Steenz Breaking News

絹糸から化粧品、パン粉から名刺。異業種との協業で可能性を広げるアップサイクル最前線【Steenz Breaking News】

絹糸から化粧品、パン粉から名刺。異業種との協業で可能性を広げるアップサイクル最前線【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、最新のアップサイクル事情についてご紹介します。

廃棄予定のものをよみがえらせるアップサイクル

従来は捨てられていた製品や素材を用いて、新たな製品を作り出すアップサイクル。元の製品よりもデザイン性を持たせたり、高価値のものへと転換させるところに、リユースやリサイクルとの違いがあります。

社会的にも法的にも廃棄物の削減が要請されている中、さまざまな企業がアップサイクルに取り組んでいます。最近の取り組みの中から、ユニークな取り組みをご紹介します。

500年間ほぼ廃棄!西陣織の副産物を化粧品へ転換

京都・西陣で織られる伝統的な先染め織物である「西陣織」。カラフルな絹糸で、多様な織り方をされた華やかな高級な布であり、着物の帯のほか、ネクタイやバッグなどに利用されています。

西陣織に使われるのは、蚕が作る天然繊維である絹糸。絹糸の生成には、蚕が繭を作る時に吐き出す余分な成分を取り除く「精錬」という作業があります。ここで取り除かれる成分「セリシン」というタンパク質は、近年、人の肌を保湿や保護する効果があるとして注目されています。

西陣織織元のサカイタカヒロ氏と文化起業家の大河内愛加氏は、このセリシンを利用したスキンケアブランド「Sericy」を立ち上げました。ローション、フェイシャルミルク、ハンドクリームの販売が11月11日から始まります。

500年以上続く伝統産業で、廃棄されていた副産物が利用されるのは画期的なこと。生活スタイルの変化によって需要が縮小している着物業界に、新たな風が吹き込みます。

パン生まれの名刺!「パンの紙」

敷島製パン株式会社(Pasco)は、1890年創業の紙専門の会社「株式会社ペーパル」、印刷加工を手がける「サイバーネット」と協業し、「食パンをカットする際に生じるパンの粉」を使った紙を開発。試験的に名刺にし、一部の社員による利用が始まりました。

同社では、従来からロスを少なくするための工夫をしてきましたが、食パンのパン粉はどうしても一定数出てしまうものでした。

2023年から、パン粉を使用した紙を開発。きちんと印刷できるようにパンの粉を2〜3%混ぜているそうです。

出来上がった名刺は、パン型にくりぬかれ、茶色い縁取りの印刷によって、まるで絵本のようなかわいらしい雰囲気。名刺交換した時には話がはずみ、同社のサステナブルな取り組みについて説明できるという利点も追加されています。

よみがえる廃棄物たち

1社ではどうにもならなかった副産物が、異業種の会社との協業によって、新たなものとなるアップサイクル製品。今後もさまざまな廃棄物がよみがえって、利用されるようになるといいですね。

Text:Itsuki Tanaka

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Itsuki Tanaka

ライター

フリーランスのライター。食、農、環境領域 /博物館好き/コーヒー、アイス、チョコも好き。

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