書店では全店舗で来店客数が増えたほか、クリスマス期間の児童書やパズルなどの売上も増加したといいます。一方で、16歳未満の子どもたちが年上の友人や知人にお金を払ってSNSアカウントを作ってもらうといった‟裏技”を使う人もいるようです。年齢によるSNS規制の功罪は、今後各国の事例をもとに検証することが求められそうです。
世界初のSNSと言われたサービスが1997年に登場してから、およそ30年。わたしたちはいま、SNSとの付き合い方を改めて考える時期に来ているのかもしれません。
References:
『ネット・ゲーム使用と生活習慣に関する実態調査 令和7年度研究報告書』
Text:Teruko Ichioka






