
世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、オンライン上でおこなわれる動物の違法取引に対処するAI技術についてご紹介します。
なくならない野生生物の違法取引
象牙やサイのツノ、トラの毛皮など、薬、装身具の原料、ペットとしての利用を目的におこなわれる野生生物の違法取引。種の生存を脅かすだけでなく、麻薬密売やマネーロンダリングなど他の犯罪と結びつく可能性もあるため、厳重に対処しなければいけません。

しかし近年は、輸送技術や通信技術の発達により違法取引が組織化され、大規模な事例が増加。IT技術の普及やSNSの情報拡散により、取引自体も複雑化しています。さらに、取引が複数の国をまたいでおこなわれていたり、高度な技術で活動が隠蔽されたりと、手口が巧妙化しており、従来の手段では対応が困難になっているのです。
違法取引に対応するためAI技術を導入
2024年11月21日、国際動物福祉基金は「AI Guardian of Endangered Species 2.0(以下、AI Guardian 2.0)」を発表しました。「AI Guardian 2.0」は、オンライン上での野生生物違法取引の、新たな傾向に対抗する最新のAI技術です。違法取引製品を検知し報告してくれるのですが、その精度は平均86%と高水準。34種類の動物および、それらから成る製品の識別が可能です。

この開発には中国の大手AI技術企業「Baidu」が協力しており、今後も定期的にアップデートし、対象となる種類などを増やしていく予定とのこと。「AI Guardian 2.0」が、どのような成果を上げるのか期待したいですね。ちなみにバージョン1.0では、違法が疑われる野生動物の画像36万枚以上を検査し、対象種の画像21,271枚を検出、7,853件の違法投稿を削除しています。
AI技術を活用し密輸の疑いがある人物やグループを特定
国際動物福祉基金は、Quantifind社が開発したAI技術も導入しています。その技術を用いて野生生物の密売調査をおこない、2025年6月には、中東と中央アフリカ間で動物の密輸に関与した疑いのある人物やグループを特定しました。

それにより、彼らが違法行為を隠すために不正な企業と繋がっていたことや、捜査官が知らなかった過去の犯罪歴も明るみになったそうです。このようにAI技術は、違法取引の問題解決に欠かせない存在になってきています。今後、積極的にAI技術を取り入れる機関や団体が増えれば、違法取引を阻止できる確率も上がっていくかもしれません。
ひとつでも多くの命を救うために
人間の身勝手な都合で、犠牲になっている野生生物たち。ひとつでも多くの命を救うために、取り締まる側は積極的にAI技術の導入を検討してほしいですね。そして私たち個人も、国内外でどのような違法取引がおこなわれているのか、どのような野生生物たちが被害に遭っているのかを調べてみましょう。直接的な手助けはできなくても、自ら調べて現状を知ることも、立派なアクションのひとつです。
Reference:
発覚するのはごく一部!野生動物密輸の実態|WWFジャパン
密猟や違法な取引から、野生生物を守ろう!|WWFジャパン
野生生物のネット取引について深く知ろう メルカリで社内勉強会を実施しました|WWFジャパン
Revolutionary AI Wildlife Trafficking Investigation Exposes International Criminal Network|Happy Eco News
Disrupting wildlife trade with an advanced AI solution|International Fund for Animal Welfare
Quantifind’s AI-Powered Platform Aids IFAW in Ongoing Wildlife Trafficking Investigation|QUANTIFIND
Text:Yuki Tsuruda






