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国産の木材で飛行機が飛ぶ! 純国産の持続可能な航空燃料が実現へ【Steenz Breaking News】

国産の木材で飛行機が飛ぶ! 純国産の持続可能な航空燃料が実現へ【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、国産木材由来の航空燃料についてご紹介します。

持続可能な航空燃料とは?

地球温暖化防止のため、あらゆる機関や企業がその一端である二酸化炭素(CO2)排出量の削減に取り組んでいます。そのような状況でも、ガソリンや軽油、ジェット燃料など、CO2排出量の多い燃料への依存度が高いのが、運輸業です。中でも航空機は特に、バスや鉄道などに比べると輸送量あたりのCO2の排出が多いという特徴を持っています。

そこで始まったのが、燃料を持続可能な航空燃料にする取り組みです。「Sustainable Aviation Fuel(持続可能な航空燃料)」の頭文字を取って「SAF」と呼ばれ、植物バイオマスである藻類やトウモロコシ、廃油を利用して作られています。ガソリンなどの原料である原油のように、掘り尽くしてなくなるものではありません。その上、材料となるバイオマスは植物由来で、光合成によりCO2を吸収してくれていることから、地上のCO2の量は変わらない、つまり、カーボンニュートラルであると言えるわけです。

国内で原油が生産できず、輸入に頼らざるを得ない日本。国内でSAFが生産できると、輸送にかかるコストを減らし、CO2削減量を増やすことにもつながります。

実際に、廃油でのSAF生産は始まっており、供給が2025年4月から始まっています。また、藻類によるSAF生産の研究も活発におこなわれています。

国産材で飛行機が飛ぶ!

そんな中で、新たに国産の木材を利用したSAF生産へ向けた取り組みも始まっています。2023年2月に始まった「森空プロジェクト®」は、日本製紙、住友商事およびGreen Earth Instituteの3社によるプロジェクト。2025年7月には、バイオエタノールを製造する森空(もりそら)バイオリファイナリー合同会社を設立しています。

2025年10月、宮城県の日本製紙 岩沼工場内にて、実証プラントの建設が着手されました。東北地域の持続可能な森林から出る製材端材などを原料として、バイオエタノールとバイオケミカル製品が生産される予定で、2030年までに年間、数万キロリットルの生産を見込んでいます。

国産の木材の端材を利用することで、資源が無駄にならず、効率的な資源利用ができるようになります。また、森林には水を蓄え洪水を防いだり、空気をきれいにしたり、生き物のすみかになったりと、多面的な機能がありますが、適切な手入れをされなければ、発揮することが難しくなります。これまで捨てていた端材にも価格がつくようになることで、荒廃しがちな森林の手入れが進み、安定的に多面的な機能を発揮できるようにもなっていきます。

さらに、森林の多い山村が高齢化し過疎になるなど、さまざまな社会問題もある中で、こうした利用が進むことで解決へ導けるかもしれません。

2030年までに10%の使用が目標に!

国の目標として2030年までに、使用燃料の10%をSAFに置き換えるという数字が決まっています。物資や人の移動手段として、なくてはならない飛行機。SAFの利用が進み、少しでも低炭素な輸送が実現するといいですね。

Reference:
資源エネルギー庁:飛行機もクリーンな乗り物に!持続可能なジェット燃料「SAF」とは?
資源エネルギー庁:SAFの導入拡大をめざして、官民で取り組む開発と制度づくり

Text:Itsuki Tanaka

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Itsuki Tanaka

ライター

フリーランスのライター。食、農、環境領域 /博物館好き/コーヒー、アイス、チョコも好き。

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