2025.12.12 Teen's Snapshots

叶わない夢なんてない。DuolingoとSpotifyみたいな新時代の学習体験をデザイン中の大学生起業家【有香・19歳】

「気になる10代名鑑」の1148人目は、有香ゆかさん（19）。言語をAIでパーソナライズした音楽に合わせて学習するアプリ開発に挑戦する大学生です。中学時代の英語学習の経験と、オーケストラでの経験を重ねて、新感覚の学習体験を生み出した有香さんに、組織の代表として大切にしていることや今後のヴィジョンについて聞いてみました。

有香を知る5つの質問

Q1.いま、力を入れていることは？

「今年2025年の春に立ち上げた、言語×音楽スタートアップ『Langic（ランジック）』での活動です。

多言語学習をもっと楽しく、続けられるものにするべく、AIで作った楽曲を使って学習をサポートするアプリを開発する挑戦をしています。

イメージとしては、Spotify × Duolingoみたいな感じで。従来の言語学習アプリ上での学習を、一人ひとりの音楽の好みや学習スタイルに合わせて生成された音楽によって支える『聞く言語学習』を目指しています。

また、カフェを使ったオフラインの言語交流イベントや、国立市と連携した、学びと音楽を掛け合わせたプログラムなども準備中です。オンラインとオフラインの両方から学びをもっと楽しくできたらという思いから始めたんです。

さらに、Langicをつくったのと同じ時期に、在籍している一橋大学でAI研究部という団体も立ち上げて。わたしは文系なのですが、とはいえテクノロジーに物怖じすることなく、AIについて学びを深めているところです」

この投稿をInstagramで見る

Langic (ランジック) – Language × Music(@langic_ai)がシェアした投稿

Q2.活動を始めたきっかけは？

「中学1年で初めて英語に触れたとき、英単語のスペルを覚えることがすごく難しくて。わたし自身『もっと言語を楽しく学べる方法があったら、わくわくできるのに……』と感じていた当事者でもありました。

一方で、オーケストラでフルートを担当していた中高時代の経験や、幼少期に音声教材で九九を3日でマスターしたこともあって、『学習するときには視覚記憶ではなく音声が効果的な人もいるのではないか』という仮説が生まれて。

だったら、音楽を使う新しい言語学習サポートがあれば、勉強をわくわくできるものに変えられるんじゃないかと思ったんです」

Q3.活動で大切にしていることは？

「自分の可能性を自分で狭めないことを大切にしています。

アイデアを語るときもチームで連携するときも、できる理由を探そうとする姿勢を意識していて。

起業や新規プロジェクトは不確実なことが多いからこそ、代表であるわたしが限界を決めてしまえば、そこで団体全体の成長も挑戦も止まってしまうと思うんです。組織の代表は、仲間に対して弱音をこぼさずに、夢を見せる、一家の大黒柱みたいな人じゃないと。だから、可能性を自分で否定しないと決めています。

それで言うと、わたしにとっての理想のチームって、友だちのノリではなく、思ったことは伝えあう家族みたいなもので。同じ目標に向かって応援し合い、高め合える相手同士の関係を築いていきたいなあって思います」

Q4.活動を通して、実現したいビジョンは？

「『”夢みたい”を現実に』です。

学びは、好奇心とワクワクをもとに広がっていくものであるべきだと思うんです。わたしも、ビジネスという日々の学びのなかで、ご縁や活動の広がりが増えていくにつれ、『学生という立場でもこんなに進めるんだ……！』と夢のような感覚で。

だから、仲間とともに、まずはわたし自身が楽しみながら学びの価値を更新していくことで、『学ぶってこんなに自由なんだ』とまわりにも少しずつ感じてもらえたらいいなと思っています。

そのためにも、LangicではAIの実装から、行政との連携、ひいてはアプリを小学校などで連携して展開するなど、挑戦したいことがまだまだたくさんあって。Langicが、学びの格差や地域の孤立を乗り越える教育プラットフォームとして、世界にさらに夢と希望を届けられるよう、挑戦を続けていきます」

Q5.将来の展望は？

「将来は、誰かの『夢』を支える存在になりたいです。

ウォルトディズニーの“If you can dream it, you can do it!”（夢見ることができれば、それは実現できる）という言葉があるように、前向きに願い続ければどんな夢も叶うんじゃないかって思っていて。 数字や結果も大切にしつつ、ビジョナリーリーダーとして、夢みたいな話を本気で実現させるという自分の役割を果たすために、行動し続けていきたいです。

直近では、来春ペンシルベニア大学へ留学し、ビジネスやリーダーシップについて学ぶ予定です。高校生のときに渡米し、UCLA Model United Nationsで150人中のネイティヴの中Research Awardを受賞した経験があるのですが、その時以上の学びを得て、成長してきたいなと。

わたしにとって、言語、音楽、ビジネス、テクノロジー、そして株価までもが、人の努力が重なったあたたかいもので。その重みを一つひとつ感じながら、多様な表現を組み合わせて、誰かに夢を見せられる存在になっていきたいです」